様々な無差別曲線を理解しよう-公務員試験ミクロ経済学
先輩、こんにちは!あれ、今日は体調悪そうですね。
こんにちは、カズ。うん、昨日ゼミの飲み会で日本酒とビールをチャンポンしてたくさん飲んでしまったから二日酔いなんだよね...。
そうだったんですか、今日はゆっくり休んでくださいね。あれ、そういえば以前効用について教えてくださったときに、2つの財の量をバランスよく多くすれば効用が高まるってことだったんですよね?そうしたら、日本酒とビールの場合もたくさん飲めば飲むほど効用が高まるってことじゃないんですか?
多くの2財のケースでは、カズの言ったようなことを前提に話が進むけど、日本酒とビールのようにそうじゃない財の組み合わせもあるよ。そういった現実の出来事に対応した2財の効用曲線は違った形で描かれたりするよ!
そうだったんですか?じゃあ、日本酒とビールの組み合わせも上のような原点に対して凸の効用曲線じゃないってことですか?
そうだね。それじゃあ今回は、原点に対して凸以外の効用曲線(=無差別曲線)について見ていこう!
完全代替(無差別曲線が直線)の場合の効用曲線
公務員試験のミクロ経済学で見られる特殊な効用曲線としてはまず、「完全代替(無差別曲線が直線)の場合の効用曲線」が挙げられます。このような効用曲線になる2財の組み合わせの例として「パンとご飯(お米)」の組み合わせがあります。
図:完全代替(無差別曲線が直線)
そもそも1つの効用曲線上では、財のどのような組み合わせも効用は同じになります。例えば、通常の曲線の効用曲線の場合、左上と右下に効用曲線が伸びていますが、これは、一方の財の個数が極端に増えても効用はほとんど変化しないことを表しています。
しかしながら、直線の「完全代替の効用曲線」のケースでは、一方の財が極端に増えた場合、別の効用曲線にシフトするため、効用が大きくなります(例えば、(ごはん、パン)=(10, 17)より(ごはん、パン)=(0, 30)の組み合わせのほうが、効用曲線は右上にあるため効用が大きくなります)。
また、上図において予算制約線が赤線だとすると、予算制約内で効用最大となる財の組み合わせは(ごはん、パン)=(0, 30)となります。このように、効用曲線が右下がりの直線となる場合には、効用最大となる最適消費点は効用曲線の端の部分になります。この時の最適消費点のことを経済学では「コーナー解」と言います。
完全補完財(無差別曲線がL字型)の公用曲線
次に紹介するのは、「完全補完財(無差別曲線がL字型)」になるケースです。完全補完とは、 片方の財が増えても、もう片方の財が増えない場合には効用は増加しないものを言います。完全補完財の例としては「車とガソリン」や、「パンとバター」のような財の組み合わせがあります。
図:完全補完財(無差別曲線がL字型)
ガソリンが5万Lしかない時、車は5台でも10台でも走行距離は変わりません。つまり、両方が補完しあって使用できる財のため、同じL字上では効用は変わらず、効用を高めたい場合にはガソリンと車両方の数をバランスよく増やすことが必要になってきます。
もっとも、世の中には車をコレクションしたいだけの方もいるので、そういう人にとってはこの効用曲線は当てはまりませんが、公務員試験ではそういった特殊なケースは出題されないので、原則を覚えておきましょう。
2財を同時に消費したくないケース(凹型の無差別曲線)
次に紹介するのが、「2財を同時に消費したくないケース(凹型の無差別曲線)」です。これが冒頭で紹介した日本酒とビールのようにチャンポンして同時に2つの財を消費したくないというケースになります。
図: 2財を同時に消費したくないケース(凹型の無差別曲線)
このケースでは、無差別曲線が原点に対して凹型の形になっています。もちろん凹型の効用曲線の場合でも効用曲線のルールと同じように、原点から遠く離れた効用曲線の方が効用は高くなります。
しかしながら、図のように赤い予算制約線があるとしたとき、(日本酒、ビール)=(20, 10)でちゃんぽんするよりも、(日本酒、ビール)=(0, 25)の方が効用は高くなります。このように、凹型の効用曲線の場合、2財のうちのどちらか一方に消費を偏らせる方が効用が高くなります。
効用が飽和するケース(円型の無差別曲線)
最後に紹介するのが、「効用が飽和するケース(円型の無差別曲線)」になります。これはある程度適度な消費は良いですが、消費しすぎると逆に効用が下がってしまうというケースです。
図:効用が飽和するケース(円型の無差別曲線)
上記のように、円が無差別曲線で、円の中心部に行けば行くほど効用が高くなります。少なければもっと欲しいと思うけど、たくさんありすぎても「保管場所がない!」とかあるので、現実でもよくあるケースだと思います。