集団討論通過極意!合意形成の方法を知る!③―地方公務員集団討論対策
意見をまとめるための客観的な軸を作る!
以前、集団討論の評価ポイントを知ろうという記事で集団討論のポイントと、各役割を説明しました。その中で、公務員試験における集団討論は、アイデアを生み出す発想力よりもチームで意見をまとめる社会性・論理性などがより重視されることを話しました。前回までで話し合いをスムーズに行うための議論の枠組み(議論の流れ)を作ることの重要性と、その提案の仕方を説明していきましたが、今回は最終的にアイデアを収束させる(メンバーの意見を一つにまとめる)ために利用できる客観的な軸の作り方と提案の方法について話していきたいと思います。
記事のポイント
発想力ではなく、社会性・論理性で評価を高める
僕も民間企業を含め、数多くの集団討論を経験してきました。それらの経験から、民間しかり自治体しかり、どの集団討論でもアイデアをまとめる最終局面で多数決や、リーダー(司会)の最終決定で決まるというパターンがほとんどでした。もちろん、限られた時間の中で決定しないとならないため、あまりにも独善的でなければ評価はマイナスにはならないと思います。ただ、悪くない方法ではあったとしても、ベストな方法ではないと思います。
つまり、この場面で受験生としてよりよいアイデアの収束方法(メンバーの意見を一つにまとめる)を提案できれば評価が上がる可能性があるということです。そして、アイデアの収束方法は発想力に頼る必要はないため、使いこなせればどの様な集団討論でも安定して高評価を得られるということです。
メンバーが意見をまとめられるような枠組みを提供する
但し、メンバーの意見をひとつにまとめるためにアイデアの収束方法を提案するということは、独善的に意見をまとめるということではありません。ここで重要なのは、メンバーが自発的に意見をまとめられるような枠組みを提案するということです。
価値観が違うメンバー間では意見をまとめるための軸がポイントになる
そのために提案するのが、アイデア(メンバーの意見)を絞るうえで全ての人が持っている客観的な軸(出来れば定量的)を提案するということです。
同じ日本人でも生活していた場所や、専攻、人間関係などその人固有の経験から違った価値観を持っています。例えば、卑近な例ですが、原発の近くに住んでおりその怖さを実感した住民と、まだその怖さを体感おらず経済的に恩恵をこうむっている住民とでは、原発に対する考え方が異なっており、一方は経済性よりも安心安全を重視しますが、もう一方はもしかしたら経済的利益を重視するというケースが考えられます。こういったケースでは、どちらも重視するポイントが異なるため、原発をなくすべきか維持するべきかを決定するのは難しいです。
さらに、ほとんどの場合集団討論では、その日初めて会ったメンバーと議論をかわすため、各メンバーがどの様なことに重きを置くのか分からない状態で話さなければいけません。そうなると、最終的に多数決で3対2に意見が割れて、3の方が通ったとしても、民主主義的には良くてもメンバー全員の本当の合意とはならないと思います。
このようなことがあるため、より良い合意形成を行うために意見をまとめる前に意見を決定するための客観的な軸を共有することで、より論理的かつ社会性のある合意形成を行うことができます。そして、集団討論での本来の目的である自分の評価を上げることが出来るようになります。
いつ、どの様な軸を提案する?
ではまず、いつ軸を提案するかですが、一番良いのは、中盤の各人がアイデアを出し終えた後か、終盤の意見をまとめるための決定打に欠けている状況です。
前者の中盤での提案の場合とは、集団討論中は、司会役になった受験生も緊張で次に何をやればいいのか分からなくなってしまっていることがあります。特に、はじめに各メンバー個人発表があるのですが、そのあとに何をやればよいのか考えてしまっていることがあるので、その時に手を挙げて「○○さんや○○さんなどから、~~という意見や~~という意見が出ており、様々な立場があると思うので、~~という方向性に絞って意見をまとめていき、最終的に‥‥などの客観的な軸をみんなで考えて、どのアイデアがふさわしいか考えてみるのはどうですか?」と言えれば、緊張しているリーダーを手助けしつつ、論理的かつ社会性のある考え方を持った提案と高評価を得ることが出来ると思います。特にこの場合、最終局面まで話しの流れを提案しており、集団討論通過極意!合意形成の方法を知る!②で話したような議論の枠組みも作りながら、今回の決定軸についても触れているため、議論全体を俯瞰しつつ、細部もしっかりと考えていると試験官に判断してもらえると思います。
後者の終盤の意見をまとめるための決定打に欠けている状況で提案する方法としては、あるメンバーが他のメンバーの意見に対して反対して、こうした方がいいと言った時に提案すると効果的な方法です。中盤から終盤にかけてメンバー間で自分の経験などからこうした方が良いというアイデアを発言することになり、どのメンバーの意見も良いことを言っており、どちらが良いとは安易に言えないことが多いです。そのような時に例えば、「○○さんの意見も○○さんの意見もどちらも良いと思いますが、○○さんの意見は‥が重視されており、○○さんの意見では‥が重視されているため、どちらが良いとは一概には言えないと思うので、例えば~のような意見をまとめるための軸を3点くらい考えて、その軸に沿ってどれがいいのか考えるのはどうでしょうか?」というといいと思います。
次にどの様な軸を提案するかですが、自分からは具体的に提案する必要はないです。とにかく、軸を作って提案するのはどうかを言えば大丈夫です。というのは、やはり全て自分で決めてしまうと独善的と思われかねないため、みんなで何が重要な軸かを3点ほど検討してそれを用いて意見をまとめることができるのがベストな形だからです。また、もし軸を作って考えようと言った提案が却下されたとしても、面接官へのアピールが重要なため、こういった提案をすること自体にも意味があります。
ただ、例えばどういった軸が例としてあるかは提案する側として知っておいた方が良いので、よく使われる軸として、「コスト、効果、実現可能性(施策の期間や折衝の難度)」などが挙げられるというのを知っておいて損はないです。
試験官にアピール出来るようにするのがポイント
以上のような提案を自然に出来るようになれば、まず落とされることはないと思います。(もちろん、それ以外の態度が悪いや、自分勝手などであれば落ちますが)集団討論で良いアイデアが出せないよという人は多いと思います。しかし、発想力よりアイデアをまとめる貢献度がより重要になってきます。集団討論で結果が出ない方はぜひこの方法を試してみてください。