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乗数過程(乗数効果)とは -公務員試験マクロ経済学

あ、こんにちは...。先輩。 

こんにちは、カズ。あれ、今日は疲れがたまっている感じだね。どうしたの? 

はい。実は最近アルバイトしているコンビニで新しくコーヒーメーカーを導入して、機械の使い方とか止まった時の対処法とか覚えたりしないといけなくなってしまって大変でして...。 

そうなんだ、大変だね。 

はい。儲かっていると思うのでその分給料アップしてほしいです。でも、実際に儲かったお金ってどこにいっているんですかね?オーナーが私腹を肥やしているんですかね…。 

今後の設備投資のために貯めているのかもしれないし、オーナーさんの懐に入っているのかもしれないし実際のところはわからないけど、マクロ経済学で乗数過程(乗数効果)って習ったことある?

うーん、何となく用語は聞いたことありますけど、詳しくは思い出せません…。

公務員試験とかでは重要な用語の一つだよ!それじゃあ今から乗数過程(乗数効果)について学んでいこう!

乗数過程(乗数効果)とは?

乗数過程(乗数効果)とは、投資や政府支出などある要素が追加的に一単位変化した時に国民所得がどれだけ変化するかというのを表したものです。モノやサービスの売買をすると、通常お金のやり取りが発生します。その時、電車の切符のように使われたお金は一回限りで捨てられてしまうのではなく、お金を受け取った販売者が物を買ったり従業員の給料になったりと再利用されます。

 

始めに使われたお金はさらに別の用途に使われ、一国全体で見ると、始めに使われた金額以上にお金が回っていることが分かると思います。このように、マクロ経済学では投資などのような支出に対して一国全体でどれだけお金が回るか(波及するか)を表したものを乗数過程、または乗数効果と言います。

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乗数効果のイメージ

 

 

財市場の均衡条件とは?

それでは、公務員試験などでよく出てくる乗数効果はどのように求めるかですが、乗数効果マクロ経済学で始めの方に学習する「財市場の均衡条件」という式を用いて分析します。「財市場の均衡条件」はIS曲線を導出する際に用いられる式になります。

 

IS曲線とは、財市場が均衡する際の利子率と国民所得の組み合わせの集合のことを言います。利子率は、企業が投資をする時に、投資を増やすかどうかを検討する指標の一つになります。企業が投資をする際、銀行から事前にお金を借り入れて投資を行いますが、利子率が高い場合、後々返さないといけないお金が利子を足すと多くなります。逆に利子率が低い時は、後々返すお金が少なくなるため、企業は積極的に投資をしようとする気になります。

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IS曲線とは?

上記の図のように、縦軸に利子率、横軸に国民所得の大きさをとる図においては、通常IS曲線は右下がりの曲線になります。このIS曲線を導出する時に、財市場の均衡条件を使います。

 

IS曲線は分かったけど、それじゃあ財市場の均衡条件は結局何なの?」と思う受験生もいると思います。財市場の均衡条件とは、財市場において総供給と総需要が一致することを言います。財市場において総供給と総需要が一致するとは、以下のようにYs(総供給)=Yd(総需要)となることを言います。

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45度線分析

上記の図のように、供給と需要の曲線が一致する点でYs(総供給)=Yd(総需要)となります。以下のようなモデル設定をしたとき、総需要は消費Cや、投資I、政府支出G、租税Tなどから構成されます。 

 

[仮定] 

・財市場の均衡条件Y=C+I+G 

・総需要は外国部門を捨象する 

・消費関数C=C₀+c(Y-T) 

・C₀(基礎消費)・T(定額税)は定数、cは限界消費性向(0‹c‹1) 

・I(投資)、G(政府支出)は定数 

 

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財市場の均衡条件 

ちなみに、cの限界消費性向というのは、税金を差し引いた所得額(Y-T)、即ち可処分所得に対してどのくらいの割合消費に使うかという指標になります。例えば100万円の可処分所得に対して80万円消費に使う(基礎消費は除く)としたら限界消費性向は0.8ということになるんですね。財市場の均衡条件をYについての式に直すところまで乗数過程(乗数効果)を理解するための前提になるよ。 

 

 

乗数過程(乗数効果)を実際に導出してみよう

ここまで長々と前提の部分を話してきてしまいしたが、もう一度確認すると、乗数過程(乗数効果)というのは、投資や政府支出など特定の需要を変化させたとき国民所得がそれ以上に変化する過程の事を言います。

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乗数過程(乗数効果)のイメージ 

例えば、新たに投資として建設費に10億円使われたとすると、10億円分需要が増加します。そうすると、10億円が建設会社の売上げとなって、作業員の給料とか会社の利潤になります。その10億円の内8億円分を作業員や会社が何か買ったり消費すると、作業員や会社に物を売った会社の売上になるため、さらにその会社や販売員の給料や利潤となって、その8億円の内6.4億円が販売員や会社によって消費されてっていうのが繰り返されます。

 

このように、投資など特定の需要が変化すると、それによって恩恵を受ける人たちが現れて消費に使われたり、さらに需要が変化するというのを繰り返していくため、最終的に国民所得が最初の需要の変化以上に変化していきます。このプロセスのことを乗数過程といいます。現実の社会でも政府が道路とか公共施設などハコモノ公共投資をしているのを見たことはあると思います。「あんな公共投資、建設会社しか儲からないし勿体ない!」と思う人もいると思います。もちろん、全てとは言い切れませんが、公共投資をする理由は、乗数効果によって国民に所得が行き渡るようにするという経済的な意義もあります。

 

 

乗数効果の公式を理解しよう

最後に、乗数効果がいくらになるのか計算方法についてみていきたいと思います。乗数過程の計算を行う際には、無限等比級数の和の公式を用います。さきほどの図の乗数過程を例にとって、考えてみたいと思います。

乗数過程の計算方法 

スライド2を見てみると、まず初めの投資10億円(➀)はそのまま国民所得の増加につながります。次に、国民所得が増加すると、増加した国民所得のうち8割が新たな消費として使われます(➁)。つまり、国民所得が8億円さらに増加します。この増加した分の8億円のうち、さらに8割が消費として使われます。この時、6.4億円分国民所得が増加します。この過程が無限に繰り返されていくことで、一国内で10億円の投資に対して、それ以上の国民所得の変化が見込まれます。

 

次に、スライド3を見てください。スライド3ではスライド2の式を変化分の式に直しています。ここで、変化する要素は、国民所得Yと投資Iなので、YとIに△がついています。△Iは変わらず、限界消費性向cの乗じる数が規則的に多くなっているのが分かると思います。この時、初項△I、公比cとした無限等比級数の和の公式を用いることができるので、最終的に△Y=△I/(1-c)という簡単な式にすることができます。 

 

無限等比級数の和の公式については、数学の範囲になってしまうので、もし興味があれば自分で調べてみてください。

 

 

最後に

いかがでしたでしょうか?乗数過程自体はそれほど複雑ではありませんが、財市場の均衡条件や無限等比級数の和の公式など乗数過程に至る定義とか前提が色々とあり、理解するのが難しいかもしれません。ただ、マクロ経済学では最頻出の範囲でもあるので、ぜひマスターしてみてください!

 

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