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寡占市場(クールノー均衡・シュタッケルベルグ均衡)とは?-公務員試験ミクロ経済学

あ、先輩、こんにちは!ちょっと質問なのですが大丈夫ですか?

こんにちは、カズ。大丈夫だよ、どうしたの?

ありがとうございます。この間ミクロ経済学の授業で「独占」について勉強して、売り手が一社しかいない純粋独占市場は理解できたのですが、今日の授業で「寡占市場(かせんしじょう)」というのが出てきて、違いが分からないので教えてほしいです…!

なるほど。確かに最初は違いを理解するのは難しいよね。そういえば、今カズが手に持ってる飲み物ってコーラ?

そうですよー。どうしたんですか、いきなり。

うん、実はコーラって分類的には「寡占市場」に属するよ!

えー、こんな身近なモノが「寡占市場」に属するんですね~。

そうそう、それじゃあ今日はコーラを例に、「寡占市場」について理解できるようにしよう!

寡占市場とは?

寡占市場(かせんしじょう)とは、「企業(売り手)が数社しかいない財の市場」のことを言います。大きく分類すると寡占市場も独占の一形態ですが、(純粋)独占市場は「企業(売り手)が1社だけの財の市場」だったのに対し、寡占市場では売り手は数社います。また、寡占市場の中でも、2社しか売り手がいない市場を「複占市場」といいます。公務員試験ではほとんどの場合売り手が2社しかいないと仮定した「複占市場」を使います。

 

初めに「寡占市場」の例としてコーラを挙げましたが、これはコーラ炭酸飲料市場の99%がコカコーラ社とペプシ社のコーラで成り立っているためです(*出典『成熟から寡占へと向かう清涼飲料市場の最新動向』)。厳密にはこの2社以外にもコーラを作っている会社があるらしいですが、コーラはペプシ社とコカコーラ社の寡占市場と考えることができます。

 

「寡占市場」は独占の一つの形態のため、「完全競争市場」の時と異なり売り手である企業は「プライスメーカー」になります。しかし、「(純粋)独占市場」と大きく異なるのが、市場価格の決定の仕方です。「(純粋)独占市場」では1社しか売り手がいなかったので、価格を自社で設定できましたが、寡占市場ではたくさんではないにしろ2社売り手がいるということは、自社で高い価格に設定してももう一方の売り手に安くされてしまったら買ってもらえなくなってしまいます。つまり、「寡占市場」では、他の売り手の動向を確認しながら生産して価格を設定する必要があるということになります。

 

では、どうやって生産量・価格が決定していくかですが、ミクロ経済学では次のような2つの考え方があります。相手企業の生産量が一定の数量で決定されていると仮定して自社の生産量を決定する「クールノー均衡」と、自社が生産量を変化させると相手企業も生産量をそれに合わせて変化させると仮定して自社は生産量を決定する「シュタッケルベルグ均衡」という2つの生産量決定の考え方が「寡占市場」ではあり、公務員試験でもよく出題されます。以下、それぞれについて見ていきましょう!

 

 

クールノー均衡とは?

まず一つ目の生産量・価格の決定の仕方として、「クールノー均衡」という考え方があります。「クールノー」とは経済学者の名前なので、それ以上の意味はありません。「クールノー均衡」とは、相手企業の生産量が一定の数量で決定されていると仮定して自社の生産量を決定する考え方になります。

 

ここからは、ペプシ社とコカコーラ社の寡占市場の例を使って考えてみたいと思います。縦軸にコカコーラ社の生産量、横軸にペプシ社の生産量をとる下記の図において、両社の反応関数は次のようになります。

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:クールノー均衡における反応関数

反応関数とは何かというと、「もう一方の企業がある数量生産したときに自社はどれだけ生産するのか」という相手の生産量と自分の生産量の関係を表した関数になります。そして、お互いの反応関数の交点(ペプシ社生産量、コカコーラ社生産量)=(100万本、500万本)で均衡します。

 

どのように反応関数を見るか分からない方は、以下のグラフを見てみてください。

図:反応関数の見方 

例えばまず、スライド2のようにペプシ社がもともと300万本生産しているとします。その時、コカコーラ社はペプシ社の反応を見て、150万本の生産を行うことを決定します。その後、コカコーラ社が生産量を150万本にするというのを知ったペプシ社はスライド3のように生産量150万本に生産量を減らしていきます。そうすると、コカコーラ社はペプシ社が生産量を150万本にしたのでコカコーラ社は生産量を300万本に増やします。

 

このようにお互いの反応を見て生産量を調整していき、最終的にスライド5のようにお互いの反応関数の交点の生産量で安定します。これがクールノー均衡の反応関数の見方になります。

 

反応関数はどのようにして作られる?

反応関数の作り方ですが、少し難しいですが、以下のように利潤関数と需要関数を用いて反応関数が作られます。

図:クールノー均衡における反応関数の作り方 

ポイントは利潤最大化のために微分を行うのですが、その前に価格Pの部分に市場全体の需要関数を代入することです。

 

 

シュタッケルベルグ均衡とは?

次に、「寡占市場」の生産量・価格の決定の仕方として、「シュタッケルベルグ均衡」があります。「シュタッケルベルグ均衡」とは、自社が生産量を変化させると相手企業も生産量をそれに合わせて変化させると仮定して自社は生産量を決定する方法を言い、「寡占市場」に存在する企業を「先導者」と「追従者」という2つに分けます。

 

「先導者」とは「相手の反応関数を知ったうえで行動する一方の企業」のことを言い、「追従者」とは「相手の現在の生産量を受け入れて行動するもう一方の企業」をいいます。この時、「相手の反応関数を知ったうえで行動」できる先導者は情報を多く持っているので、「追従者」に比べ有利になってきます。「シュタッケルベルグ均衡」では、追従者の反応関数を先導者の利潤関数に代入した後に微分をすることになり、これが「クールノー均衡」との大きな違いになります。

図:シュタッケルベルグ均衡における反応関数の作り方 

シュタッケルベルグ均衡でも同様に反応関数を作りますが、ポイントは2社しか売り手の存在しない寡占市場の中で、一方は先導者、もう一方は追従者に分かれそれぞれ反応関数の作り方が異なるという点になります。

 

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