憲法とは何か?ー公務員試験のための憲法
登場人物
カズ
市役所に勤務しはじめた新卒公務員。
先輩
カズと同じ市役所に勤務する先輩職員。法学部卒で憲法を専攻。
bestkateikyoshi.hatenablog.com
憲法とは?
先輩、こんにちは!
こんにちは、カズ。
最近、テレビ見てると、憲法改正に関するニュースが多いですね。でも先輩、そもそも憲法ってどんなものでしたっけ?
あれ、公務員試験の時に勉強しなかった?
しましたけど、もうあんまり覚えていないっていうか…僕は経済学部だったから、あんまり法律科目は勉強しなかったんですよね…。
へえー、それでよく試験に通ったね…!それはともかく、ざっくり言うと憲法って、国民の権利や自由を守るために国家権力を制限するものなんだよ。
そうでしたっけ?
そう。普通、法律っていうと、一般人に対して「○○してはいけない」って制限をかけるイメージがあるけど、憲法はそれを国家権力に対してかけるわけ。このことを、憲法が「制限規範」である、と言うんだ。
図1;憲法の役割
国家権力を制限…ですか。そういえば、今改正に関して議論されている憲法第9条も、戦力の保持や交戦権を否定していますよね。これは、国家権力に対して戦争を禁止しているっていう意味なんですね。
もうひとつ重要なのは、憲法は、「国の最高法規」として定められているってこと。だから、この憲法に反する法律や命令は効力を有しない、とされているんだよ。
図2;憲法の階層性
「最高法規」ですか。
逆に言うと、国家権力から国民を守るという趣旨の憲法が最高法規であるからこそ、それより下位にある法律や条例、命令によっても個人の自由や権利は保障されている、ということだね。
なるほど!条例や命令となってくると、僕たち地方公務員も関係してきそうですね。公務員と住民の関係においても、それらは保障されねばならない、ということですね。
憲法の枠組み
それでは、次に憲法そのものの全体像を見てみようか。ざっくり言うと、日本国憲法は前文と11個の章からできていて、全部で百三条ある。公務員試験では全部の条文を覚える必要は全然無いけれど、重要な条文はある程度覚えておいてもいいんじゃないかな。
この現行の日本国憲法は、「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の三つが原理になっているんだ。
図3;日本国憲法の基本原理
その三つは、確か中学・高校の社会科でも習った記憶がありますね。
日本国憲法は前文で、「主権が国民にあることを宣言し」、また第1条で「主権の存する国民」と明記して、国民主権を明文化している。これは、明治憲法において天皇が統治権の総攬者、つまり全権力を一手に握る、とされていたのと対照的だね。
そうですね。
また11条には、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない」、13条には、「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、…、最大の尊重を必要」とあり、それ以外の条文でも国民の自由や権利の尊重について明文化されているね。「平和主義」については、まさに今世間で議論されている9条のことだね。前文にも、「再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意」「恒久の平和を念願」とあって、強い平和への願いがうかがえる。
少しずつ思い出してきました…。そういえば、公務員試験の憲法って、「人権」と「統治」の二つに分かれていましたよね。
そうだね。憲法の章で言うと、第3章が「人権」で、第4章から第8章が「統治」に当たるかな。さっき、憲法とは国民の権利や自由を守るための制限規範である、って言ったけど、この人権保障のために憲法は統治機構についても定めている、と考えればわかるよね。
つまり、国会、内閣、裁判所で構成される統治機構のあり方が憲法で定められていることによって、同じく憲法で定められているように人権保障がなされる、というわけですね。
そういうこと。公務員試験の出題で多いのは、人権分野では自由権、社会権、参政権、統治機構分野では、国会、内閣、裁判所、違憲審査、地方自治、などかな。
僕も少しずつ、憲法の内容を思い出してきました…!もっと勉強します!