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衡平とは?-国際法を分かりやすく

どうして「衡平」が必要なの?

そもそも国際社会における裁判では、条約や国際慣習法などの法源が用いられています。これら条約や慣習法など客観的な基準があるからこそ、国際社会は成り立っています。しかし、文化的背景や歴史的背景など複雑な事情が入り組んでいる国際社会において、条約など抽象的なルールだけだと実際の運用で困ることが出てきてしまいます。

 

そのような時、厳格に条約や慣習法だけを適用するという立場であると、判決ができないケースも出てきてしまいます。そこで考えられた概念が「衡平」になります。

 

衡平とは?

衡平とは、「実定国際法機械的適用の結果が、現実の利益・必要に対して不適切で社会的相当性を欠く場合に、抽象的な法規に具体的妥当性をもたせるための是正基準」のことをいます。実定国際法とは、実際に社会で使われている国際法のことを言い、条約や国際慣習法などのことを言います。

 

例えば、排他的経済水域(EEZ)という言葉を聞いたことがあるでしょうか?排他的経済水域とは、「自国の基線から最大200海里(約370km)の線までの海域」を言います。排他的経済水域内では天然資源の開発など様々な権利が付与されますが、最大200海里ってとても規模が大きいですよね。日本の太平洋側にはほかに島国が近くにないので問題になりませんが、日本海側などはどうでしょうか?200海里分排他的経済水域の権利を日本が持ちたいと思っても、韓国や中国もできる限り排他的経済水域の範囲を広げたいと考え、意見が対立してしまいます。

                                <a href="https://www.photo-ac.com/profile/2726108">rakuichi_rakuza_v3</a>さんによる<a href="https://www.photo-ac.com/">写真AC</a>からの写真

rakuichi_rakuza_v3さんによる写真ACからの写真

この時、排他的経済水域が各国重複してしまう部分については、まず原則として「等距離中間線基準」が適用され、ちょうど中間地点で境界線が引かれます。しかし、例えば小さい島が間にあったり、これまでの歴史的な慣習などが各国であるため、一様に中間線をひくと実態にそぐわないという事態が起こってしまうことがあります。そのような場合に、条約で定められた方法を機械的に適用するのではなく、関連する事情を考慮して境界線をきめていくことを衡平と言います。

 

つまり、条約などのルールで決められていたり、抽象的で分かりにくいルールをそのまま使うのではなく、現実の事情に合わせて柔軟に対応していきましょう、というのが衡平の考え方になります。

 

 

衡平の3つの分類

ブルキナファソ・マリ国境紛争事件ICJ判決において、国際司法裁判所(ICJ)は、衡平を「実定国際法に反する衡平」、「実定国際法の中にある衡平」、「実定法の外にある衡平」の3つに分類しました。

 

実定国際法に反する衡平

一つ目の「実定国際法に反する衡平」とは、平等・正義・善と言った裁判官個人の主観的感情のことを言います。ICJ規程382項では、当事国の合意があればこの「衡平及び善」を用いた判決も可能とあります。しかし、「衡平及び善」は当事国が同意したからこそ使える手段であるので、法源性は認められません。つまり、その裁判以外の裁判では援用できないということになります。

 

実定国際法の中にある衡平

二つ目の「実定国際法の中にある衡平」とは、国際慣習法や条約の解釈を是正するものを言います。条約などのルールは抽象的で曖昧なうえに、現実の複雑な事情に対応できないことがあります。そこで現実の事情に沿って、国際裁判所が現行法の内容を解釈することによって、衡平な結果を導こうとすることを言います。

 

実体国際法の外にある衡平

最後の「実体国際法の外にある衡平」とは、実定国際法が不十分な分野において、これを論理的に補う補助手段としての法源に該当するものを言います。国際社会には文化や習慣の異なる様々な国があります。それらの国々が経済、政治、宇宙、海洋、環境問題など様々な分野での利害調整を行おうとすると、どうしてもルールが未整備な分野での調整が必要なこともあります。

 

そのような時、ある国の主張した国内法などのルールが国際社会に認められ適用されるケースがあります。ある国が実定国際法の欠缺している分野で国内法を設定したり、権利を他国に対して主張したりすることを、「一方的国内措置」と呼んだりします。この「一方的国内措置」が条約などの国際法になることもあり、国際社会で認められることもあるため、「実体国際法の外にある衡平」は、新たな国際法が作られるきっかけとなる「実質的法源」であるといえます。

 

 [参考]

国際連合広報センター:国際司法裁判所規程

www.unic.or.jp

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