独学で目指す!公務員試験勉強塾

独学で公務員試験対策を行う受験生を応援する情報サイトです。

Tutoring For EveryOne

Making the world to understand easily
家庭教師向け記事一覧
大学受験対策記事一覧
公務員試験対策記事一覧

【スポンサーリンク】

憲法13条の幸福追求権と新しい人権とは?-公務員試験憲法を分かりやすく

今日憲法の講義で「幸福追求権」という用語が出てきたのですが、「幸福追求権」って一体何なのでしょうか?言葉が抽象的すぎてよく分かりませんでした…。

「幸福追求権」って抽象的だし憲法を始めた当初は分かりづらい言葉だよね。しかも「幸福追求権」はテクノロジーの進展などのために、新たな権利も要求されているから結構複雑化してるし…。それじゃあ今日は、「幸福追求権」について具体的に見ていこうか!

幸福追求権とは?

日本国憲法は、全ての国民に対して基本的人権を保障しています。基本的人権とは全ての人々に当然に認められる権利のことを言い、表現の自由や経済的自由など様々な権利が認められています。

 

多種多様な権利が存在していますが、日本国憲法では憲法13条で「幸福追求権」という権利も認めています。

憲法13条

すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

13条の条文を見ると、とても抽象的で「一体どんな権利なの?」と感じると思います。実は、この抽象的な規定は明文化されていない新しい権利を導き出す根拠としての役割を担っています。

 

 

幸福追求権の意義

憲法含め全ての法律についてもそうですが、「ルールはもっと分かりやすい明確に規定してほしい!」と思う方は多くいると思います。実際、私も社会人になってから法律を扱うようになったため、公務員試験対策中は「なんでこんな分かりにくい条文なの?」と感じることも多くありました。しかしながら、現実社会はとても複雑であり、法律で規定しきれない様々なケースがあります。そのような規定しきれないケースで対応できるようある意味抽象的な文言にすることによって解釈に幅を持たせることで、実際のケースに対応しています。

f:id:bestkateikyoushi:20201121211653p:plain

幸福追求権と新しい権利

そして、憲法制定当時には想定できなかったような人権侵害に対して対応できるような根拠として、憲法13条の規定が抽象的であることに重要な意義があります。この幸福追求権によって基礎付けられる個々の権利は、裁判上認められるものについては人権侵害に対し救済を受けることができるとされます。

 

 

幸福追求権に基礎付けられる新しい権利は?

テクノロジーの進展や、人権意識の醸成に伴って新たに基本的人権であると主張されているものとしては、以下のような権利があります。

新しい権利一例

・肖像権

・名誉権

プライバシー権

・自己決定権

・環境権

上記の中には裁判所が明示的には認めていないものもあり、新しい権利として保障されるべきか否かの争いはありますが、判例で認めている権利も多くあります。

プライバシー権とは?

まずプライバシー権とは、自己に関する情報をコントロールする権利になります。別の定義として、私生活をみだりに公開されない権利とする見解もありますが、国家やマスメディアによる過度の個人情報の収集・管理に対抗する権利として、「自己に関する情報をコントロールする権利」であると広く解されています。

 

肖像権とは?

肖像権は、プライバシー権の一種として最高裁に認められた権利になります。肖像権とは、個人の容ぼう等を承諾なしに撮影されない自由や公表されないよう主張できる権利のことを言います。

 

実は肖像権にはプライバシー権としての側面とパブリシティ権としての側面という2つの側面があります。

肖像権の2つの側面

プライバシー権

パブリシティ権

パブリシティ権とは、有名人の氏名や肖像から生じる経済的価値を排他的に持つ権利のことを言います。例えば、ある商品広告について「有名人の○○も愛用!」と書くのと、何も書かないのでは信頼性などの面で大きく異なってくると思います。このように、有名人であることを理由に経済的価値が生じることが多くあります。しかし、ネット上では、その有名人から承諾を得なくても無断でその人の写真や名前を使うことができてしまい、有名人にとって損失となってしまいます。そこで判例では、有名人の経済的価値をパブリシティ権として保障されるものとしています。

 

名誉権とは?

そもそも名誉とは、品性や名声、信用など社会的評価のことを言います。名誉権とは、それら社会的評価のことを言い、幸福追求権から名誉権の保障が導かれています。

 

名誉権に関して重要な判例としては、「北方ジャーナル事件」があります。北方ジャーナル事件では、名誉権と表現の自由の保障とが衝突し、どのように調整するかが論点となりましたが、判決では表現の事前差し止めが認められ、名誉権が判例上認められていることが分かります。

 

自己決定権とは?

自己決定権とは、個人が一定の個人的事柄につき、公権力から干渉されることなく、自らが決定することが出来る権利のことを言います。具体的には、学校における髪型の自由校則によるバイク制限輸血拒否などがあります。

 

これら3つの論点は公務員試験によく出る判例になりますが、自己決定権というのは幅広い分野に関しての自己決定があるため、自殺の問題など様々な問題が自己決定権に関わってきます。

 

環境権とは?

自然環境を守る権利や、より良い環境で住むための権利などの環境権も学説上広く認められている新しい権利です。例えば、自然環境の破壊や飛行場建設などによる騒音は、より良い環境で住むことを阻害する要因となります。また、自宅の隣に大きなビルを建設されてしまうと日が当たらなくなると、ストレスや病気の原因になりますがこれも快適に住むための弊害となります。

 

このような問題に対して、基本的人権の侵害であると主張するための根拠が環境権となります。しかしながら、学説上は広く認められていますが裁判所の判決では未だ環境権を具体的な権利として認められていません。公務員試験では、この点よく択一問題で出題されるので注意が必要です。

まとめ

憲法13条幸福追求権は、新しい権利を導き出す根拠となる条文である。

・新しい権利の例としては、肖像権、名誉権、プライバシー権、自己決定権。環境権がある。

・新しい権利の中には、裁判所で具体的な権利として認められていない権利もあるため注意が必要。

【スポンサーリンク】