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国債発行の効果は?-公務員試験財政学

先輩。この間の模試で、国債発行の効果に関する択一問題が出てきたのですが、あまり理解できておらず、間違えてしまいました。

模擬試験お疲れ様、カズ。国債とかの公債に関する分野は、経済学とかを大学で勉強してこなかった受験生にとっては大変だよね。

そうなんですよね…。しかも、財政学とか経済学に関わる分野ではありますが、教養試験でも出題されたりするので疎かにできないですし。

そうだね。でも、国債発行の効果に関する問題は純粋な暗記というよりパターンをしっかりと理解できるようになれば、いつでも解けるようになるから点数が取りやすいよ。そうしたら今日は、国債発行の効果について、IS-LM曲線を使ってみていこう。

国債の買い手による分類

まず、国債とは、政府が発行する債券のことを言います。債券とは、政府や企業がお金を調達するために利子などをつけて発行する証券のことを言い、その中でも国債は国が発行するので比較的安全な資産と言われています。

 

この国債ですが、誰が買ってくれるのでしょうか?まず、民間の銀行や企業、個人などが国債を買うことができます。これらの人々が国債を買ってくれることを総称して「市中消化」と言います。一方で、国債の買い手は市中だけではありません。その国の中央銀行が買ってくれることもあります。中央銀行とは、日本の場合日銀になります。中央銀行はビジネスのために国債を買い受けるわけではなく、一国の貨幣流通の安定化などのために買い受けたりします。そのため、「市中消化」とは少し効果が異なるため、「中央銀行引き受け」と呼ばれます。

 

国債の買い手

市中消化

民間銀行、企業、個人

中央銀行引き受け

中央銀行(例:日銀など)

大きく2つの分類に分けることができますが、この2つは、同じ国債発行でも貨幣供給(マネーサプライ)に与える影響が異なります。以下、それぞれの効果について見ていきましょう。

 

 

中央銀行引き受けの効果

公務員試験で国債発行の効果を考える際には、IS-LM曲線を活用できます。IS-LM曲線について詳しくは別のページで紹介しているので、リンク先を見てみてください。まず、IS-LM曲線は、縦軸に利子率r、横軸に国民所得Yをとる図に図示され、通常IS曲線は右下がりの曲線で、LM曲線は右上がりの曲線となります。

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IS-LM分析

国債発行によって国内の貨幣供給量(マネーサプライM)が増加するため、LM曲線は下方シフトします。

図:中央銀行引き受けの効果

この時、IS曲線とLM曲線の新たな均衡点は、当初の均衡点Aより国民所得は増加したため、中央銀行引き受けによる国債発行は効果ありとなります。

 

 

市中消化の効果

一方で、市中消化による国債発行の場合には、中央銀行引き受けのようにはなりません。なぜかというと、市中での貨幣供給(マネーサプライM)を増やすために国債発行を行ったとしても、民間銀行や個人などの市中の人々が国債を購入すると市中にあるマネーサプライの総量は変化しないためです。

 

しかし実際には、市中消化の場合はここで終わらず、「ラーナー効果」というものを考えます。まず、人々が国債保有するとどうなるでしょうか?国債は、冒頭でも紹介したように比較的安全な資産となり、利子もつきます。そのため、長期的には資産が増加する、ということになるため、個人の消費も増加することになります。これを「ラーナー効果」と言い、この時、IS曲線は右にシフトします。

図:市中消化の効果

一方でLM曲線はこの時、上方シフトするとされています。今、国債の買い受けによって市中の人々の持つ公債が増えました。しかし、経済学では、公債と貨幣の間の望ましい保有比率を公債保有者が持っていると考えており、公債が増えたことに伴って、公債と貨幣の比率を維持するために貨幣もより多く持つようになります。その結果、貨幣需要が高まるので、市場に出回る貨幣供給量は減少します。その結果、LM曲線は上方シフトします。

 

しかし、ここで注意しておくべきポイントとしては、市中消化の場合IS曲線は右シフトしても、LM曲線が上方シフトしてしまっているため、最終的に国民所得が増加するかどうかは分からないという点です。この部分は出題されやすい部分ではあるので押さえておく必要があります。

 

 

最後に

国債の議論になるとなんだか難しく感じてしまうと思いますが、IS曲線、LM曲線のシフトの過程をしっかりと理解しておくことによって、対応できるようになります。ぜひマスターしてしまいましょう!

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