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香港をめぐる中国の対応を他国が非難することは内政干渉?国家の基本権とは?-国際法を分かりやすく

去年ごろ香港で大規模なデモがありましたが、テレビを観ると未だに問題が収束していないようですね。

そうだね…。昔から国家安全条例に反対するデモや抗議活動は度々起きていたんだけど、2019年に議会に提出された「容疑者引き渡し条例」の改正案が今回の引き金になってて、現在もまだ解決したとは言えない感じだよね…。

そうですね。そういえば、イギリスやアメリカが中国の行為を非難した際、中国が「内政干渉だ」って非難しかえしていましたね。国際法の授業でも「内政干渉」という用語を見た記憶があるのですが、どういうことなのでしょうか?

国際法上、全ての国家には基本的権利や義務が認められているんだけど、他国の内政に干渉してはいけないという義務を「不干渉義務」と言うよ。もちろん、無制限に認められるわけではないんだけど、国家の基本的権利義務は国際法でよく出てくる部分だから、国際法の勉強も兼ねて理解できるようにしようか。

国家の基本的権利義務とは?

戦前は互いに相手国の内政などに干渉しないという消極的な義務だけしかありませんでした。しかしながら多くの国を巻き込むような戦争の大規模化や、環境問題や貿易などのグローバリゼーションに伴い、相手に干渉しない義務だけではなく各国協力して問題に取り組む義務などが不可欠となりました。

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国家の基本的権利義務の変遷

そこで、1970年の国連総会決議において、「友好関係原則宣言」が出され、国家の基本的権利義務が定められました。「友好関係原則宣言」は、国際協力義務や武力行使禁止原則を定めており、特に今回関係する「不干渉義務」が改めて国際ルールとして明文化されました。

 

 

国家主権って一体何?

国家主権とは、国が領土や領空、領土に住む人々など領域内に排他的に持つ支配権のことを言います。定義をしっかりと書こうとすると難しくなってしまうので、シンプルに言うと「自国のことについて自分たちで決定する権利」を言います。もちろん、隣国同士の国境線の決定や貿易政策など他国との調整が必要な事柄については主権があるからといって自由に決められるわけではないですが、自国内のことについては他国に干渉されないで自由に決めることができるという国家主権が国際法上確立しています。

 

 

不干渉義務とは?

全ての国家は主権を持っており、自分たちの国内のことは他国に干渉されないで自由に決められるということが認められています。そのため、「友好関係原則宣言」には、他国が別の国の内政について口出ししてはいけないという「不干渉義務」も規定されています。

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不干渉義務とは?

国内管轄事項とは、「国際法によって拘束されない国家活動領域」に関わる事柄のことを言い、国内管轄事項に関する施策や行為は他国が干渉してはならないというのが国際法上のルールになります。

 

 

中国の対応を諸外国が非難することは不干渉義務違反になるの?

不干渉義務は国際法上確立した国家の基本的権利義務となります。一方でアメリカなど諸外国は、人権侵害を理由に中国の対応を非難しているのが現状になります。そのため、中国の主張としては、「香港国家安全維持法の施行や危険分子の取り締まりは国内管轄事項なのだから、他国が干渉するべきではない」ということになります。

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香港問題をめぐる中国と諸外国の意見の対立

しかしながら、中国の国内管轄事項だから不干渉義務違反になるかと言うと難しいところになります。なぜなら、他国の介入が認められる不干渉義務の例外が国際法上認められているからです。

 

 

不干渉義務の例外とは?

国際社会では、各国の国家主権とその不干渉義務を認めながらも、ナチス・ドイツなど第二次世界大戦の反省を踏まえ、一定の条件の下で他国の国内管轄事項への干渉を認めました。

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不干渉義務の例外

不干渉義務の例外とされるケースについてはいくつかありますが、今回の香港問題で言うと、3つ目の人道的干渉に基づく介入が諸外国の非難の正当性/根拠になっています。

人道的干渉

広く迫害を受けている者の生命・身体を保護し、また迫害をやめさせるという人道的理由に基づいてなされる関与・介入のこと。

今回の国家安全維持法の施行など中国の対応は、これまで一国二制度の下で認められてきた人権などの民主的権利が不当に侵害しており、迫害を受けている者を保護するために、アメリカなどは非難の声明発表や優遇措置の廃止などの対抗措置をとっています。

*BBC NEWS JAPAN『米下院、香港めぐり中国制裁の法案を可決 国家安全法を非難

 

 

中国の主張は正しくないの?

不干渉義務にも例外があり、国際法上一定の条件の下で他国が内政に干渉することも認められているため、「他国が非難することは内政干渉である」という中国の主張は正しくないのでしょうか?

 

この点、不干渉義務の例外はあくまでも例外です。そのため、いつも好き勝手他国に内政干渉している中国が自分たちの時に限って内政干渉するなというのは矛盾しているように見えますが、香港問題だけで考えてみたとき、どちらが正しいかというのは難しい問題になります。というのも、先ほどのBBCの記事にもあるように、キューバなど53カ国が中国の法律に賛成している現状があるからです。確かに日本人や欧米諸国から見ると中国は人権侵害を行っているように見えますが、国内における治安の取り締まりも不可欠です。

 

このページではあえて中国と非難している他国、どちらの主張が正しいのかは検討しませんが、「人道的理由に基づいて内政に干渉できるケースなのか」が重要になってきます。興味のある方はぜひニュースなどを見て、自分で考えてみて下さい!

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