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憲法22条1項が規定する居住・移転・職業選択の自由とは?-公務員試験憲法を分かりやすく

憲法の講義を受けていると、よく精神的自由と経済的自由という用語が出てくるのですが、精神的自由は思想・良心の自由など既に勉強したので理解できているのですが、経済的自由って具体的にどういうことなのでしょうか?

経済的自由は、①職業選択の自由と、②居住・移転の自由、③財産権という3つの権利のことを言うんだけど、①と②は憲法22条に規定されている自由になるよ。公務員試験でもよく出題されるから、今日は特に憲法22条1項について詳しく見ていこう~!

経済的自由とは?

そもそも経済的自由とは、国家によって個人の経済活動が侵害されない自由を表しています。日本国憲法では、経済的自由権は以下のように3つに大別されます。

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経済的自由権の分類

ただし、②の居住・移転の自由は、他の人との交流や自分自身の知見を広めるという目的の下で移転などを行うという理由もあるため、経済的自由権ではなく、精神的自由権に分類されるという考え方もあります。しかし、日本国憲法では、②の居住・移転の自由は、憲法22条1項で①の職業選択の自由と同列に記載されているため、経済的自由とされます。

 

元々経済的自由権は、国家に自分の財産を保障してもらうための重要な権利として、市民革命期には不可侵の権利であるとされてきました。しかしながら現代では、法律による規制もやむを得ないものとして、精神的自由に比べ緩やかな基準で合憲性が審査されています。

 

 

憲法22条1項の規定する自由は?

日本国憲法には、22条と29条において経済的自由が規定されています。憲法22条1項では、以下のように職業選択の自由と居住・移転の自由が規定されています。

憲法22条1項

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。

憲法22条1項では、①職業選択の自由、②居住の自由、③移転の自由という3つの自由を規定しています。まず①の職業選択の自由ですが、これは自分のやりたい職業を決定する自由を意味します。さらに判例・通説では、職業選択の自由には、自分の選択した職業を遂行する自由、つまり「営業の自由」も含まれているとされています。

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職業選択の自由とは?

さらに、憲法22条1項は②と③の居住・移転の自由も規定しています。居住・移転の自由とは、自分の住む場所を自由に決定、移動できる自由で、国内旅行の自由も含まれます。ちなみに、海外旅行の自由は22条2項で規定されています。

 

 

職業選択の自由の保障の限界とは?

経済活動をする以上、他の人との関わりの中で活動をする必要があります。そのため、いくら自由があるといっても周りの人たちに迷惑をかけるような経済活動の場合、場合によっては国家によって規制されることがあります。この点、憲法22条1項でも、文言の中に「公共の福祉に反しない限り」と規定しており、そのほかの精神的自由権などに比べ公共の福祉による制約が厳しくなることが類推できます。

 

 

二重の基準論とは?

そこで、学説においては、「二重の基準論」を用いて、職業選択の自由を規制する立法の合憲性を審査するべきとしています。

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二重の基準論とは?

「二重の基準論」とは、精神的自由を規制する立法の合憲性は、経済的自由を規制する立法よりも厳しい基準で審査されなければならないという考え方になります。つまり、経済的自由の一種である職業選択の自由を規制する立法を裁判所が審査する場合、精神的自由に対する規制の審査と比較して、より緩やかな審査基準で判断されるべきとなります。

 

これは、経済的自由に対する規制がもし不当なものであったとしても、議会という立法過程で修正可能であるためです。また、行政による専門的な知見によって立法された規制について、裁判所は審査しにくいという点もあり、経済的自由に対する規制については緩やかな審査基準で判断するべきとしています。

 

 

職業活動の自由を規制する立法の違憲審査基準は?

職業選択の自由を規制する立法に対して緩やかな審査基準で判断するとしていますが、その審査基準も立法目的によって少し基準が異なってきます。

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経済的自由に対する違憲審査基準

経済的自由に対する規制を審査する際、まず大きく規制目的を「消極目的規制」と「積極目的規制」の2つに分けます。「消極目的規制」とは、「国民の生命及び健康に対する危険を防止するために加えられる規制」のことを言い、国家が国民を守るためにやむを得ず行う規制になります。一方で、「積極目的規制」とは、「経済の調和のとれた発展を確保し、特に社会的・経済的弱者を保護するための規制」を言います。これは、国民の生命や健康など直接的な危害はないが、弱い立場の人たちを守るために国家が積極的に施行する規制になります。

 

「消極目的規制」については、生命・健康というやむを得ない規制であるため、裁判所は専門的知識が不要であり、その他のより良い規制方法はないか審査することになります。これが「厳格な合理性の基準」になります。

 

一方で、「積極目的規制」については、国家が弱者保護のために行う規制であるため、専門的な知見に基づいて規制を行います。そのため、裁判所としても判断が難しい部分があります。そこで「明白性の原則」に基づいて、規制が著しく不合理であることが明確である場合に限り違憲にしています。

 

この考え方に基づいて判断された判決としては、「薬局距離制限事件」と「小売市場距離制限事件」があります。

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「薬局距離制限事件」と「小売市場距離制限事件」

「薬局距離制限事件」では、薬局開設の許可制について、「薬局が自由に開設されてしまうと競争が激化し、経営状態が悪くなる薬局も出てくるため、国民の生命や健康に悪影響を及ぼすための規制」であるという積極目的による規制を行っていましたが、裁判所は「厳格な合理性の基準」に基づいて、規制には合理的な正当性がないとして、当該規制を違憲としました。

 

一方で、「小売市場距離制限事件」では、小売市場の許可制について、「過当競争は中小企業の共倒れを招く可能性があり、安定的な経済発展のための規制」であるという消極目的による規制を行っていましたが、裁判所は「明白性の原則」に基づいて、著しく不合理である明白ではないため合憲としました。

まとめ

・経済的自由とは、国家によって個人の経済活動が侵害されない自由のこと。

・経済的自由は、①職業選択の自由と、②居住・移転の自由、③財産権から成る。

・①職業選択の自由と、②居住・移転の自由は、憲法22条1項に規定されている。

・経済的自由を規制する法律の合憲性は、「消極目的規制」と「積極目的規制」に分けて「厳格な合理性の基準」と「明白性の原則」に基づいて審査される。

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