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中央政府と地方政府の財政の役割分担-公務員試験財政学

こんにちは、先輩。この間の財政学の講義で、「オーツの地方分権化定理」というものが出てきたのですが、結局何が言いたいのかイマイチ理解できませんでした。

こんにちは、カズ。「オーツの地方分権化定理」は中央政府と地方政府の財政的な役割分担における考え方の一つのことなんだけど、ごちゃごちゃしていて分かりにくいよね。

そうですね…。

財政学では、以前勉強した「マスグレイブの財政の3機能」をもとに、それぞれどのように役割分担されるかが、オーツという経済学者によってまとめられているので、今回はオーツの考え方に従って中央政府と地方政府の役割分担について見ていこう。

マスグレイブの財政の3機能

オーツによる中央政府と地方政府の財政の役割分担を見ていく前に、前提として、マスグレイブが分類した財政の3機能について触れていきたいと思います。

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マスグレイブの財政の3機能

マスグレイブは、政府の役割として、「資源配分機能」、「所得再分配機能」、「経済安定化機能」の3つに分類しました。詳しくは、下記のページで紹介しているので、そちらをご覧ください。

bestkateikyoshi.hatenablog.com

オーツは、マスグレイブの財政の3機能に沿って中央政府と地方政府の役割分担を以下のように分けました。以下では、それぞれなぜ以下のような役割分担となるのか具体的に見ていきましょう。

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オーツによる中央政府と地方政府の役割分担

 

 

資源配分機能の役割分担

資源配分機能の役割分担では、中央政府と地方政府どちらが公共財を供給するのが好ましいかということを考えます。結論から言うと、地方公共財に関する限り、中央政府が一元的に公共財を供給するのではなく、地方政府がその地域の実情に沿って公共財を供給した方が社会全体の厚生水準は高くなる、すなわち資源配分機能は地方政府によって担われるべき、ということをオーツは言いました。これを「オーツの地方分権化定理」と言います。

 

具体的に例を使って「資源配分機能」に関する役割分担を見ていきましょう。今、A県とB県の2つの地域があるX国を仮定します。A県は高齢者が多く住む地域で、B県は若者が多く住む地域だとします。通常、高齢者の多く住む地域では介護施設など福祉サービスが必要になりますが、若者の多く住む地域では保育園など子育て・教育サービスが多く求められます。この時、もし中央政府が全国一律で福祉サービスと子育て・教育サービスを供給したとすると、どうなるでしょうか?A県では子育て・教育サービスが超過供給されてしまう可能性があります。一方でB県では福祉サービスが超過供給されてしまう可能性があり、効率的に公共財が供給されていません。

 

そこで、中央政府が一元的に公共財を供給するのではなく、地域の実情に応じてA県、B県の地方政府がそれぞれ必要とされている公共財を供給する方が、コストも安くなり効率的に公共財が提供されます。このように、地方ごとに特色がはっきりしている場合には、地方政府ごとで公共財を供給した方が良い、というのがオーツの導き出した結論になります。

 

 

所得再分配機能の役割分担

所得再分配機能とは、高所得者から低所得者への所得移転を行う役割のことを言います。結論から言うと、所得再分配機能は中央政府の機能であるとされています。先ほどと同様に、県とB県の2つの地域があるX国で考えてみましょう。まず、所得再分配の施策が各地方政府によって提供されており、住民は住む地域を自由に決定できるとします。この時、もしA県でのみ低所得者への所得移転政策が実施された場合、低所得者はA県に移住します。すると、政策による財政負担が高まってしまいます。

 

このように、地域ごとに所得再分配政策に差が生まれてしまうと、財政負担が一方に偏ってしまいます。そのため、所得者再分配機能は、中央政府が一元的に担う方がよいとされています。

 

 

経済安定化機能の役割分担

最後に、経済安定化機能の役割分担について見ていきましょう。結論として、経済安定化機能は中央政府によって担われるべきとされています。経済安定化機能としては、大きくフィスカル・ポリシーとビルトイン・スタビライザーがあります。まず、フィスカル・ポリシーとは、財政政策や金融政策のようなマクロ経済政策のことですが、金融政策は地域ごとに実施することが不可能だからです。

 

次に、各地方政府が施策を実施することによって経済安定化機能には問題が生じるためです。どういうことかというと、例えば、A県で地方債、つまり借金を使って公共施設を建設したとします。この時、公共施設ができたばかりの時には住民は便益を得られるのでA県に住みたいと思いますが、地方債を償還する時期になるとA県も増税せざるを得なくなるため、A県の住民が負担することとなります。しかし、住民は自由に移動できてしまうので増税の時期になるとB県に移動してしまうかもしれません。このように、地域ごとに景気対策などを行うと、住民の自由な移動が発生してしまう可能性があるため、中央政府が行うべきと考えられています。以上のような理由から、経済安定化機能は中央政府が担うべきとされています。

 

 

最後に

実際に、日本国において、国・地方間の税源配分はどのようになっているのでしょうか?以下に総務省作成の資料があるので、見てみましょう。

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[出典]「国・地方の税源配分について

 

歳入面を見てみると、国が約6割、地方が約4割となっていますが、歳出面を見ると、国が約4割、地方が約6割となっています。このような逆転現象は公務員試験でもよく聞かれたりするのでよく覚えておくといいでしょう。

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