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負の所得税とは?-公務員試験財政学

こんにちは、先輩。この間公務員試験対策の講義で、「負の所得税」という用語が出てきたのですが、所得税に正も負もあるんですか?

こんにちは、カズ。「負の所得税」なんて一般的には聞きなれない用語だよね。そもそも所得税が何だかは理解しているんだよね?

はい、流石に分かりますよ~!所得に対して付加される税金のことですよね。

そうだね。普通、税金って国民が政府に支払うお金のことだよね。でも今回勉強する「負の所得税」は、「負」という漢字からもわかるように、マイナス、つまり通常とは逆ってことだから政府から国民に渡されるお金のことになるよ。

それってつまり、補助金みたいなものですか?

その通りだよ。名前から難しく感じるかもしれないけど、人々の所得に基づいて計算される補助金のようなもので、公務員試験でも時々出題されるから、今日はマスターできるようにしよう。

負の所得税生活保護の違い

負の所得税とは、所得額が一定額に満たない人に対して渡す政府からの給付金になります。ここで公務員志望の方は、「負の所得税って生活保護のこと?」と思うかもしれません。確かに、理由があって生活が厳しい世帯にお金を援助するという意味では、生活保護と同じです。しかし、生活保護と違う面としては、負の所得税は「政府から援助を受けながらもお金を稼ぐインセンティブがある」という点です。

 

例えば、生活保護の場合、生活保護受給中に給料を得ると、生活保護費がその分惹かれてしまいます。例えば生活保護費が一か月10万円の場合、一か月に3万円稼ぐと生活保護費は3万円減額となり7万円になってしまいます。そうすると、生活保護受給者はどう感じるでしょうか?「頑張って働いても生活保護費が減額になってトータルの金額に変わりはないから働くのは意味ないな」と思ってしまいます。そのため、既存の生活保護制度の場合、受給者の働く意欲がなくなってしまいます(*注:実際には条件によっては控除があるのでちょっと違ってくるのですが、簡便化のため控除などは考えないで進めます)。

 

しかし政府としては、「働けるなら少しでも働いてほしい」というのが本音だと思います。そこで考え出されたのが「負の所得税」となります。

 

 

負の所得税とは?

生活保護だと働いてお金を稼ぐインセンティブがなくなってしまうので、最低限度の所得の保障はしつつ、給付金を受給しながらも働くことを促す仕組みを負の所得税と言います。以下の図を見てみてください。

図:負の所得税

縦軸に課税後の所得、横軸に課税前の所得をとる図において、45度線を課税前所得、45度線より緩やかな直線を課税後の所得とした直線を描きます。縦軸と横軸のM、M’は最低保証所得、つまり、「どれだけ貧しい人でもこの金額は全ての人が受け取れるようにしよう」という所得水準です。

 

まず、課税前の所得のゼロの時、課税後の所得はいくらになるでしょうか?政府は最低保証所得M’までは保証してくれるため、「負の所得税」、つまりお金が支給されるため、課税後の所得は縦軸を見るとM’になることが分かります。次に、所得X₁を稼ぐ人について考えてみましょう。従来の生活保護の場合には、どれだけお金を稼いでいても政府はM’までしか支給してくれなかったので課税後の所得はM’となってしまいましたが、「負の所得税」は違います。「負の所得税」では、稼ぐインセンティブを残すために、課税前の所得がゼロの人に比べて課税後の所得が高くなるように支給額を設定します。その結果、課税後の所得はY₁の水準となります。

 

課税前の所得がPの時、政府からお金は支給されなくなります。逆に、P以上の所得の人々、例えばX₂を稼ぐ人に対しては、政府が制度を維持するため所得税が課せられ、課税後の所得はY₂となります。このように、現行の生活保護制度のように、受給者が稼いだらその分受給額が減少して最低保証所得までしか支給しないのではなく、所得の増加によって支給額は減少するが、課税後の所得は増加するような体系をとっているのが「負の所得税」となります。

 

 

最後に

生活保護費の支給額の抑制というのは政府にとって喫緊の課題です。その案の一つとして、「負の所得税」などが検討されているので、実際に公務員試験でも出題される可能性はあるので、ぜひマスターできるようにしましょう。

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