日本国憲法における国民の要件と国籍法について-公務員試験憲法を分かりやすく
憲法の講義を受講している時にふと疑問に思ったのですが、憲法上の「国民」の定義ってどうなっているんでしょうか?在日外国人などは長く日本で暮らしていても国民ではないですよね?
そうだね。憲法上の「国民」とは、日本国籍を持つ者のことで、詳しい要件は「国籍法」という法律に基づいて決定されるんだけど、憲法上にも日本国民の要件や日本国籍の離脱に関する条文があって、憲法を学ぶ上での前提知識になるから、今日は憲法における国民の要件について見ていこうか。
憲法における国民の要件は?
日本国憲法では、第11条で「国民は、すべて基本的人権の享有を妨げられない」と規定しているように、国民に対する基本的人権を保障しています。しかし、「国民」という定義は国によって異なります。そこで憲法では、第10条で「日本国民」とはどういう人々のことなのかを定義しています。
日本国民たる要件は、法律でこれを定める。
第10条で「日本国民」の定義をしていると言いましたが、「あれ?要件を法律で定めるって書いてあるだけ?」と思ったかもしれません。現実には様々なケースがあるため、一言で「日本国民とは○○な人たちです」と言うことは困難です。そこで憲法は、憲法の規定内ではなく、別の法律によって日本国民の定義を細かく規定するとしています。
国籍法とは
憲法第10条の規定に則って、日本では「国籍法」という法律で「日本国民」の要件を規定します。現在の国籍法は1950年に施行・公布されたものであり、国籍法の中身は大きく①国籍の取得と、➁国籍の喪失という2つに分けられます。
国籍の取得
まず、国籍法において国籍の取得の方法としては、①出生による国籍取得と➁帰化による国籍取得があります。①の出生による国籍取得ですが、世界には「血統主義」と「出生地主義」と言う2つの考え方があります。
2つの違いは上記に書いてある通りですが、日本は血統主義を採用しています。つまり、両親のどちらか一方が日本人であれば、その子どもは日本国籍を取得できるということになります。
また、➁の帰化による国籍取得という方法もありますが、帰化とは、元々外国籍であった外国人が一定の条件の下で日本国籍を取得できる制度です。帰化するための条件としては、国籍法第5条より以下の条件があります。
原則は上記の条件を満たすことが帰化の前提条件となります。しかし国籍法には、簡易帰化と呼ばれる制度もあり、日本人との親戚関係があるなど一定の条件の下で、上記の帰化条件が緩和されることがあります。
国籍の喪失
一方で、国籍の喪失の方法としては、①死亡と➁国籍離脱という2つの方法があります。➁の国籍離脱とは、外国への帰化や、日本と外国2つの国籍を持つ重国籍の人が外国の国籍を選択する場合などのことを言います。特に日本国籍離脱の権利は、憲法22条第2項でも保障されている権利となります。