供給の価格弾力性とは?-公務員試験ミクロ経済学
あっ、先輩、こんにちは…。
こんにちは、カズ。お疲れだね、どうしたの?
はい、先日まで海外旅行に行ってきたのですが、マーケットで買い物をするときに高い値段をふっかけられたので値段交渉が大変でした。
大変だったね。外国人なら相場も分からないし、高く売りたいと思ってくるから気をつけないとね。
はい。僕がもっと安くしてって交渉しても、相手が無理って言ってきたので大変でした。
うんうん。価格が安いと「供給の弾力性」が高くなることがあるから、値下げに応じてくれないこともあるよね。
「供給の弾力性」ですか?「需要の価格弾力性」は以前講義で習いましたけど、「供給の弾力性」は初めて聞きました。
考え方は「需要の価格弾力性」と似ているんだけど、供給サイドの価格弾力性になるよ。「需要の価格弾力性」と混同してしまうと公務員試験で間違えてしまうから、しっかり区別して覚えておく必要があるよ。
そうなのですね!しっかり対策しておきたいので、教えてください!
需要の価格弾力性とは?
今回のテーマは、「供給の価格弾力性」ですが、考え方は似ているので、まず「需要の価格弾力性」についても見ていきましょう。「需要の価格弾力性」とは、「価格が1%変化した時に需要量が何%変化するか」を指しています。財によってはもちろん異なりますが、同じ財でも基準となる当初の価格が異なれば、需要の価格弾力性が異なります。
bestkateikyoshi.hatenablog.com
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需要の価格弾力性を求める公式は、以下のような式になります。
※△Q/△Pは需要曲線y=ax+bの傾きaの逆数
P,Qは元々の(基準となる)価格と数量
供給の価格弾力性とは?
供給の価格弾力性とは「価格が1%変化したとき、供給量は何%変化するか」を指します。需要の価格弾力性は「需要量が何%変化するか」でしたが、供給の価格弾力性は「供給量は何%変化するか」となる点で異なります。
需要の価格弾力性は原則として、価格の下落によって需要量が増加します。通常、商品の価格が安くなると多くの消費者が買ってくれるようになるためです。一方で、商品価格を安くすると、企業は利益が減ってしまうため売る気がなくなり、供給量は下がります。このように、供給の価格弾力性は価格が下がると供給量も下がるため、需要の価格弾力性とは少し異なります。
※△Q/△Pは需要曲線y=ax+bの傾きaの逆数
P,Qは元々の(基準となる)価格と数量
需要の価格弾力性の公式と異なる点が、「×(-1)がない」という点です。これは、価格が上がれば供給量も増えるために-1を掛けなくても正の価格弾力性になるためです。
具体例を使って考えてみましょう。まず、元々1個2,000円のケーキがあるとします。そしてこの時、図1のようにケーキは300個供給されているとします。
この時、供給曲線がy=5x+500としたとき、供給の価格弾力性は4/3%となります。
供給曲線の傾きの逆数は1/5のため、△Q/△Pは1/5です。また、価格が2,000円の時の供給量は300個のため、供給の価格弾力性は4/3%となります。
4/3%(≒1.33)ですが、300個の1.33(0.0133)をかけると4(個)となります(300個×4/3÷100=4個)。つまり、価格が1%(20円)下がる(/上がる)と需要量が4個減少(/増加)するということを表しています。
図の供給曲線を見ると分かるように、供給曲線は通常右上がりの曲線です。この時、「価格が上がれば供給量も上がる」というように、価格の変化率がプラス(/マイナス)であれば、供給量の変化率もプラス(/マイナス)になるため、需要の価格弾力性の公式のように(-1)を掛ける必要がありません。
ちなみに、需要の価格弾力性では「同じ財でも元の価格が異なると需要の価格弾力性が異なる」のですが、供給の価格弾力性でも同じことが言えます。同じ財でも元の価格が異なると供給の価格弾力性は変わってきます。
基準となる価格が1,000円の時は供給の価格弾力性が2%になります。1,000円の時の供給量は100個なので、100個の2%は2個になります。つまり、1%(10円)の価格増加(/減少)で供給量は2個増加(/減少)するということになります。このように、供給曲線が右上がりの直線であれば、基準価格が低い方が1%の変化によって変化する供給量も大きくなると言えます。