日本に住む外国人の就労は制限されるの?-公務員・行政辞典
今日本に留学に来ている外国人の友人から、お金が足りないからアルバイトしたいけど、しても問題ないかどうか聞かれました。留学目的に来ている外国人って日本でアルバイトをすることって可能なのでしょうか?
日本に来た目的が留学の場合には、在留カードには就労不可って書いてあったりするんだけど、場合によっては制限付きで働いても大丈夫な場合があるよ。今日は労働法についても触れながら外国人の就労について理解できるようにしよう。
労働基準法における外国人の取り扱いは?
近年日本では外国人労働者が増加傾向にあります。しかしながら、労働基準法において、外国人労働者に対する規定は3条のみです。3条では、国籍を理由とする差別的取扱いの禁止を明文化しており、使用者が、労働者が外国人であるという理由だけで差別することは禁止されています。
在留資格による就労の可否
しかし、いくら差別をしてはいけないといっても、ルールに基づいた区別は許容されます。その区別の一つが、在留資格による取扱いの区別です。日本に滞在する全ての外国人は、在留カードと呼ばれるカードを携帯する義務があります。在留カードはその外国人の基本情報やどんな理由で日本に滞在しているのか、仕事はしてもいいのかなどを記載しています。
後述するように例外もあるのですが、基本的には在留カードの「就労制限の有無」という青い部分を見ると、その外国人が働けるかどうかが分かります。
就労できる在留資格とは?
令和2年9月時点での在留資格は全29種類あります。そして、この29種類の在留資格は、就労の可否や分野について大きく3つに分類することができます。
まず、(1)の「在留資格に定められた範囲で就労が認められる資格」を持つ外国人の場合、定められた分野でのみ仕事を行うことができます。例えば、「医療」の在留資格を持つ外国人は、医療に関する業務に従事することはできますが、法律に関する業務や宗教などその他の分野での仕事は認められません。
一方で、(3)の「永住者」や「日本人の配偶者」などのように「就労活動に制限がない在留資格」を持つ外国人の場合には、(1)のような制限なくどのような業務に就くことも可能です。
留学生や家族滞在などでも就労できるケースとは?
留学生や家族滞在など(2)の在留資格の場合は原則として就労が認められていません。そのため、在留カードの「就労資格の有無」の欄には、「就労不可」と記載されています。しかしながら、法務大臣の許可を受ければ一定の条件の下でアルバイトが認められることがあります。
留学生などがアルバイトをできるようにするためには、申請を行い法務大臣から「資格外活動許可」を受ける必要があります。
「資格外活動許可」の申請が通ると、上記のように在留カードの裏面に週28時間以内でアルバイトを行うことができるようになります。資格外活動許可を受けて就労することのメリットとしては、コンビニや工場など単純作業に従事できるという点です。その他の在留資格の場合、従事できる業務が制限されてしまっているため、こういったアルバイトをやりたくてもやれないという課題があるためです。最近のコロナ禍においても、語学学校の先生が授業数を減らされてしまい収入が減ってしまったのにも関わらず、そのほかの仕事ができないため生活が困窮しているニュースがありましたが、その原因も在留資格により就くことのできる業務が制限されてしまっていたためです。