地方財源の種類は?-公務員試験財政学
こんにちは、先輩。最近地方自治体の財政に関するニュースを見ているんですけど、分からない用語がまだまだ多くて読み進めるのにも時間がかかって疲れてしまいます…。
こんにちは、カズ。しっかりと自治体の財政について日頃からチェックしているのは偉いね。例えばどういう用語が難しいと感じたの?
はい。よく「地方税」や「地方交付税」など○○税という用語が多くて何が何でも良く分からない状態です…。
なるほど、そのあたりは区別するのが大変だよね。それじゃあ今日は、地方財源の種類について一つひとつ見ていこう!
地方財政における歳入
地方財政とは、現在およそ1,800ある地方公共団体の財政を表しています。地方公共団体とは市や県などの自治体のことを言いますが、国は毎年、それらすべての地方公共団体の財政を「地方財政計画」という資料に一元的にまとめることで、国と地方の財政の関係などを明らかにしています。
[出典]総務省「令和2年度地方財政計画のポイント」
地方財政計画では、上記のように歳入と歳出に分けられています。歳入区分について、公務員試験で覚えておくべき項目としては、次のようになります。
地方財源の種類
地方税
まず、「地方税」について見ていきましょう。地方税とは、地方公共団体が各々徴収する一般財源です。地方公共団体がその自治体内で徴収するため、国によって用途を制限されないお金となります。上記の「地方財政計画」を見ると、90.7兆円の歳入見積りに対し、地方税は40.9兆円と歳入項目の中で最大の数値となっています。
また、地方税と書いてありますが、地方税という名前の税金があるわけではなく、数多くある税の総称になります。
地方税は、大別すると都道府県税と市町村税に分けられます。上記の税目は一例になるので、これら以外にもたくさんありますが、ひとまず「地方税とは、都道府県や市町村によって徴収される税」であるとイメージできるようにしましょう。
地方譲与税
「地方譲与税」とは、国税として徴収された後、地方公共団体へ譲与される税金となります。令和2年度の見積もり額は2.6兆円のため、地方税に比べると小さい額になります。地方譲与税も、地方税と同様に「地方譲与税」という名前の税があるわけではありません。以下の国税の総称となります。
公務員試験レベルでは、各税の内容自体は覚えておく必要はありませんが、参考として総務省から「地方譲与税の概要」という資料が出ているので、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
地方特例交付金
地方特例交付金とは、国が地方公共団体に交付する「減収補填特例交付金」のことを言います。「減収補填特例交付金」と言うと、何だか難しく聞こえてしまいますが、要するに、税金の控除や税率引き下げなど制度の変更によって税収が減ってしまった分を国が補填しますという措置です。
令和2年度の地方財政計画を見ると、0.2兆円とそこまで大きい額ではありませんが、全ての地方公共団体に支給され、地方公共団体が自由に使える一般財源になります。公務員試験レベルでは覚える必要はありませんが、令和元年度における地方特例交付金の内訳としては、以下2つがあります。
[出典]総務省『令和元年度 地方特例交付金の決定について』
地方交付税
地方交付税とは、国から支給される財源の一つで、地方公共団体が自由に使える財源になります。令和2年度の地方財政計画を見ると、16.6兆円と、地方税に次いで大きい額となっています。地方交付税という名前の税があるわけではなく、以下5つの国税が地方交付税として国から地方へ移転されます。
地方交付税として分配される割合 |
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33.1% |
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33.1% |
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酒税 |
50% |
消費税 |
19.5% |
地方法人税 |
100%(全額) |
[参考]総務省『地方交付税制度の概要』
地方交付税について詳しくは『国から地方への財源移転(地方交付税)とは』で説明しているので、こちらもご覧ください。
国庫支出金
国庫支出金とは、地方公共団体の特定の支出のために国から地方公共団体へ支出される補助金、負担金、委託金のことを言います。国から地方へ財源が移転されるという点では地方交付税と同じですが、国庫支出金は地方公共団体が使い道を自由に決定できない特定財源になります。
令和2年度の地方財政計画を見ると、国庫支出金は15.2兆円であり、歳入項目の中では3番目に大きい項目となっています。国庫支出金にも色々な種類がありますが、教育や経済対策など国全体として財政支援の必要なものを地方が行う際の負担金として支出されたりなどします。
地方債
地方債とは、地方公共団体が必要な財源を調達するために発行する債券のことで、債務の履行が1会計年度を越えて行われるものを言います。令和2年度の地方財政計画には、地方債は9.3兆円見積もられています。通常、地方公共団体は何かを支出する際、当該年度の収入の範囲内で支出することが義務付けられていますが、将来世代の利益を享受する公共の施設など以下の項目については、地方債を発行することが認められています。
1.公営企業に要する経費(交通事業、ガス事業、水道事業等)
2.出資・貸付金
3.地方債の借換えに要する経費
4.災害対応・復旧・救助の事業費
5.建設事業関連費(学校や道路、保育所、河川の補修など)
地方債については、発行に際した協議制度など、覚えておくべきポイントも多いです。「地方債と協議制度」で紹介しているので、詳しくはこちらをご覧ください。