短期生産関数・短期費用関数とは?-公務員試験ミクロ経済学
あ、先輩、こんにちは…。
こんにちは、カズ。どうしたの?最近授業休みがちって聞いたけど。
はい、実は最近居酒屋のバイトが忙しくていつもバイト終わりはどっと疲れがたまってしまっています。ちょうど新歓の時期でお客さんも多くて…。
なるほど…。大変だね。
ありがとうございます。もう最近はビールの注文がひっきりなしなので、ビールの提供にかなり時間を取られます。せめてビールサーバーがあと2台くらいあればもっとスムーズに提供できるのになぁといつもイライラしてます(笑)。
そうなんだね。アルバイトの頭数はまだ忙しい時期に合わせて増やしたりできたりするけど、ビールサーバーとかはすぐに増やしたり減らしたり数を変化させることってできないからね。
そうなんですよ~。
実は、ミクロ経済学でもビールサーバーとかの固定費と人件費などの変動費を組み合わせて企業の最適な生産量を決定する考え方があるよ。公務員試験でもよく出てくるから今日はこの部分について理解できるようにしよう・
短期生産関数(一要素生産関数)とは
企業が生産活動を行うとき、働く人や生産設備、土地など色々なモノ(生産要素)が必要になります。もちろん企業によって何が生産要素になるかバラバラですが、ミクロ経済学では、分析を簡単にするため、資本K(生産設備などすぐに買ったり売ったり数量を変更できないもの)と労働L(社員・アルバイトの数)の2つに生産要素を分けます。
さらに、企業は利潤最大化を目指して生産活動を行いますが、最適な生産要素の投入量を分析する時、短いスパン(例えば1カ月や1年)と長いスパンで分けて分析することがあります。このときに使う関数が短期生産関数(一要素生産関数)といい、短い期間なので資本Kは固定費用FC(Fixed Cost)となります。
逆に労働Lは、忙しい時期にシフトに多く入ってもらったりなど比較的柔軟に労働投入量を変化することができます。そのため、短期の場合労働Lは可変費用VC(Variable Cost)となり、短期生産関数では、労働投入量を変化させて利潤最大となる生産量を分析します。
この時、縦軸に自動車の生産量(台)、横軸に労働投入量L(人)を取る図に短期の生産関数を描くと以下のようになります。
公務員試験で短期生産関数は、上記のような形をとることが多くあります。労働投入量を0人から20人まで増やしていく段階では、自動車の生産量は増えています。特に、5人から10人に増やしていくあたりでは、労働投入量に対して生産台数が激増しています。逆に、20人以上になると労働投入量を増やしても生産台数は増えなくなってしまいます。
これは、このグラフには出てこない資本Kの限界があるからです。短期では資本投入量を自由に変更できないため、どれだけ労働者を増やしたとしても自動車を作る機械に限界があるため、20人以上は労働投入量を増やしても生産量が増えなくなってしまうからです。
短期費用関数とは
ちなみに、「短期生産関数」と混同しやすいモノとして「短期費用関数」があります。「短期生産関数」では縦軸に生産量を取りましたが、「短期費用関数」では縦軸に費用を取ります。この時、「短期費用関数」は以下のようになります。
横軸には先ほどと同じように労働投入量L(人)をとるとします。労働投入量1人当たりの人件費を100万円としたとき、労働投入量を1人増やすと100万円総費用が増えます。
また、上の図では、切片(縦軸とグラフの交点部分)が総費用1,000万円となっています。この1,000万円が資本Kの固定費用となります。固定費用は生産活動を行わなくても(労働投入をして生産を行わなくても)発生するため、総費用が初めから1,000万円からスタートしています。
最後に
この短期費用関数を使って最適生産量を求めたりするので、公務員試験でもポイントとなってきます。また、僕も勉強しはじめたころはそうでしたが、「短期生産関数」と「短期費用関数」を混同してどっちがどっちだかわからなくなってしまうことがあるため、①縦軸のとる値の違い、②関数の形の違いをしっかりと理解しておくことがポイントになります!