独学で目指す!公務員試験勉強塾

独学で公務員試験対策を行う受験生を応援する情報サイトです。

Tutoring For EveryOne

Making the world to understand easily
家庭教師向け記事一覧
大学受験対策記事一覧
公務員試験対策記事一覧

【スポンサーリンク】

将来価値と割引現在価値 -公務員試験マクロ経済学

あ、先輩、こんにちは...。

こんにちは、カズ。どうしたの?何か不満そうな顔して。 

はい。実は、今受け取っている奨学金の将来の返済額を見ていて、受け取る額に対して利子がついて高くなるのはなんでなんだろうと思って。 

そうか、無利子の奨学金もあるけど、そうでないのだともらった額に対して将来多く払うことになるから大変だよね。 

そうなんですよ!受け取った額だけ払えばいいのになんでこっちが貰った額以上に返済しないといけないんですか!? 

まぁまぁ、落ち着いて。奨学金を貸す方も、不履行の損失を減らすためだったり、利益のためとか事情があるからしょうがないよ。 

うーん...。 

それに、今年カズが受け取る額面金額と、将来返済時の額面金額は例えば同じ100万円だとしても価値が違うことがあるから、一概に将来の返済額が高いからと言って、不平等だとは言えないよ。 

ええと、同じ100万円でも現在と将来で価値が違う???100万円はいつでも100万円ではないんですか? 

そうなることもあるよ。経済学では「将来価値」とか「割引現在価値」と言って公務員試験でも頻出に分野だよ!苦手な受験生も多いから今日は「将来価値」や「割引現在価値」についてマスターしてみよう!

将来価値決定のメカニズム

まず、この後に出てくる「割引現在価値」に比べると出題度は低いですが、一つ目に「将来価値」とは、「現時点での金額を将来の金額に直した価値」になります。定義だけだとわかりにくいと思います。簡単に説明すると、現時点で100万円を持っているとしたとき、この100万円をタンス預金している場合は違ってきますが、例えば、1年間で利子率10%の債権に投資したとすると、1年後の金額は元本も含めて110万円になります。

 

つまり、現時点での100万円は市場の利子率を考慮すると110万円になります。即ち、現時点での100万円は将来価値に直すと110万円になることを示しています。 

 

本ページ冒頭で出てきた2人の会話の中で、奨学金の返済額は通常利子率等を加味して借りた額より多くなることを話しましたが、もちろんそこで働いている人の給料や他の学生の債務不履行のリスクも兼ねて返済額は設定されています。しかし、現在と将来の額面の価値が変わってくる1つの理由として、事業への投資や債券投資など他の投資案件の収益・利子率との兼ね合いもあります。どのように利子率が決定されるか以下のモデルを使って見ていきましょう。

 

[仮定]

・将来と現在の二期間とする 

・貸し手(奨学金の貸し手)と借り手(学生)が存在 

・貸し手は現在100万円を保有し、①奨学金として学生に貸し出すか、②債券に投資する 

・債券の利子率は10%(100万円の投資で将来110万円となる) 

・学生の債務不履行のリスクはないものとする 

・貸し手は利潤最大化行動をとるものとする 

 将来価値決定のメカニズム 

このように、「現在の100万円」を「将来の110万円」に変換して表したものを「将来価値」といいます。実際には、債券は1つだけではなく、奨学金は将来の国を創る子ども対する教育費用として利潤第一ではない側面もありますが、利子率は色々とある債券や投資などによって決まっていくという考え方があります(現実にはリスクなどで利子率は変わりますが、すべてリスクはない簡便化したモデルで話しています)。

 

 

割引現在価値とは?

ここまで「将来価値」について説明してきました。公務員試験のマクロ経済学でよく出題される用語としてより頻出度の高いものが「割引現在価値」になります。「割引現在価値」とは「将来もらえる金額を現在の金額に直した価値」になります。

 

つまり、「割引現在価値」は「将来価値」の反対になります。先ほどの例で考えてみると、利子率10%で将来110万円になる金額の「割引現在価値」は100万円となります。「割引現在価値」の計算についてはよく出題されるため、計算の方法についても理解できるようにしましょう!

 

割引現在価値

割引現在価値を算出する方法は、「将来価値(例110万円)」を「元本と利子率(例1+0.1)のn乗」で割るだけです。ここでn乗とは期間のことを表しており、公務員試験ではn年という1年スパンで見ることが多いので、1年後であればn=1,2年後であればn=2となります。

 

なぜn乗するのかというと、例えば現在100万円で利子率10%の債券が2年後どうなっているか将来価値を求める際に、1年目は100万円×1.1=110万円となりますが、2年目は110万円からさらに(1+利子率)を掛けるため、2年目は100万円×(1+利子率)×(1+利子率)とするため2乗、3乗とします。 

 

「割引現在価値」の説明だけであれば、ここまででも問題はないのですが、公務員試験でよく出題される「割引現在価値」の計算について最後に少し説明していきたいと思います。公務員試験ではよく、「コンソル債」という債券の一種を用いて、「割引現在価値」を求めることが多くあります。「コンソル債」については別のページで詳しく説明しているためそちらをチェックしてもらえるとありがたいのですが、債券とはそもそも出資に対して毎年リターンとして利子率分を収益としてもらうことができるもので、公務員試験では「コンソル債」の毎年のリターン(利子収益)をすべて現在価値に直した時、いくらになるかという問題がよくあります。

 

そのようなときには、以下のような「無限等比級数の和」の公式を用いて、各期(1年後、2年後…∞年後)の収益を現在価値に直したりします。

図;無限等比級数の和 

いずれにしても、「コンソル債」については別のページで紹介しているため、詳しくはそちらを見てください!

bestkateikyoshi.hatenablog.com

 

 

最後に

いかがでしたでしょうか。慣れてしまえば大したことはないのですが、将来価値。割引現在価値ともに慣れるまでが難しいと思います。僕も初めは全く理解できなかったので、勉強するごとにふとした時に経済学的な思考が身に付き、理解できるようになります。はじめは大変だと思いますが、頑張って下さい!

【スポンサーリンク】