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国際慣習法とは?-国際法を分かりやすく

国際法を勉強しはじめたのですが、国際法って条約だけじゃなくて国際慣習法も勉強しないといけないから大変ですよね…。条約と何が違うのかよくわからなくて混乱してきてしまいました…。

国際慣習法は多くの場合条約とは違って、文書化されていない国際社会のルールだから分かりにくいよね。それじゃあ今回は、国際慣習法について整理できるようにしようか!

国際慣習法とは?

国際慣習法は、中世以降の西洋諸国の慣行によって形成された不文の一般法規を言います。よりかみ砕いて言うと、条約のように文書で定まってはいないけど、多くの国が守るべきと考えているルールを言います。教科書によっては「慣習国際法」と表現されますが、どちらも同じ意味になります。

 

条約のような文書のルールが作られる以前から国際慣習法は国際社会で機能してきました。しかし多くの条約が作られるようになった現代で、「条約があれば国際慣習法は必要ないんじゃないの?」と考える人もいるかもしれません。しかし、条約による多国間でのルール作りには時間がかかり、さらには条約が規定できる範囲には限界があります。そのため、不文のルールとして柔軟な法源である国際慣習法が機能するため、現在でも重要な役割を担っています。

 

 

どうやって国際慣習法はできるの?

国際司法裁判所(ICJ)規程381bでは、国際慣習法は「法として認められた一般慣行の証拠としての国際慣習」と表現されており、国際慣習法が成立する要件としては、①一般慣行と、②法的確信の2つがあり、2つが揃って国際慣習法となります。

 

一般慣行とは

まず一つ目の「一般慣行」ですが、これは「同様の実行が反復継続されてひろく一般に受け入れられるに至った国家実行」のことを言います。どういうことかというと、ある国がAという行為(実行)をした時、他の多くの国もAという行為を同様に行ったり、問題ないと許可・黙認しているときに「一般慣行」が成立したと考えられます。他の国も同様の行為をしたり、許可・黙認など国家実行が蓄積して「一般慣行」となるため、「一般慣行」は「客観的要件」とされています。

 

法的確信とは

次に、二つ目の「法的確信」ですが、これは「一般慣行を法的なものと認めて行うこと」を言います。「一般慣行」として国際社会で広く受け入れられている行為であっても、すべて法的に守らないといけないというわけではありません。例えば、他国の政府高官が来日した時に、おもてなしの仕方として国際礼譲(プロトコール)が外交の世界にはあります。しかしもし国際礼譲に反するおもてなしをしてしまったからといって、相手国に批判されることはあったとしても裁判で裁かれることはありません。このように法的な義務と考えられていない行為には「法的確信」はなく、国際慣習法ではないとされます。逆に、関係国が法的な義務と考えている場合には、関係国の行為から「法的確信」の有無を推定し、あると判断された場合には、「法的確信」が成立します。そのため、「法的確信」は「主観的要件」とされています。

 

 

国際慣習法の効果は?

国際慣習法は条約と異なり、原則として全ての国家に一般的に適用されます。しかし、条約のように加盟しなくとも適用される国際慣習法であっても、全ての国家に適用されないケースがあります。

 

まず一つ目が、当該国際慣習法が、地域的慣習法である場合です。地域によって政治体制や宗教・文化的価値観が異なる中で、作り上げられてきた慣習も異なります。そこで、例えば欧州のみなど地域が限定されて慣習法が成立するケースがあります。この場合、対象地域外では慣習法とはならないため、適用されません。

 

二つ目に、当該慣習に対して「一貫した反対国」は適用範囲から除外されることがあります。この時、当該慣習が国際慣習法となったとしても、「一貫した反対国」には適用されなくなります。ただし、適用されないということは「一貫した反対国」もその慣習法を根拠にして対抗できないことになります。

 

 

最後に

国際法を勉強すると、様々な判例に出会う中で色々な国際慣習法に触れる機会があります。判例で慣習法を理解する中で、条約とは何が違うのか?などをしっかりとイメージしながら勉強してもらえればと思います!

[参考]

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