憲法って一体何?憲法の内容はどうなっているの?-公務員試験憲法を分かりやすく
来年公務員試験を受験しようと思っているのですが、筆記試験の科目に憲法があるというのを見ました。ネットでは「憲法は簡単だから始めに対策をするべき」などと書かれているのですが、法律系の勉強をやったことがなかったので何がなんだか分かりませんでした…。
公務員を目指しているんだね!確かに、憲法は他の科目に比べて取り掛かりやすい科目とは言われているけど、実際法律科目の勉強をしたことない人にとってはよく分からないよね。
はい、そうなんですよ…。
私も最初憲法の勉強を始めた時は同じような境遇だったよ。法律科目は全体像をイメージできるようにすることが理解する上での第一歩になるから、今日はまず、憲法って何なのか、全体像について学んでいこう!
憲法って一体何?
全ての方が「憲法」という用語自体は聞いたことがあると思います。そして、憲法には「色々なルールが書かれたものである」ということもなんとなく理解はできると思います。しかしながら、憲法とは具体的にどういったものなのでしょうか?
「憲法とは何か?」という問いに対していくつかの答えがありますが、主な答えとしては大きく3つあります。
まず一つ目は、「憲法という名前で呼ばれる成文の法典」が憲法であるという考え方です。この考え方によると、ある法典を憲法と名付けてしまえばそれは憲法ということになり、内容については問わないということになります。例えば、国が民法を「憲法」という名称にしてしまったとすると、内容は民法の内容ですが、それは憲法であるという考え方になります。
二つ目は、「国家の統治の基本を定めた法」が憲法であるという考え方になります。つまり、ある法典が憲法であるといえるためには、国家統治の基本が定められているものである必要があります。この考え方によると、国家統治の基本だけ定められていればよく、その他国家体制や権力構造などについて規定がなくても憲法と言えることになります。
三つ目は、「自由主義に基づいて定められた国家の基礎法」が憲法であるという考え方になります。これは、二つ目のように国家統治の基本を定めていればよいというものではなく、自由主義思想に基づいた内容が規定されている法典が憲法であるという考え方です。
以上3つの答えは、どれが正解で間違っているということはありません。しかしながら、現代において憲法として認められるためには、「自由主義に基づいて定められた国家の基礎法」であることが必要であるため、個人的にはでありますが、三つ目の答えが「憲法とは何か?」という答えに近いのかと思います。
日本国憲法はいつ誕生した?
日本国憲法は、自由主義に基づいて定められた国家の基礎法であるとされています。この日本国憲法は、第二次世界大戦敗戦後の1946年11月3日に公布され、翌年の5月3日に施行されました。
ポツダム宣言受諾後、当初は日本政府独自で日本国憲法草案を作成していましたが、保守的な内容であったため、総司令部はマッカーサー案に基づいて作成するよう指示をしました。このマッカーサー案に基づいて草案作業がなされ、その後公布、施行という運びとなりました。
日本国憲法の構造
日本国憲法は、全103条から成る国の最高法規となります。日本国憲法は以下のように前文と11の章から構成されています。
日本国憲法の構造としては、国民の権利や義務について言及した部分と、三権分立や財政、地方行政など統治機構に関する基本的なルールについて言及した部分、その他(天皇、戦争の放棄など)の3つに分けられます。人によっては別の分け方があると思いますが、なぜこのように分けたかと言うと、公務員試験ではその他(天皇や戦争の放棄など)の部分はあまり出題されないためです。
まず第3章の国民の権利及び義務の部分は、参考書のページ数から判断すると、公務員試験で学ぶ部分の半分以上を占めます。さらに、統治機構に関するルールの部分については、三権分立の基礎となる国会(立法)、裁判所(司法)、内閣(行政)に関して言及している第4章から第6章までの部分も比較的出題されやすいです。また、第7章の財政や第8章の地方自治に関する部分も時々出題されることがあるので、手が回るようであれば勉強しておくべき部分になります。
日本国憲法の3つの基本理念とは?
日本国憲法は、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義という3つの基本理念を基礎とします。
これら3つの基本理念は、それぞれ「個人の尊厳」を守るための理念になります。言うまでもなく、「個人の尊厳」を守るためには、一人ひとりの持つ権利、すなわち基本的人権の尊重が不可欠となります。また、基本的人権を尊重してもらうためには、しっかりとした政治体制が求められてきます。そのため、国民一人ひとりが国の政治体制を決定する権利、つまり国民主権が求められてきます。さらに、「個人の尊厳」が守られるためには、戦争のない状態、つまり平和主義も求められます。このように、日本国憲法は「個人の尊厳」を守るために、3つの基本理念を規定しています。
基本的人権の尊重とは?
公務員試験憲法の勉強で一番ウェイトが大きい範囲が、「基本的人権の尊重」に関する規定になります。基本的人権の尊重の範囲をマスターしてしまえば、試験の憲法部分の半分以上は解けるようになると思います。
基本的人権とは、「人間の存在にとって不可欠であると考えられている権利」です。つまり、基本的人権とは、人として生きていくためには当たり前に享受できる権利のことを言います。例えば、日本国憲法では、自分の言いたいことを言える表現の自由や、自分のやりたい仕事を選ぶことができる職業選択の自由など様々な権利が規定されています。
基本的人権は、上記のように大きく4つに分類されます。自由権とは、国家に縛られない自由を言い、自分の好きな宗教を信じたり、学問の自由など様々な自由を享受できる権利のことを言います。
社会権は、自由権とは逆に国家によって保証してもらう権利のことを言い、文化的な生活を送ることを国家に保障してもらう生存権や、教育を受ける権利などがあります。
参政権は、請願権とも言い、国民が国政に参加する権利のことを言います。最後に、その他に分類されている権利は、憲法13条の幸福追求権などに根拠に形成されているプライバシー権や肖像権などの新しい権利になります。