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日本に住む外国人も年金保険料の支払いって必要なの?-公務員・行政辞典

先日同じ会社で働いている外国人の同僚から、「年金の保険料高すぎ」と言われてしまいました…。日本に来た外国人って自分の国に帰るかもしれないのに保険料の支払いって必要なのでしょうか?

原則として年金制度は、国籍に関係なく日本に住民票を置いている人が対象となるから外国人の支払いの対象となるんだけど、その人や相手国の事情によっては支払わなくてもいいケースもあったりするよ。今日は外国人の年金保険料の支払いについて見ていこう。

年金ってそもそも何?

そもそも一口に年金と言っても、色々な年金があります。年金は大きく「公的年金」と「個人年金」の2種類あります。

年金の種類

公的年金

個人年金

個人年金は、最近ニュースなどでもよく出てくるiDeCoのような民間企業によって運営されている年金のことを言います。一方で、行政がかかわってくるのが「公的年金」になります。公的年金は、「国民年金」と「厚生年金」の2種類に分けられ、よく2階建て構造であるといいます。

公的年金の種類

国民年金

厚生年金

 

 

厚生年金の保険料支払いは義務なの?

個人年金」は任意で加入する年金のため、申し込まない限り支払う必要はありません。一方で、「公的年金」である「国民年金」と「厚生年金」の場合は原則支払う必要があります。

 

外国人でも会社で働いていれば厚生年金の支払い対象となります。特に厚生年金は後述する国民年金の場合とは異なり、将来年金がもらえるかどうかに関わらず保険料支払いの対象となります。どういうことかというと、例えば59歳で来日して、60歳まで仕事をするという場合には、厚生年金の保険料支払い期間は1年ほどとなります。年金を受け取るための加入期間としては最低10年なので、1年しか働かないと分かっている場合には、保険料を払っても年金を受給することはできません(厚生年金の加入期間は70歳までなので、70歳まで働き続ければ別ですが)。

 

なぜこうなるかと言うと、厚生年金に加入している場合には、条件を満たせば遺族年金や障害年金は受給できるためです。つまり、病気などになった場合の補償がついているから無駄ではないよということです。

 

 

国民年金の保険料支払いは義務なの?

一方で、国民年金も原則は支払わなければいけません。しかしながら、国民年金の場合には厚生年金のケースとは異なり、外国人が保険料を支払わなくてもいいケースがあります。

 

例えば、59歳で日本に入国して住み始めたケースは国民年金制度から脱退できる任意脱退という制度があります。これも厚生年金のケースで話したように、年金受給のための10年の支払い期間を満たすことができないため、任意で脱退することが認められています。また、後述する「社会保障協定」を結んだ国から来た外国人の場合で、海外の会社から5年を超えない見込みで派遣される場合には、日本の年金支払いが免除される例外規定があります。

 

社会保障協定」はレアなケースになると思いますが、50代になってから日本に来た外国人の場合には、任意脱退があるので詳しく知りたい方は年金事務所に行くことをオススメします。

 

 

社会保障協定って何?

先ほど、「社会保障協定」という言葉が出てきました。「社会保障協定」とは、日本と海外での年金保険料の二重支払いや、年金受給資格の確保(海外での支払い年数も合算して日本で年金を受給できるようにするため)のために二国間で結ぶ協定になります。

社会保障協定とは?

①海外(外国人にとっては日本)での年金保険料の二重支払い防止や、➁年金受給資格の確保のために海外(外国人にとっては日本)での年金加入期間を合算させるための調整を行う二国間協定。

現在日本はおよそ20か国と社会保障協定を結んでいます。国によって異なりますが、原則として、住んでいる国で年金保険料を支払い、将来自国に戻った時に自国の年金受給期間に合算されるような形となります。

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二重加入の防止について

[出典]日本年金機構協定を結んでいる国から日本で働く場合の加入すべき制度

 

しかしながら、前述したように、「一時派遣」のケースでは、自分の国で年金保険料を払い続けるため、派遣先での保険料支払いは免除されます。駐在のように自国の会社から派遣され、給料は自国の口座に支払われ続けるような形態の場合に、このようなケースになりうると思います。

 

「一時派遣」のケースがあるにしても、「一時派遣」以外の外国人や、社会保障協定を結んでいる国以外の大部分の国から来た外国人は日本で年金を支払わないといけません。そのため、先述したように免除されるケースは稀にありますが、ほとんどの場合外国人でも日本に住んでいる限りは年金保険料の支払いが義務となります。

 

 

保険料を支払ったのに途中で帰国する場合は?

社会保障協定」を結んでいる国から来た外国人は、日本で支払った保険料が自国の年金保険料支払いになるため、受給資格期間が支払った分だけ伸びます。そのため日本で保険料を支払っていても無駄にはなりません。一方で、「社会保障協定」を結んでいない国から来た外国人の場合にはどうなるのでしょうか?国民年金など、高齢で来日した場合には支払わなくてもいいケースがありますが、来日する多くの外国人はまだ若い人が多いです。

 

10年以上日本に住んで保険料を支払っていれば年金が将来支給されますが、10年に満たない滞在の場合、保険料の支払いが無駄になってしまいます。そこで日本の年金制度には、「脱退一時金」という制度があります。

脱退一時金制度とは?

外国人が、保険料の支払いが受給資格期間に満たない期間内に出国した場合、支払った保険料の一部の還付を請求できる制度。

6か月以上年金を支払った人が対象となり、支払った期間によって還付額が決定します。下記は、国民年金の保険料を支払った外国人が令和元年度に帰国し、脱退一時金を請求した場合に戻ってくる金額になります。

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国民年金の脱退一時金の支給額

[出典]日本年金機構国民年金の脱退一時金として、いくらもらえるのですか。

上記は国民年金のケースなので、厚生年金のケースとは異なってきます。厚生年金は以下の支給率をかけて算出されます。

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厚生年金の脱退一時金の支給額

[出典]日本年金機構厚生年金の脱退一時金として、いくらもらえるのですか。

戻ってくる金額は年によって少し異なってきますが、大体は上記の金額になります。「支払った額が全額戻ってくるの?」と思う方もいるかもしれませんが、国民年金の場合1か月16,000円ほどの保険料なので、計算してみるとわかるように全額は戻ってきません。ただ、一部は返ってくるので、帰国する外国人の知り合いがいたら教えてあげるといいかと思います。

まとめ

・外国人も年金保険料を支払う義務がある。

・ただし、例外的に支払う義務が免れるケースもある。

・年金受給期間に満たないうちに帰国した場合、脱退一時金制度によって一部を還付することができる。

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