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ビルトインストビライザーとは? ー大学生の視点で理解するマクロ経済学

bestkateikyoshi.hatenablog.com

登場人物

カズ

地域活性ボランティアサークルに所属する大学1年生。経済学部に所属している。

先輩

カズと同じ地域活性ボランティアサークルに所属する2つ上の先輩。経済学部に所属している。

 

ビルトインスタビライザーとは? 

あ、こんにちは。先輩。 

こんにちは、カズ。あれ、顔がだいぶ疲れている感じだけど大丈夫? 

はい、僕の父親の話なんですけど、今年に入って会社で昇格して給料が上がったって喜んでいたんですけど、その分所得税も高くなってしまって政府の不満をずっと聞かされてしまって寝るのが遅くなって寝不足です...。 

そうだったんだね。所得税の制度は各人の所得によって上下するビルトインスタビライザーとしての機能があるからしょうがないよね。 

ええっと、何なんですか、その横文字は(笑)?英語苦手なのでよく分かりません...。 

あれ、マクロ経済学や財政学の講義とかで出てくる用語だから知っていると思っていたんだけど、聞いたことなかった? 

うーん、講義で出てきたことはあるかもしれませんが、内容が頭に入ってきてないので覚えてないです。 

そうだったんだ。折角お父さんの所得税の例があるんだから、今日覚えてしまおう! 

分かりました。 

 

ビルトインスタビライザーの定義 

ビルドインスタビライザーとは、経済を自動的に安定化させる機能のことで、日本語で自動安定化装置と呼ばれているよ。 

経済を自動的に安定させる?どういうことですか? 

景気が良くなったり悪くなったり変化した時に、そのまま良くなりすぎたり悪くなりすぎたりして歯止めが利かなくなるのをおさえる役割をしているっていうことだよ。 

景気が悪くなった時に悪くなりすぎないようにっていうのは意味が分かりますが、良くなるんだったらそのままどんどん良くなった方がいいんじゃないですか? 

確かにそう思うかもしれないけど、バブル期をイメージしてみよう。この時も景気が過熱しすぎて最終的にバブル崩壊につながってしまったよね。このように行き過ぎた好景気も反動で不況に陥る原因となるからセーブした方が良いと考えられているよ。 

なるほど。 

 

所得税制度がビルドインスタビライザーの機能を有しているとは? 

ビルドインスタビライザーが行き過ぎた景気を抑える機能を持つということは分かりました。でも、所得税制度がビルドインスタビライザーの機能を持つってどういうことですか? 

所得税ってその人の所得によって税率が変わるよ。国税庁のHPに載っている累進課税について見てみよう。

 

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[引用]国税庁「所得税の仕組み

例えば所得150万円の人だと税率5%で7.5万円の所得税が徴収されるよね。他方で、所得が300万円の人は税率10%で30万円所得税が徴収されてしまうよね。 

所得が多くなればなるほど所得に占める所得税の割合が多くなってしまっていて消費とか他の支出に占める割合が減ってしまいますね。 

そうだね。つまり所得が減ってしまえばその分所得税の税率も減るから、所得に占める消費等の割合を増やすことができて景気が悪くなった時に国民所得の変動を小さくできるってことだよ。 

なるほど。 

 

投資乗数の比較 

ここまででビルトインストビライザーの理解はできたと思うけど、最後にもう一歩進んで財市場の均衡条件を用いて、所得税が組み込まれている場合と、組み込まれていない場合の比較をしてモデル上でも本当に国民所得の変動が小さくなるのか見てみよう。 

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図1;財市場の均衡条件 

図2の左が所得税tYが含まれていない財市場の均衡条件をYについて整理したもので、右が所得税tYが含まれている財市場の均衡条件をYについて整理したものとなるよ。 

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図2;所得税がある場合とない場合の国民所得の変化分△Y 

tは所得税の税率を表していて、tが0.1とすると所得税率が10%で所得Yのうち10%が税金として引かれた可処分所得となることを表しているよ。 

なるほど。 

そして、今回の場合は例えば投資Iの変化したときの国民所得Yの変化についてそれぞれの式を見てみると、乗数が左は1/(1-c)で、右が1/1-c(1-t)となっているよね。これってどっちの乗数の方が大きいと思う? 

右の所得税があるときの方が小さくなります。理由は、(1-t)をcに乗じていてc>c(1-t)、即ち分母の部分の大小関係が(1-c)<1-c(1-t)となるからです。 

そうだね。c=0.5、t=0.2とすると、所得税のない左は1/(1-0.5)=2となるけど、所得税のある右は、1/1-0.5(1-0.2)=1/(1-0.4)=1.666…となるよね。つまり、所得税がない時は投資Iによって当初の2倍国民所得も変化するけど、所得税があるときには約1.67倍しか変化しないということになるよ。 

なるほど。所得税がある方が財市場の均衡条件のモデルからも国民所得の変動を抑えるっていうのが分かりますね。 

そうだね。こうやって身近な政策が経済学に密接にかかわってくる好例だよね。 

そうですね!よく分かりました!ありがとうございます! 

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