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日本において難民が少ない理由は?難民の定義とその現状-国際法を分かりやすく

少し前に、ヨーロッパにおけるシリア難民や、ミャンマーロヒンギャなど難民問題が盛んに報道されていましたが、それらの社会問題って今はどうなったのでしょうか?

両方とも難民の受入体制や国民の反発、難民が発生している当事国における課題などまだまだ解決には至ってないよ。実際、難民問題って生活支援や他国への定住支援なども含めて長いスパンが必要になってくるから、すぐに解決するってことはないかな…。

そうだったんですね…。そういえば、よく「難民」という用語はよく使われていますが、実際どういった人たちを指すのでしょうか?それと、僕はまだ日本で難民の方にお会いしたことがないのですが、日本の現状ってどうなっているのでしょうか?

日本は島国で難民が入りにくい環境だから日本人は他人ごとに感じてしまうトピックではあるよね。でも、国際法を勉強する時に重要なトピックの一つになるから、今日は難民の定義や日本の現状について見ていこう!

難民の定義は?

難民というと、「戦禍から逃げてきた人」というイメージがあるかもしれませんが、実際にはそれだけではありません。また、人によって様々なケースで母国から離れなければならないケースがある中で、難民を「戦禍から逃げてきた人」という定義に限定してしまうと、困っている人たちを救済することができなくなってしまいかねません。そこで1951年に採択された難民条約の第1条は、以下のように難民を定義しています。

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難民条約上の難民の定義

難民条約上の難民の定義のポイントは、迫害の理由を5つ挙げているという点と、国籍国の外にいるという場所的な定義になります。国内で別の場所に避難する「国内避難民」や国内の紛争や戦争によって一時的に国籍国の外にいる「一時避難民」は難民条約上の難民ではないと解釈されることがあります。

 

しかしながら、このような限定的な定義だと本当に助けを求めている人たちを助けられない可能性があります。そのため、条約難民の定義の解釈を拡大させるアプローチや、アフリカ難民条約など地域的な条約では、難民の定義を広くしていることがあります。

 

 

難民問題の歴史

1951年に難民条約という統一的なルールによって難民の定義や国際協力の枠組みが作られましたが、難民問題について議論されるようになった時期は第一次世界大戦までさかのぼります。

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難民条約締結までの歴史的経緯

第一次世界大戦前までも、政治亡命者などの国外退避はありましたが、現在の難民の越境のような大規模なものではありませんでした。しかしながら、戦争規模の拡大に伴い、第一次世界大戦後、大量の難民が発生しました。そこで国際連盟難民高等弁務官を設立して難民問題への国際的な対応を開始したことが難民問題への国際的な取り組みの第一歩とされています。第二次世界大戦後には新たな国連体制下で今の難民高等弁務官(UNHCR)事務所が設立され、難民条約も締結されました。

 

 

難民条約締約国の義務

難民条約は2019年時点で146カ国が加盟していますが、難民条約では難民を受け入れる義務は課していません。しかしながら、現に難民に相当する人々が国内にいる場合や難民認定がなされた難民に対する保護義務などがあります。

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難民条約締約国の義務

締約国の義務については、上記のように2つに大別できます。一つは、締約国内にいる人々の保護義務です。難民は生命の危機を感じて緊急で避難してくるため、難民認定の手続が完了しないで締約国に避難してくることがあります。そのため、制度上は不法入国となってしまったりすることもあり、締約国の法律を遵守すると強制送還となってしまいます。しかし、国籍国に強制送還されると殺されたりする可能性もあります。そこで、難民条約は締約国に最小限の保護義務を課しています。

 

次に、難民条約は締約国に積極的待遇義務を課しています。積極的待遇義務とは、難民認定を受けた難民に対して、生活費の援助や身分証の発給などを行う義務になります。例えば通常、パスワードなどの身分証は国籍国が発給しますが、難民は国籍国の保護を受けられないので、パスワードの発給も望めません。しかしながら生活の中で個人の証明は不可欠になるため、受入国にそのような支援などを義務づけています。

 

 

世界の難民の現状

UNCHRのHPを見ると、2019年時点で難民は2,600万人いるとされています。また、難民の定義に当てはまらない国内避難民や庇護申請者など故郷を追われた人々は合わせて7,950万人いるとされています。

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[出典]国連UNHCR協会『数字で見る難民情勢(2019年)

 

全体の3分の2以上をシリア、ベネズエラアフガニスタン南スーダンミャンマーの5カ国が占めており、シリアやアフガニスタンが近いトルコが360万人の難民を受け入れているそうです。

 

私自身、上位5カ国の内のある国に住んでいたことがあるのですが、国内も利害関係が複雑で難民問題も平和的に解決したいけど自国だけでできないというのが現状のようです。以下の動画は国連UNHCR協会の『数字で見る難民情勢(2019年)』に埋め込まれていた動画になります。難民のリアルな現状が分かるのでぜひ見てみてください!

 

日本における難民の現状

一方で、日本の難民受け入れの現状はどうでしょうか?アムネスティ日本によると、2019年に難民認定申請を受けた人数は10,375人で、その内申請が認められたのはたったの44人になります。

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[出典]日本アムネスティ難民認定申請者と認定者の推移

 

申請の認められる割合が極端に少ないのが現状になりますが、これは①日本の難民認定審査の厳しさや、②申請を受ける人々の質が挙げられます。特に②については、ヨーロッパの場合はシリアやアフガニスタンなど激しい紛争が起きている地域からの避難民であるため、難民の要件に当てはまりやすいです。しかしながら日本の場合は、ネパールやインドネシアなどアジアの人々の申請も多く、難民の基準に明らかに該当しないケースもあるようです。

 

だからと言って難民認定を必要とする人々に行き渡っていないとすると問題ですが、この点は予算や不正をなくすという点とのバランスを保つ必要があるので、なかなか難しいところです。

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