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均衡予算乗数定理とは? -公務員試験マクロ経済学

先輩、こんにちは! 

あれ、今日も試験勉強頑張っているね。どの分野の勉強をしているの? 

はい、マクロ経済学の講義で宿題として出されたものなんですけど、均衡予算乗数定理が成り立つケースを財市場の均衡条件を用いて証明しなさいって感じの課題でよくわからないんです...。 

なるほど。そもそも均衡予算乗数定理って何だか覚えている? 

...いいえ。よく覚えていません(泣) 

そっか、じゃあ均衡予算乗数定理の定義から見ていこう! 

均衡予算乗数定理の定義は?

均衡予算乗数定理とは、「歳出(政府支出)と歳入(租税収入)を均衡させつつ予算規模を増加させると、予算規模の増加分と同額だけ国民所得が増加する」という定理です。均衡予算乗数定理と言われるとなんだか難しそうなイメージが湧いてきてしまいますが、そこまで難しく考える必要はありません。

 

均衡予算乗数定理の考え方を簡単に言うと、増税によって増えた分の税金を使って政府支出を増やすと政府支出の増加分だけ国民所得も変化するという考え方です。この定理を考える時にポイントになるのが、乗数効果という考え方です。

 

乗数効果とは、政府支出や投資を変化させた際に、国民所得がそれ以上に変化することを表しています。下記の図のように、社会で10億円しか貨幣が流通していないとしても、お金をもらったら他の用途に使ったりしてどんどん波及していってその社会の中で10億円以上のお金が動くことがあるように、乗数効果というのは投資や政府支出によって支出された以上に国民所得が変化することを表します。

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乗数過程(乗数効果)のイメージ 

上記の例は投資需要を増加されたところからスタートしています。一方で、均衡予算乗数定理では政府支出を変化させるところからスタートします。しかし、この政府支出は元々どこから捻出されるかというと、もちろん国民の租税によって捻出されます。

 

つまり、実際に政府支出を新規に増やしていきたいと思ったときに増える政府支出分の増税もしないといけなくなります。でも、ここで「政府支出と同額分税金を増やすとプラマイゼロになって国民所得は変化しないんじゃないのか?」と疑問に思う人もいるかもしれません。 もちろん、実際には増税による国民の心理的変化もあるためその可能性もありますが、公務員試験では通常、政府支出増加による国民所得増加の効果は、租税増加による国民所得減少の効果より大きくなると仮定しているから国民所得は増加すると考えるため、プラマイゼロとはなりません。

 

 

財市場の均衡条件とは?

それでは、なんとなく均衡予算乗数定理についてイメージできたところで、公務員試験では重要となる式を使って考えていくために、今回用いる財市場の均衡条件を見ていきたいと思います。まず、財市場の均衡条件にもいろいろあり、均衡予算乗数定理が成り立つために以下のような仮定を置きます。

 

[仮定] 

・財市場の均衡条件Y=C+I+G  

・総需要は外国部門を捨象する  

・消費関数C=C₀+c(Y-T)  

・C₀(基礎消費)・T(定額税)は定数、cは限界消費性向(0‹c‹1)  

・I(投資)、G(政府支出)は定数  

 

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財市場の均衡条件 

上記のように財市場の均衡条件を国民所得Yについて解いて、これを変化分の式に直すと各々の乗数になります。なので、上記の財市場の均衡条件の式を、政府支出乗数と、租税乗数に直した式が以下のようになります。

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政府支出と租税の乗数効果比較 

例えば、限界消費性向cが0,5とした時、政府支出を1億円増加させたときの国民所得の変化分△Yは2億円になります。 逆に減税(租税を-1億円)した時の国民所得の変化分は、1億円になります。ここで注意が必要なのは、同じ1億円の財政政策(1億円の政府支出or1億円の減税)でも効果が異なるという点です。 

 

このように、財市場の均衡条件を用いたモデルでは、同じ金額であれば政府支出の効果が租税の効果を上回るとされます。ここまでが均衡予算乗数定理の計算を行う上での前提になります。

 

この均衡予算乗数定理ですが、増税分を使って政府支出を増大させたときに政府支出の増大分国民所得が増加するという定理でしたが、実はこの定理が成り立つケースと成り立たないケースがあります。以下、成り立つケース、成り立たないケースについてみていきましょう!

 

 

均衡予算乗数定理の成り立つケース 

まず、均衡予算乗数定理が成り立つケースを見ていきたいと思います。先述した「歳出(政府支出)と歳入(租税収入)を均衡させつつ予算規模を増加させると、予算規模の増加分と同額だけ国民所得が増加する」という均衡予算乗数定理の定理の下では、均衡予算の乗数は1が成り立ちます。逆にこの乗数が1ではない時が成り立たないケースとなります。

 

均衡予算乗数定理が成り立つケースでは、前章で使った政府支出と租税の乗数を用いて考えていきます。

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均衡予算乗数定理が成り立つケース

歳出(政府支出)と歳入(租税収入)を均衡させながら国民所得を増加させるというのは、政府支出の変化分△Gが租税の変化分△Tとイコール(1億円の政府支出を賄うために1億円の増税をすること)になります。

 

すると、上記のように△Tは△Gとイコールなので、△Tは△Gに置き換えることができます。この式を整理すると、△Y=△Gとなります。 △Y=△Gは、政府支出が変化した分だけ国民所得が増えているということを表していることになります。つまり、定義の「予算規模の増加分と同額だけ国民所得が増加する」ということになります。 

 

このように、均衡予算乗数定理が成り立つケースというのは、租税が国民所得の多寡に依存しない定額税の場合で、かつ輸入が国民所得に依存しないことも条件になります。ここで言う租税が所得の多寡に依存しないというのは、所得税みたいに所得の大きさによって税額が異ならないということです。 また、輸入が国民所得に依存しないというのは、例えば通常であれば一国の所得が増えれば増えるほど裕福になり、輸入も増えていきます。しかし、所得が増えるほど輸入が増えるという式を設定するのではなく、所得がいくらであっても輸入額は一定という仮定を設定することで、均衡予算乗数定理は成り立ちます。

 

 

均衡予算乗数定理の成り立たないケース 

では次に、均衡予算乗数定理が成り立たないケースを見ていきたいと思います。均衡予算乗数定理が成り立たないケースは、成り立つケースの逆なので、所得税のように租税が所得に依存するケースや、輸入が所得に依存するケースになります。 

 

以下で租税が所得に依存するケースを実際に見ながら、均衡予算乗数定理が成り立たないケースを見ていきたいと思います。

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均衡予算乗数定理の成り立たないケース 

上記を見ると分かるように、租税が所得に依存する状況を仮定するため、限界税率tが新たに式に中に入っています。ここでは、国民所得が増加するとt×Yは大きくなるから所得税が増加することを表しています。この時、政府支出と租税を同額増加させると、国民所得が増加はしていますが、政府支出と同じ分までは増加していません。

 

このように均衡予算乗数定理が成り立たないケースも財市場の均衡条件のモデルを設定することもあるので、「均衡予算乗数定理が成り立つケース」と問われたら、租税や輸入が所得に依存していないかどうかを見極める必要があります。

 

 

最後に

いかがでしたでしょうか?均衡予算乗数定理と言われるとなんだか難しそうな感覚を持ってしまいますが、ポイントさえしっかり押さえてしまえばなんてことないと思います!ぜひマスターしてみてください!

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