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ナッシュ均衡と支配戦略とは?-公務員試験ミクロ経済学

あ、先輩、こんにちは!ちょっと聞きたいことがあるんですが、今時間ありますか?

うん。大丈夫だよ。どうしたの?

ありがとうございます。今ミクロ経済学の授業で「ゲーム理論」というのを学んでいるのですが、これまでの需要と供給の範囲とかとは全く違ってよく分からないです...。

ゲーム理論」かぁ。確かにグラフとかを使ったり計算とかをするわけではないから少し違っていて慣れないよね。ただ、一度考え方を理解してしまえばそんなに難しくないよ!

そうなんですか、じゃあ少し教えてもらえませんか?今は「ゲーム理論」の範囲の中でも「ナッシュ均衡」というのをやっているんですが...。

ナッシュ均衡」か!じゃあ今回は「ナッシュ均衡」について理解できるようにしよう!

ゲーム理論とは?

ゲーム理論」は、経済学の中でも比較的最近ポピュラーになってきた分野です。ミクロ経済学では古い時代にも、企業が如何にして利潤を最大化するかなどの企業理論などはありました。しかし、現実の社会では、色々な企業が互いの動向を注視しながら利潤を追求するなど競合の動きも念頭に入れる必要がありました。そこで、「他の企業がある行動をとったら自社はどうなるか?」という意思決定を考える理論として「ゲーム理論」が考えられました。

 

ゲーム理論」は一つの手法だけではなく、様々な手法があります。例えば、今回紹介する「ナッシュ均衡」や、グラフを用いて分析する「クールノー均衡」、「シュタッケルベルグ均衡」などが公務員試験では出題されます。ちなみに、「クールノー均衡」、「シュタッケルベルグ均衡」は数式やグラフを用いて企業の最適行動を分析するのですが、「ナッシュ均衡」では「利得表」というものを使って考えていったりします。

 

ゲーム理論」について詳しく歴史を知りたい場合は、Wikipediaにも記載あるのでそちらを見てもらえばと思います。

 

 

ナッシュ均衡とは?

ゲーム理論」の分析手法には様々なものがありますが、公務員試験でも出題されやすい一番基礎的な理論として、「ナッシュ均衡」があります。「ナッシュ均衡」には2つの定義があります。一つは「各プレイヤーの戦略の組合せの中で、どのプレイヤーも自分だけが逸脱して自分の行動を変えるインセンティブを持たないもの」です。二つ目の定義としては、「互いに他のプレイヤーの行動を所与としたときに、それに対して最適反応となる各プレイヤーの戦略の組合せ」を「ナッシュ均衡」と言います。

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ナッシュ均衡の定義

ちなみに、「戦略」とは「他のプレイヤーの行動(組合せ)に対して自分の利得を最大にする(最適反応となる)自分の行動を指定する規則」を言います。嚙み砕いて言うと、相手のとる手段に対して自分の利益を最大にする行動」のことを言います。また、相手がどのような手段をとったとしても、自分がとるべき手段が変わらない場合、その戦略を「支配戦略」と言います。

 

 

利得表とは?

実際にどのようにしてナッシュ均衡である最適な戦略を分析するかというと、公務員試験などでは下記のような「利得表」と呼ばれる表を用います。

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ナッシュ均衡「利得表」

例えば、ペプシ社とコカコーラ社が今いるとします。この時、お互いに日本へ進出するかしないか戦略を検討しており、それぞれ戦略をとったときの利得(=利益)が上記のように(ペプシ社の利得、コカコーラ社の利得)で表されているとします。例えば、コカコーラ社が日本進出をしたとき、ペプシ社も日本進出をするとそれぞれの利得は(ペプシ社の利得、コカコーラ社の利得)=(6,3)となります。逆にコカコーラ社が現状維持(日本進出をしない)時、ペプシ社が日本進出をしたとすると、それぞれの利得は(ペプシ社の利得、コカコーラ社の利得)=(2,5)となります(実際に現実の利得の動きとは異なります、適当に作った利得表なので)。

 

 

「支配戦略」の求め方は?

上記の「利得表」を使って「支配戦略」や「ナッシュ均衡」を導出していきたいと思います。まず、初めにペプシ社のとるべき「戦略」を求めていこうとすると以下のようになります。それぞれ「戦略」を求めるときには、他方の戦略を基準として、その時には自社はどちらの戦略をとればよいのかを分析します。例えば、スライド2のようにコカコーラ社が日本進出という戦略をとったとき、ペプシ社の利得は日本進出の時6となり、現状維持の時3となります。そのためコカコーラ社が日本進出という戦略の際にはペプシ社は日本進出という戦略を取るのがベターです。

図;支配戦略の求め方

逆に、コカコーラ社が現状維持という戦略をとったとき、ペプシ社はスライド3のように日本進出という戦略をとる方が利得は2のため大きいです。従って、ペプシ社にとっては、コカコーラ社のどのような戦略に対しても「日本進出」という戦略をとる方がベターなため、ペプシ社にとって「日本進出」が「支配戦略」となります。

 

次に、コカ・コーラ社の戦略を考える時には、ペプシ社の各戦略を基準にして考えます。まずスライド5のようにペプシ社が現状維持という戦略をとったとき、コカ・コーラ社は日本進出をすると利得は3で、現状維持をとると利得は5になります。

 

逆に、スライド6のようにペプシ社が現状維持という戦略をとるとき、コカ・コーラ社は日本進出をすると利得は1、現状維持の場合利得は2となります。そのため、コカ・コーラ社にとって、ペプシ社がどのような戦略をとったとしても現状維持という戦略をとるのがベターなので、現状維持が支配戦略となります。

 

 

 

ナッシュ均衡」の求め方は?

以上より、ペプシ社にとって「日本進出」は支配戦略となり、コカ・コーラ社にとっては「現状維持」が支配戦略となるため、両者はいつでも各々の支配戦略をとります。すると、以下のように(ペプシ社の戦略、コカ・コーラ社の戦略)=(日本進出、現状維持)という戦略の組み合わせがナッシュ均衡になります。

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ナッシュ均衡

このように、利得が一番高いところがナッシュ均衡になるというわけではなく、相手がある戦略をとると仮定したときに高い利得となる戦略をとった結果として、ナッシュ均衡が明らかになります。ゲーム理論では「囚人のジレンマ」など他にも公務員試験で出題される分野は多いですが、相手の戦略を基準として自分の戦略を考えるという考え方が重要になってきます。

 

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