市場均衡とは?-公務員試験ミクロ経済学
カズ。今お腹すいてる?さっき、バイト先でドーナツたくさん貰ってきて余ってるから食べる?
もちろん食べます!そういえば、今日から公務員試験対策講座でミクロ経済学の講義が始まりました。第一回目の授業は「需要と供給」について勉強したのですが、最初からちんぷんかんぷんでした…。
経済学は初学者にとっては難しいかもね。でも、私が持ってきたドーナツを使ったり身近なものを使ってミクロ経済学って理解することができるよ!今日は、「需要と供給」について考えてみよう!
市場(しじょう)とは?
ミクロ経済学では、重要なキーワードとして「市場(しじょう)」という言葉があります。ミクロ経済学という学問は、「市場」を通じてモノやサービス、労働力などのやり取りが行われていると想定して、経済活動を分析します。
ミクロ経済学で学ぶ市場としては、大きく2つの市場があります。一つは、企業から消費者(家計)がモノやサービスを購入する「生産物市場」、もう一つは、家計から企業へ労働力などを提供する「生産要素市場」です。
[参考]「わかりやすく経済学教室 ぴーすけ講座」
基本的にミクロ経済学において、特に言及がなければ「市場」とは、モノやサービスのやり取りを行う「生産物市場」のことを言います。
ミクロ経済学を勉強する際には、市場にはどのような人たちがいるのかを理解するのが重要です。市場には3つの主体が存在していると仮定しており、1つ目の主体としては、モノやサービスを提供する供給者です。供給者とは、企業のようにモノやサービスを販売する売り手のことを指しています。
2つ目の主体としては、モノやサービスを購入する需要者です。需要者とは買い手である消費者を指しています。最後の主体としては政府であり、政府は市場で何か問題が起こった際などに介入する主体で、公務員試験の問題によって省略されることもあります。
需要曲線とは?
消費者である需要者と、企業などの供給者は、市場を通じて財やサービスのやり取りを行っていると仮定し、ミクロ経済学では、市場におけるやり取りを次のような図に表すことによって分かりやすくしています。
出典;『需要と供給』
まず、需要者(消費者)側は、「需要曲線」によって表されます。「需要曲線」とは、「ある財について、ある価格ならどれくらいの買い手によってその財(モノやサービス)が買われるかという需要量と価格の関係を表した曲線」を言います。言い換えると、「ある商品が、いくらの価格であれば何個購入されるか?」という商品の価格と想定される購入量の関係を表しています。
[出典]「わかりやすく経済学教室 ぴーすけ講座」
原則的に、需要曲線は上記のように右下がりの曲線(直線)になります。なぜ右下がりになると言えるのでしょうか。
例えば、今、市場に消費者が2人しかいない世界を想像してみてください。一方で、市場にはドーナツを売っている会社が数社あるとします。市場に存在する消費者の一人であるカズはドーナツが好きですが、もう一人の消費者である先輩はドーナツを好きでも嫌いでもなく普通だったとします。
当初、ある会社がドーナツを1個100円で販売したとします。その時、ドーナツ好きなカズは購入するとして、一方で、ドーナツ好きではない先輩は「100円はコスパ悪すぎ...」と思って買わないとすると、市場ではドーナツ1個のみが買われることとなります。
次に、ドーナツ1個の値段が80円になったとしましょう。先輩が「80円ならコスパ良いね」と考えて購入すると、市場でドーナツは2個買われることになります。
今回は消費者が2人のみでしたが、もっと消費者が多く市場にいるとした場合、ドーナツの値段が安くなると先輩のように買ってもいいかなと思う人も多くなっていきます。このような、値段と消費量の関係を表したのが右下がりの需要曲線になります。
[出典]「わかりやすく経済学教室 ぴーすけ講座」
縦軸Pは価格を表しており、横軸Dは需要量(消費される量)を表しています。つまり、縦軸Pが100(円)の時、横軸Dの需要量が1(個)となり、縦軸Pが80(円)となると、横軸Dの需要量が2(個)となります。
供給曲線とは?
企業などモノやサービスの売り手である供給者について表したグラフを「供給曲線」と言います。「供給曲線」とは、「ある財について、ある価格ならどれくらいの売り手によってその財が売られるかという供給量と価格の関係を表した曲線」になります。言い換えると、「ある商品を、企業がいくらならどれだけの量を市場で販売したいと思うか?」という財の価格と生産量/販売量の関係を表したものになります。
[出典] 「わかりやすく経済学教室 ぴーすけ講座」
供給曲線は原則として、需要曲線とは異なり右上がりの曲線(直線)になります。なぜ右上がりになるかというと、企業の目的の一つは、は利潤(利益)を追求することです。そのため、販売価格が高ければ高いほどコスパが良いのでたくさん販売しようとするため、右上がりの曲線になります。
また、完全競争市場(別記事で改めて紹介します)の場合には、無数の会社が存在していると仮定しますが、値段が高ければ高いほど商品を1つ生産する際のコストが高くなっても利益が出るため、技術力のない会社でも参入できるようになります。
例えば、先ほどと同様に、ドーナツを販売している市場を想定してみましょう。市場には企業Aと企業Bがいるとします。もし企業Aはドーナツを1個作るのに70円かかる(1個作るコストが70円)で、企業Bはドーナツを1個作るのに90円かかる(1個作るコストが90円)としたら、価格が80円の時は企業Aしか利益を得られないため、企業Aしかドーナツを作らなくなります。
しかしながら、もし価格が100円になったとしたら、企業Bもドーナツ販売によって利益を得られるようになるのでドーナツを作った方が良いとなります。つまり、価格が上がると少しコストが高くても作れる企業が増えてくるため、供給曲線は右上がりになるのです。
市場均衡とは?
最後に、「需要曲線」と「供給曲線」を同じ図内に描いたグラフを見ていきましょう。
出典;『需要と供給』
例えば、ドーナツ1個の価格P*が100円の時に、市場での取引量Q*が1,000個の時が均衡点E*であるとしましょう。
もし、企業がドーナツ1個を120円で売りだした場合、より多くの企業が参入するため、供給量は1,000個より多くなります。しかしながら、120円だと消費者が割高だと感じ、買い控えしてしまうようになるため、需要量は1,000個を下回ることでしょう。そうなると、需要と供給は合致しないため、撤退を余儀なくされる企業も出てくることでしょう。
一方で、もしドーナツ1個の価格が80円になった場合、買いたいと思う消費者の数は増えてきますが、利益を十分に確保できないため、供給量が需要に間に合わなくなってしまいます。
すると、買えない人も出てくるため、「価格が高くなってもいいから買いたい」という人も出てきます。すると、別の企業が参入し、ドーナツ価格も全体的に吊り上がってくるため、100円となったところで、ちょうどよい取引量1,000個として均衡します。
このように、需要量と供給量が合致した価格と数量の均衡点Eをにあるときを、市場均衡と言います。
「需要と供給」が均衡するという考え方は、経済学においてとても重要な考え方のため、絶対に理解しておく必要があります!