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投資関数に関する議論-公務員試験マクロ経済学

こんにちは、先輩。明日のマクロ経済学の小テストで、加速度原理とか、トービンのqとか聞きなれない用語がたくさん出てきて理解できていないのですが、教えてもらえませんか?

こんにちは、カズ。加速度原理とかトービンのqが出てくるってことは、投資関数に関するトピックの範囲だね。そのあたりの知識は公務員試験でも主要な部分ではないから、多くの受験生がなおざりにしてしまう部分だね。

そうなんですか?それなら、僕は周りに受験生と差をつけるためにマスターできるようになりたいですね。

良い心意気だね。それじゃあ今日は、投資関数に関する原理やモデルをいくつか覚えていこう。

加速度原理とは?

マクロ経済学では、投資関数に関する原理やモデルはいくつか出題されますが、一番オーソドックスなものは「ケインズの投資の限界効率理論」になります。「ケインズの投資の限界効率理論」は、IS-LM分析などで出てくる財市場の投資額を決定する際に用いられますが、今回は、「ケインズの投資の限界効率理論」以外について紹介していきたいと思います。

 

まず初めに、「加速度原理」について紹介していきたいと思います。「加速度原理」とは、「投資は国民所得の変化分に比例して変動する」という考え方になります。国民所得の変化分とは、今期の国民所得Ytと前期の国民所得Yt-₁の差になります。今期と前期の国民所得の差に、必要資本係数vを乗じることによって今期の投資額Itを明らかにすることができます。

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加速度原理公式

今期と前期の国民所得の差は、前述した「国民所得の変化分」となり、△Ytと表すことができます。ここで、必要資本係数vというものが出てきました。これは何かというと、必要資本係数とは、「生産1単位当たりに必要な資本ストック量」のことを言い、v=K/Yで表すことができます。資本ストックKとは、生産に際して必要な設備量を言い、例えば、500万円分の生産をするために、100万円分の設備が必要だとすると、必要資本係数vはv=K/Y=100÷500=0.2となります。つまり、1単位生産するために必要な資本ストック量は0.2となるということです。

 

この必要資本係数vですが、どれだけ生産量が増えてもvは一定の値であるという仮定を加速度原理は採用しています。今から例題を見てみましょう。

Q,以下の数値を用いて、加速度原理に基づき、第3期の投資量を求めよ。

第1期の国民所得:480

第2期の国民所得:520

第3期の国民所得:580

第2期の投資額:60

 

A,解答

①第2期の投資額を用いて、必要資本係数vを求める。

I₂=v×(Y₂-Y₁)

60=v×(520-480)

v=1.5

②①で求めたvを用いて、第3期の投資額を求める。

 I₃=1.5×(580-520)=90

 

ストック調整モデルとは?

次に紹介するのが、「ストック調整モデル」となります。「ストック調整モデル」とは、今期必要とされる資本ストックと前期の資本ストックの差を用いて今期の投資額を考える理論になります。

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ストック調整モデル公式

ここで、αは、0から1の間の値をとる係数になります。Ktは今期必要とされる資本ストックで、Kt-₁は前期の実際の資本ストック量になります。本来であれば、本来必要とされる資本ストック量まで増やしてあげるのがベストですが、ストック調整モデルの公式を見てもらうとわかるように、0から1の間の値をとるαという係数があるため、実際の投資額は本来の投資額より過少となってしまいます。

 

従って、ストック調整モデルでは、加速度原理と比較して、今期必要とされる投資が全てなされるわけではないという特徴があります。「どうして実際の投資額が過少となるモデルを作っているの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、現実では不確実性、いわゆるリスクなど複合的な観点から投資を決定する必要があります。そのため、その他の要因も加味すると、過少になってしまうことがあるため、ストック調整モデルでは、αという係数を用いて投資額が過少になる形で設定されています。

 

 

トービンのqとは?

最後に、「トービンのq」について見ていきましょう。トービンとはアメリカの経済学者のことで、彼の名前が理論名となっています。「トービンのq」とは簡単に言うと、「投資を実行するか実行しないかの判断基準を数値で表したもの」で、以下の公式を使います。

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トービンのq公式(平均のq)

まず、企業の市場価値Vとは、「株価総額+負債総額」になります。ここでの企業の市場価値とは、株式市場での価値を表しており、将来に渡って稼ぐ収益と等しくあります。例えば、将来にわたって10億円かせぐ企業の株価が5億円だとすると、その企業は株式市場で過少に評価されていることを示します。なぜ株価を使って考えるかというと、例えばある投資家が10億円かせぐ企業の株価5億円すべてを買い取った場合で考えます。10億円は100%の株を保有する投資家のモノになりますが、5億円の買収コストで10億円稼げるため、お得ですよね。この時、トービンのqの公式に当てはめると、q=10÷5=2、つまりq>1であるため、投資を実行する方がお得ということになります。

 

このように、株式市場で観察することのできる株価を利用することで、投資を実行するかしないかの判断ができるという考え方なのが、「トービンのq」になります。

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