憲法14条の規定する法の下の平等とは?-公務員試験憲法を分かりやすく
最近憲法の過去問演習始めたのですが、憲法14条の「法の下の平等」について意味が曖昧だったのでよく間違えてしまいます。
過去問演習始めてて偉いね。「法の下の平等」については公務員試験でも最頻出分野だからしっかり覚えてないと他の受験生と差がついてしまう分野だね。それじゃあ今日は「法の下の平等」についてマスターできるようにしよう!
「法の下の平等」とは?
そもそも法の下の平等の原理は、「国家からの自由」という原理とともに、アメリカ独立宣言やフランス人権宣言など18世紀から明確に宣言されている大原則になります。日本国憲法でも「個人の尊厳」を守るために14条1項で規定されている原理になります。
①すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
➁華族その他の貴族の制度は、これを認めない。
③栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。
「法の下の平等」の意味とは?
憲法14条1項に規定されている「法の下の平等」は、通説では①法内容の平等と➁法適用の平等という2つの意味を持っているとされています。
①法内容の平等と➁法適用の平等という2つの平等が、「法の下の平等」の平等の意味であるとするのが、法内容平等説(立法者拘束説)と呼ばれる説です。元々は、法が適用される時点での平等だけを規定する法適用平等説(立法者非拘束説)がありましたが、いくら法が平等に適用されたとしても、そもそも適用する法自体が不平等なものなら法適用の平等が保障されていても意味がないので、法内容平等説が通説とされています。
平等の具体的な内容は?
憲法14条に規定されている「平等」ですが、人によって平等の定義はまちまちです。例えば、どんな人であっても全て同一に取り扱うという考え方は「絶対的平等」と言われています。例えば、プログラミング経験者であるAさんと未経験者のBさんという2人がいると仮定します。この時、スキルが異なっていても給料や待遇に差を設けてはいけないというのが「絶対的平等」になります。しかしながら、全て同一の待遇となってしまったら、逆に不公平になってしまいます。
そこで憲法の規定する「平等」とは、個人の現実の違い(スキルや性別、年齢、経済格差など)を前提とした取り扱いの違いは許容するが、同じ事情や同じ条件については平等に取り扱う「相対的平等」のことであるとしています。
また、憲法14条1項後段では、「人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」とどのような場面において平等が要請されるか具体例が規定されています。人種や信条など、14条に規定された例のみ平等が要請されるとする「制限列挙説」もありますが、判例では、14条に規定された例だけではなく、年齢などその他の事情も差別してはならず、14条に規定された内容は例であるという「例示説」をとっています。
法の下の平等の違憲審査基準は?
憲法14条の「法の下の平等」は、「相対的平等」を表していることを話しましたが、具体的にどのような区別が認められて、どのような差別が認められないのでしょうか?判決や学説では、ある取り扱いの違いが差別として憲法に反するか否かの判断基準として、正当な理由のある合理的な区別の場合には、合憲と判断しています。
では「合理的な区別」とはどういった区別であるかについてですが、公務員試験で出題される違憲審査基準では、人種・信条など平等が要請される内容の重要性によって審査基準を分けるという方法をとっています。
要請される平等の重要性に合わせて、裁判所が合憲か違憲かを審査する基準が変わってきます。まず、わざわざ憲法が14条1項に規定さている人種や信条などに対する制限は、どうしても必要不可欠な規制ではない限り、違憲であると判断する「厳格な審査基準」を採用しています。また、一度侵害されてしまうと回復が困難になってしまう精神的自由に対する制限も「厳格な審査基準」によって判断されます。
次に、経済的自由権の中でも、「国民の安全を守るための必要最小限度の規制」を課すような消極目的規制の場合には、「厳格な合理性の基準」を採用して違憲かどうかを判断しています。「厳格な審査基準」によって審査する時には、実質的に関連性のある手段であれば合憲と推定されます。
最後に、一番緩やかな審査基準として「合理性の基準」があります。「合理性の基準」は、経済的自由権の中でも、「社会・経済政策関係の専門知識が必要とされる規制」を審査する際に採られる審査基準になります。立法に高度な専門知識が要求されるような規制については、裁判所には判断が難しい場合もあります。そのため、原則としては立法府の判断に任せながらも、立法府の判断が明確に不合理なものである場合には、裁判所が判断するという流れになっています。