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「ワルラス的価格調整過程」「マーシャル的価格調整過程」「クモの巣理論」の違いは?-公務員試験ミクロ経済学

こんにちは、カズ!昨日はサークル早退してたけどどうしたの?

えっと、昨日は夜、スーパーで値引きされたお弁当を買うために早く帰りました。最近金欠でやばいので...。

そうだったんだ。スーパーの惣菜の値引きの話も実はミクロ経済学の需要曲線と供給曲線の均衡の話に結び付けられるよ。

そんなことより、さっき授業で「ワルラス的価格調整過程」「マーシャル的価格調整過程」「クモの巣理論」という用語が出てきたのですが、全く分かりませんでした。教えてもらえませんか・・・?

いいよ!実はそれらの理論ってスーパーの値引きの話を関連付けて考えることができるから、値引きの事例を使って3つの理論の違いについて学んでいこうか!

需要と供給の調整とは?

ミクロ経済学では、「市場」を通じて財(商品やサービス)のやり取りが行われます。市場では、企業がその商品を売りたいと思う価格と販売量が、消費者がその商品を買いたいと思う価格と購入量に一致した時を、市場均衡と言います。

 

消費者が買いたいと思う価格とその価格で買われる個数の関係を表した曲線を「需要曲線」、企業が売りたいと思う価格とその価格で売られる個数の関係を表した曲線を「供給曲線」と言います。。

 

そして、これら「需要曲線」と「供給曲線」の交わる点Eを均衡点と言います。

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需要と供給

[出典]「需要と供給

 

この均衡点における取引量、価格は、政府の介入や原材料の高騰など外部的な要因がなければ長期的に安定します。

 

しかし、現実社会でもそうですが、新商品を初めて販売するとなった時は通常、価格設定が上手くいかず価格改定を行ったり、予想以上に売れて増産を行ったりなど、最初から消費者のニーズに合った価格・生産量を導き出すのは難しいと思います。

 

このような、消費者が望む価格・販売量と企業が提供する価格・生産量が合致していない状態を不均衡状態と言い、「ワルラス的価格調整過程」「マーシャル的価格調整過程」「クモの巣理論」はそれぞれ、不均衡状態から均衡状態への向かい方の違いを表しています。

 

それぞれの違いには、「価格」「財の数量」が大きく関わってきます。また、「クモの巣理論」においては、価格」と「数量」のほかに、時間という要素も関わってきます。

図:「需要曲線と供給曲線の均衡の安定」

 

 

 

ワルラス的価格調整過程」とは?

ワルラス的価格調整過程」とは、「需要と供給の不均衡が価格主導で調整される」という考え方になります。

 

例えば、町内にあるスーパー8店舗が、Aメーカーの販売するお弁当を販売していたとします。当初、この8店舗で1日に計100個が店頭に並んでいたとし、1個500円で販売されていたとします。

 

この時、8店舗で合計50個売れ残ってしまったとしたらどうでしょうか。売れ残った反省を生かしつつ、さらには他スーパーより買ってもらえるようにするため、350円まで下げて対応したとします。

 

すると、各店舗でコストなどの違いもあり、「350円じゃ無理だから販売を取りやめよう」と言うスーパーも出てくるため、町内全体のお弁当の供給量が100個より少なくなります。

図;ワルラス的価格調整過程

 

価格を安くするとより多くの消費者も購入したいと思うようになりますが、350円でもまだ売れ残りが出てくるため、さらに価格が安くなります。このような価格改定が繰り返され、販売できる店舗も絞られていく結果、250円の時に売りたいと思う供給量と、買いたいと思う需要量が75個で均衡するため、長期的にはこの価格・取引量で安定します。

 

このように、価格を上げたり下げたり調整することによって需要と供給を一致させるという考え方を「ワルラス的価格調整」と言います。

 

経済学では、スーパーの食品のような長持ちしない財を「非耐久財」と呼びます。一般的には、「非耐久財」の場合に「ワルラス的価格調整」が当てはまるとされています。

 

 

「マーシャル的価格調整過程」とは?

「マーシャル的価格調整過程」とは、「財の数量主導で需要と供給の不均衡が調整される」という考え方になります。こちらは「ワルラス的価格調整過程」とは異なり、自動車や住宅など長持ちしやすい「耐久財」の市場均衡に用いられる考え方になります。

 

「耐久財」は、食品などの「非耐久財」よりは高価で作るのに手間がかかります。そのような「耐久財」は、価格が上がったり下がったりしたとしても、販売量をすぐに変えるのが困難です。

 

自動車の需要と供給を例にとって考えてみましょう、例えば、ある自動車メーカーが5台の車を生産したとします。メーカー側は1台100万円で売れればいいと思っていたとしても、市場には100万円であれば買いたいと思う消費者がたくさんいます。

 

図;「マーシャル的価格調整過程」

 

しかしながら、自動車メーカーは今期の製造台数をすぐに変更することはできませんが、100万円じゃ販売できなかったけど、もう少し高い価格であれば参入可能な別の自動車メーカーなどが製造を開始することなどによって来期は生産台数が増加します。このような販売台数の調整の結果、生産台数15台、1台の価格150万円のときに均衡することになります。

 

このように、「マーシャル的価格調整過程」の考え方に基づくと、市場で需要と供給の不均衡があったとしても製造に時間がかかるため、スーパーのお弁当のようにすぐに価格を変えて販売量を調整する「価格」主導の調整ではなく、生産ラインの拡大などによって不均衡が解消されていくという「数量」主導の調整になります。

 

 

「クモの巣理論」とは?

「クモの巣理論」とは、調整の不均衡が解消されるまでの時間が他の2つの考え方と比較すると遅いモデルになります。

 

ワルラス的価格調整過程」は、価格の上げ下げによって不均衡を解消するモデルのため、調整速度が速いとされます。一方で、「マーシャル的価格調整過程」は、生産ラインの拡大縮小のような「数量」調整のため、「ワルラス的価格調整過程」よりは調整速度が遅いモデルとされます。

 

「クモの巣理論」はその2つよりもさらに調整速度の遅いモデルとされ、農産物のように「生産」と「消費」に時間のずれがある財にあてはまるモデルとされていています。

 

例えば、リンゴが取引される市場を想像してみてください。まず、今年度の生産量が10個だったとします。

図;「クモの巣理論」

 

この時、リンゴ農家は1個100円で売れればいいと思っていますが、希少価値が高いため消費者は500円で買っても良いと考えています。この時、農家は「俺たちのリンゴには500円の価値があるんだ!」と期待し、翌年度に25個販売しようとします。

 

しかし、500円の価値があると思う消費者は10人しかいません(1人1個しか買わないと仮定)。25個も市場で売られていても、10個しか買われません。また、市場に25個売られている場合、売れ残っているため消費者はリンゴ1個に対して200円の価値しかないと考えています。

 

そのため、翌々年度に農家は、200円で販売できる量のみ生産して販売することにします。この過程を繰り返していくことで、最終的に需要と供給の一致する価格・取引量で安定します。

 

この過程が「クモの巣」のようなので、「クモの巣理論」と呼ばれています。最終的に均衡に至るまで、「ワルラス的価格調整」や「マーシャル的価格調整」と比べて時間がかかります。

 

 

各理論の変化の過程を理解しよう

3つの理論について、公務員試験では計算問題等はほとんど出題されません。しかしながら、択一問題のひっかけでよく出題される傾向にあるので、不均衡状態から均衡状態に達する過程の違いを覚えておくことが重要です。

 

bestkateikyoshi.hatenablog.com

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