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ミクロ経済学における余剰分析とは?-公務員試験ミクロ経済学

あっ、先輩、こんにちは!何の勉強しているんですか?

こんにちは、カズ。今日は家庭教師の仕事があるから、事前の準備しているよ。

家庭教師の仕事って大変そうですね。

そうだね。でも生徒の成長を手助けできる仕事だから楽しいよ!

そうなんですね。それじゃあ、生徒だけじゃなくて、僕にもミクロ経済学の「余剰分析」を教えてください!さっき講義で習ったのですが、いまいち分からなかったので…!

いいよ。「余剰分析」については、家庭教師の話を使って理解することができるから、今日は「余剰分析」について勉強してみようか。

余剰分析とは?

ミクロ経済学で出てくる「余剰」とは、「市場メカニズムの効率性の指標」を指し、「余剰分析」とは、「財やサービスのやり取りを行う市場メカニズムの中で効率的に資源が配分されているかを分析する手法」になります。

 

市場には、消費者(需要者)、生産者(企業、供給者)、さらには政府という主体が存在します。財やサービスを市場で取引する中で、例えば、生産量が少なく取引される量が市場均衡の状態より少ないとなると、本来ならもっと売買したいと思う消費者・生産者がいるのにできていないということになります。

 

経済学では、ある商品を買いたいと思う消費者と、売りたいと思う企業の考える価格・取引量が合致した場合(市場均衡)を、「資源が効率的に配分されている」状態にあると言います。そのため、先ほどの取引量が市場均衡より少ない状態は、経済学では資源が効率的に配分されていない状態となります。

 

ある価格・取引量において、消費者がどれだけ便益(消費者余剰)を得ていて、生産者がどれだけ利潤(生産者余剰)を得ているのかを分析することで、資源が効率的に配分されている状態を目指すのが、余剰分析の目的となります。

 

 

消費者余剰とは?

消費者余剰(Consumer’s Surplus;CS)とは、「『消費者が財の消費から得ている効用を金額表示したと解釈される値の総額(総便益=Total Benefit;TB)』と『それを得るために実際に支払う金額(総支出=Total Expenditure;TE)』の差」を指します。

 

消費者余剰を分析する際には、以下のように需要曲線と供給曲線を使って分析します。需要曲線は、「財が市場にある数量あるときに、どれほどの価格で消費者が買うか」という評価額を表しています。

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消費者余剰➀

例えば、上記のように、ある財が50個市場に出回っているとしたとき、希少な財のため、160円でも買いたいと思う消費者が50人(1人1個のみ購入すると仮定)存在するとします。この時、企業は40円で販売したとしているので、1個160円分の価値があると思っていた消費者は120円分得をしたことになります。このお得感を消費者余剰と言います。

 

ただし、ここで注意するポイントがあります。今、市場で50個取引されているときには、120円分得をしたと感じると話しましたが、厳密には50個目の財のお得感が120円という考え方になります。

図;消費者余剰②

 

つまり、市場に財が1個しかない場合には、希少価値が高いため、消費者は200円支払ってもいいと思っています。また、市場に財が2個しかないときは、2個目の評価額は200円までの価値はないですが、それに近い額まで払ってもいいと思っています。

 

これが3,4個と増えていったときに、それぞれの評価額から生産者側の提示した40円をそれぞれ引いた総計が消費者余剰になります。図で表すと、黄色い部分の面積が消費者余剰の総計です。

 

 

生産者余剰とは?

次に生産者余剰(Profucer’s Surplus;PS)について見ていきましょう。生産者余剰とは、「生産者が得ている『総収入TR』と『可変費用VC』の差」になります。

 

例えば、生産者が商品を1個40円で、50個販売したとします。もし生産者が財を1個しか販売しなかったとすると、本来であれば1個20円で販売できればいいところを、40円で販売しているため20円分得をしています。2個目を販売したとするとき、生産者は20円よりは価格を設定したいと思っていますが、20円より少し上の程度のため、40円の価格に対してまだ得をしています。このように3,4個と生産量を増やしていく中で得をした量を積み重ねていったときの総計が生産者余剰となります

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生産者余剰

 

 

総余剰とは?

「消費者余剰」と「生産者余剰」を足し合わせた合計を「総余剰(Total Surplus;TS)」と呼びます。「総余剰」とは、市場全体の余剰の合計を指し、「総余剰」が大きければ大きいほど、市場では効率的な取引ができていると考えます。

 

完全競争市場において、需要曲線と供給曲線の交点で取引量、価格が均衡します。これを家庭教師というサービスを例にとって考えてみましょう。

 

ある家庭教師の先生A(供給者)は、生徒A(消費者)1人を受け持っており、1回1,000円で授業料をもらっているとします。この時、生徒Aは「先生は教え方が上手だし、本当なら1.600円までなら支払ってもいいんだよね」と思っていたとすると、生徒は600円分得をしたことになります。

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余剰分析1

現段階で実際に授業を行っているのは先生Aと生徒Aしかいませんが、実はこの市場には、「家庭教師をやりたい」という他の先生や、「家庭教師の授業を受けたい」という別の生徒がいます。

 

「家庭教師をやりたい」と思っている人(先生B)は、1回1,000円だと労力に見合わないため、1回1,200円でなら受け持ちたいと思っており、ある時家庭教師のマッチングサイトで「1回1,200円」の募集を掲載しました。すると、1回1,500円までなら授業料を出しても良いと考える生徒Bが応募し、先生Bと生徒Bの授業が始まりました。

 

この時、先生Aもこの募集を見ており、「授業料って1回1,200円でも受けてくれる人がいるんだ」と感じ、生徒Aではなく、もっと高い授業料を払ってくれる生徒を受け持ちたいと思うようになります。そうなると、生徒Aは先生Aが別の生徒のところへ行かない水準である1,200円を出すようになります。

 

このように、完全競争市場においては、生徒Aが、生徒Bに先生Aを横取りされないように市場価格が1,200円となります。

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余剰分析2

 

その結果、消費者余剰、生産者余剰は上記のようになります。その後、新たに1,400円でなら家庭教師をやりたいと考える先生Cと、1,400円までなら授業料を出せる生徒Cがいたとするとき、先ほどと流れで市場における授業料が変更になり、最終的に1,400円で均衡します。

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余剰分析3

 

ちなみに、家庭教師3人、授業料1,400円の時、これ以上は家庭教師の人数は増えなくなります。というのは、先生A~C以外は1,400円では割に合わないですが、先生A~Cがいる現在の市場では、1,400円より高い金額で契約してくれる生徒がいないためです。

 

市場には、1,400円より低い金額なら授業を受けたいと思っている生徒はたくさんいるのですが、家庭教師側でそれを受け入れられる先生がいないため、1,400円,3人で均衡します。

 

最後に、上記の均衡時の総余剰を算出する計算について下記に記載しました。

総余剰=消費者余剰+生産者余剰

消費者余剰=(1700-1400)×3×1/2

             =450(円)

生産者余剰=1400×3×1/2

             =2100(円)

総余剰=450+2100=2550円

 

このような均衡状態の時に総余剰が最も大きくなります。これ以上生産量が大きくなったり、生産量が少ない場合には市場での資源配分が効率的に行われていないため、死荷重損失(デットウェイトロス)と呼ばれる損失が発生し、余剰も小さくなってしまいます。

 

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