価格の硬直性とは?屈折需要曲線などの考え方を覚えよう-公務員試験ミクロ経済学
先輩、こんにちは...。
こんにちは、カズ。どうしたの?今日はなんか疲れているようだけど。
はい。最近ミクロ経済学の中間テストのための勉強をいつもしていて、夜遅くまで大変です。
そうなんだ。大変そうだね。
そうですよ、大変です!でも、なんかミクロ経済学ってモデルばっかりで現実の経済活動とかけ離れている感じがするので勉強する意味あるのかなって時々考えてしまいます…。
確かにね…。初めのうちは一番単純なモデルを使った分析が多いから、現実の経済とかけ離れているんじゃないかって思っちゃうよね。
そうです!もう勉強しなくていいですかね、いっそのこと(笑)。
もっと深く勉強するようになれば現実により即した分析もできるようになるよ。あと、公務員試験のミクロ経済学でも財の価格の決まり方について、より現実に近い形の「価格の硬直性」という範囲が出題されることもあるよ。
「価格の硬直性」ですか?価格がかたまっているってことですか?(笑)
かたまっているっていうことではないよ。あまり出題の頻度は多くはないけど、勉強になるから今日はしっかり理解できるようにしよう!
価格の硬直性とは?
「価格の硬直性」というのは、需要と供給の変化に対して価格がなかなか変化しないことを指します。現実経済でチョコレートなどの商品は、株価のように一分単位で日々価格が変動するということはないと思います。しかし、ミクロ経済学では需要と供給によって価格と財の生産量が決定されるという考え方に従うと、価格も本来であれば一分単位で変動しないとおかしいことになります。そこで、ミクロ経済学ではこのような矛盾に対して「価格の硬直性」という考え方が出てきます。「価格の硬直性」のなかにも色々な考え方があり、代表的なものとしては「メニューコスト理論」、「屈折需要曲線」、「フルコスト原理」という考え方があり、公務員試験ではこの3つが出てくることがあります。
メニューコスト理論とは?
皆さんレストランに行くことが多くあると思います。レストランには料理のメニュー表があり、そこにそれぞれの値段が記載されています。野菜の値段など時期によって変動しますが、それでもレストランはいちいちメニュー表に書いてある価格を書き直したりしたりしません。このように、僅かな原材料の変化であれば価格を変えたりしないというのが「メニューコスト理論」になります。「メニューコスト理論」と大それた名前ですが、大したことないと思います。
屈折需要曲線とは?
次の「屈折需要曲線」は、「メニューコスト理論」と比べると少し難しいかもしれません。「屈折需要曲線」は下記の図のグラフのような需要曲線のことを言います。いつも見る需要曲線は右下がりの直線が多いですが、「屈折需要曲線」は以下のように途中で曲がっています。
図:屈折需要曲線
これはなぜかというと、値下げと値上げで自社の販売量(生産量)の変化が異なるからです。
例えばスライド1のように当初のお米の市場価格と自社の生産量が1,000円、300袋だったとします。ここで自社がスライド2のように値段を50円下げると自社の販売量が300袋から320袋に増加します。
逆に、スライド3のように50円値上げした場合はどうなるでしょうか?この時、販売量は150袋と大きく減少してしまっています。このように、値下げの時の生産量の増加量に比べて、値上げの時の減少量は大きくなってしまいます。これは、値下げの時には他の企業も自分達のシェアを守るために対抗して値下げすることによって思ったほど生産量が伸びないのに対し、値上げの時は他の企業は追随して値上げするわけではないので、シェアが他社に大きく奪われてしまうからです。
屈折需要曲線ではなぜ価格が硬直するの?
不完全競争市場では「MR=MC(限界収入=限界費用)」となるところで生産量が決定します。これを利潤最大化条件と言いますが、この条件が「屈折需要曲線」にも当てはまるため、価格が変化しにくくなります。下記のスライドのように、屈折需要曲線においても限界収入曲線MRは需要曲線の2倍の傾きの曲線になります。
図:屈折需要曲線の硬直性
この時、限界費用曲線MCがスライド3のように上下にシフトして「MR=MC(限界収入=限界費用)」の位置が変わっても生産量が300袋の中であれば、生産量は変わりません。このように、屈折していることによって、「MR=MC(限界収入=限界費用)」が300袋にある範囲が大きいため、生産量が変化しにくく、価格が硬直するのです。
フルコスト原理とは?
「屈折需要曲線」は少し難しかったと思いますが、最後の「フルコスト原理」はすごく単純です。「フルコスト原理」とは、企業が「平均費用の上に一定の利潤を上乗せしたモノを価格として決定している」という仮定して価格調整がされているという考え方になります。
例えば、「500個生産した時に1個500円費用がかかる製品の価格を550円に設定する」と言った感じで企業の生産時の費用をもとに価格を決定しているから、価格が市場の動向に左右されません。なので、市場の動向に左右されないから価格が硬直しているということなるのです。
最後に
このように公務員試験で出題される「価格の硬直性」の理論は3つあります。一番出題されやすいのが「屈折需要曲線」になるので、「屈折需要曲線」はぜひマスターしましょう!