サミュエルソン条件とは?-公務員試験財政学
こんにちは、先輩。この間、公共財について授業で習ったのですが、その次の授業で「サミュエルソン条件」という聞きなれない横文字が出てきてしまいました…。公共財についてはなんとか理解できたのですが、「サミュエルソン条件」はよくわからないです。
こんにちは、カズ。「サミュエルソン条件」ってカタカナは聞くだけでも難しく感じるよね。それじゃあ今日は、サミュエルソン条件について図を使って理解できるようにしようか!
サミュエルソン条件とは?
サミュエルソン条件とは、「社会にいる各人の限界便益MBの総和と、公共財の限界費用MCが等しくなるように公共財が供給される」ことを言います。
ここでまず、「限界費用MBの総和」という言葉が出てきましたが、これは社会全体の便益、つまり社会便益を表します。社会便益とは、もっと簡単に言ってしまうと、「消費者の需要」を表しています。一方で、「公共財の限界費用MC」とは、公共財の供給を表しています。なぜならば、公共財の供給の担い手、つまり政府は限界費用(=生産1単位当たりの追加費用)を基に公共財の供給量を決定するためです。
公共財の最適供給量は?
それでは実際に、サミュエルソン条件について図を使いながら見ていきましょう。ここでは、個人Aと個人Bしか受益者がいない社会を仮定します。縦軸に公共財の価格Pと限界便益MB、横軸に公共財の量Yをとる図に、個人Aと個人Bの限界便益曲線ACとBC、公共財の限界費用曲線SSを図示する。
この時、公共財の需要曲線は、個々人の限界便益曲線の垂直和となるので、限界便益曲線ACとBCを上につみあげ社会便益曲線はDCとなります。「サミュエルソン条件」とは、社会便益と限界費用が等しいという条件だったので、社会便益曲線DCと限界費用曲線SSの交点E*における供給量Y*が、この公共財の最適な供給量となります。
フリーライダー問題
サミュエルソン条件については、上記までで終わりですが、公共財の場合にはサミュエルソン条件通りにいかないことがあります。それをフリーライダー(ただ乗り)問題と言います。(純粋)公共財は、お金を支払わない人を消費から排除することができないため、費用負担を安くしようとする個人が表れる可能性が出てきてしまいます。
例えば、先ほどの図において、個人Bが自身の限界便益を政府に提示しなかった場合、Bは公共財を必要と感じていないと思われ、唯一の受益者と思われている個人Aの限界便益曲線ACを社会全体の便益曲線として、公共財の供給量が決定されます。
その結果、公共財の供給はY₁となるため、本来の最適供給量Y*より過少となってしまいます。しかし、公共財はお金を支払わない人が使うことを排除できないので、供給量はかようになってしまったのにもかかわらず、個人Bは公共財を使うことができます。
このように、公共財のコストの負担をしたくないために、自身の限界便益を表明しないことによって公共財の供給が過少となってしまう問題を、フリーライダー問題と言います。フリーライダー問題は、公務員試験の教養試験でもよく出てくるので理解しておくようにしましょう。