国会議員の3つの特権とは?-公務員試験憲法を分かりやすく
この間国会議員に関するニュース見ていたんですが、国会議員の給料ってすごく高いんですね!あんなにもらえるなら僕も将来なりたいです。
国会議員は歳費という形で手当てをもらえるんだけど、確かに金額は普通のサラリーマンと比べると全然高いよね。もちろん、任期もあるし色々な調査とか人間関係の構築が必要だから結構費用がかかるそうだけど。
そうなんですか?ちなみに、どうやって国会議員の歳費って決まるのでしょうか?
うん、具体的には「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」などに規定されているんだけど、憲法上にもその規定があるよ。また、憲法上には国会議員の3つの特権を規定していて、公務員試験でも出題される可能性があるから、しっかり理解できるようにしようか。
国会議員の3つの特権とは?
日本国憲法は、議員が国民の代表としてその職務を全うできるようにするため、3つの特別な権利を規定しています。
上記3つ以外にも、通常の権能として、国会召集請求権(53条)や、国会法に規定されている内閣に対する質問権(国会法74条)など様々な権能があります。しかしながら、特に重要な権能として憲法では、「歳費受領権」や「不逮捕特権」、「免責特権」を特権として定めています。
歳費受領権とは?
国民の代表として活動をするためには、国会で話し合うだけではなく、住民一人ひとりと話し合いを行ったり、実態調査を行ったりするための活動費が必要となってきます。また、国民の代表として活動する期間中の給料の保障が必要となります。そこで憲法第49条は、以下のように国会議員の歳費、つまり給料の保障を規定しています。
両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。
憲法は国の最高法規として、改正するには厳しい要件があります。そのため、憲法には直接的に歳費の額などは規定されず、「法律によって定める」とされています。
国会議員の歳費は、「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」第1条に基づいて、上記のような金額で支払われます。ちなみになぜこの金額になるかというと、金額の根拠は「国会法」第4章35条に「議員は、一般職の国家公務員の最高の給与額(地域手当等の手当を除く。)より少なくない歳費を受ける。」と規定されているためです。これは、国会議院は、国家公務員の中でも特に重要な公務に携わる者であるとされているためです。
また、上記の歳費以外にも、文書通信交通滞在費として月額100万円支給されていたり、期末手当(ボーナス)を支給されるなど、在職期間中は厚く保障されていることが分かると思います。
不逮捕特権とは?
二つ目に、不逮捕特権という特権が憲法第50条で以下のように規定されています。
両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。
不逮捕特権とは、行政府による逮捕権の濫用によって議員の活動が妨害されることを防ぐという趣旨の規定になります。この不逮捕特権ですが、議員である期間中ずっとというわけではありません。不逮捕特権は、国会の会期中のみ適用されます。
国会の会期中とは、通常の会期である常会、さらには臨時会、特別会が開かれている期間を言い、この期間は不逮捕特権が認められます。さらに、参議院の緊急集会は国会の会期中には当たりませんが、例外として緊急集会開催中の参議院議員にも不逮捕特権が認められます。なお、国会閉会中に委員会が継続審査をすることもありますが、この期間は会期には当たらず、不逮捕特権は認められません。
しかしながら、第50条中にも書いてあるように、法律の定める場合は会期中であっても逮捕されることがあります。その例としては、①院外における現行犯逮捕の場合と➁議院の許諾がある場合です。現行犯逮捕の場合には、犯罪の事実が明白であり、不当な逮捕である可能性が少ないため、不逮捕特権は認められません。また、➁の議院が許可した場合にも、議員の審議権が確保されることとなるため会期中でも不逮捕特権は認められません。
免責特権とは?
三つ目は、国会議員の院内での演説等は、院外で責任を問われないという免責特権になります。免責特権は、憲法第51条に以下のように規定しています。
両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。
免責特権とは、院内における議員の発言や表決の自由を最大限に保障するための規定になります。「議院で行った演説や討論、表決」とありますが、議事堂の敷地内でしか適応されないというわけではありません。実際には、議事堂外での演説も含まれます。
上記の図のように、院内で行った演説や討論、表決については、院外での刑事・民事などの法的責任は問われないこととなっています。しかしながら、院内で行った行為について法的責任は問われませんが、議院での懲罰や所属政党、支持団体による除名処分や懲罰から免れるというわけではないので、この点注意が必要です。
免責特権は、両議院の議員には適用されますが、国務大臣、地方議会の議員、証人・参考人・公述人にはこの特権が及びません。
また、免責特権の対象としても、国会議事堂内で開かれた政党の集会、議員連盟等の会合での発言や、正規の手続きを経ないでなされる会議中の単なる私語、野次等の不規則発言は対象となりません。さらに、暴行・傷害・公務執行妨害等の犯罪行為も対象となりません。