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基本的人権と公共の福祉の関係-公務員試験憲法を分かりやすく

今日憲法の講義で、基本的人権と公共の福祉の関係について説明を受けたのですが、基本的人権も公共の福祉も何が何だかさっぱり理解できませんでした。

基本的人権は全ての人が持っている権利のことを言うんだけど、権利があるからと言って周りの人に迷惑をかけてしまったら社会が成り立たなくなってしまうよね。そのような時、場合によっては権利を制約することを公共の福祉による制約と言うよ。公務員試験の憲法で、基本的人権と公共の福祉は絶対に押さえておくべき範囲だから今日は両者の関係について理解できるようにしよう!

基本的人権とは?

基本的人権とは、全ての人々に当然に認められる権利のことを言い、具体的には自分の言いたいことを発信できる表現の自由であったり、自分の住みたい場所に住む居住権など様々な権利が日本国憲法に規定されています。また、日本国憲法では、全ての人に対して、「個人の尊厳」を保障するために「基本的人権の尊重」を基本理念の一つにそえており、公務員試験でも参考書の半分を占めている重要なパートになります。

 

基本的人権については、日本国憲法第3章に規定されています。第3章は10条から40条までの条文ですが、第3章の中に以下のように様々な権利が規定されています。

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基本的人権の種類

日本国憲法に規定されている基本的人権の種類は4つに大別されます。

 

自由権とは

まず、自由権とは、国家からの自由(国家に縛られない自由)を言い、自分の好きな宗教を信じたり、学問の自由など様々な自由を享受できる権利のことを言います。人権という概念が確立された当初から現在に至るまで、人権体系の中心的地位を占めるものとなります。この自由権ですが、更に3つに分類することができます。

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自由権の3つの分類

精神的自由とは、表現の自由や思想・良心の自由など自分の言いたいことを言える自由や内心の自由のことを言います。現在の北朝鮮のように政府を批判したり、自分の好きなことをを言えない環境であれば、ストレスがたまると思います。精神的自由の保障とは、自分の考えや発言を保障することによって個人の尊厳を保障することになります。

 

次に、人身の自由とは、国家に不当に拘束されたり、拘束時に不当な扱いを受けないようにする権利のことをいいます。最後に、経済的自由とは、財産の保障や自由に職業を選択できる権利、営業する権利など経済活動の自由を言います。現代社会では文化的な生活を送るためにお金や資産が必要になります。そのため、国家が個人の経済活動や財産に対して不当な制約を課すことがないよう経済的自由が保障されています。

 

社会権とは

自由権とは反対に、国家による自由(個人が生活していくうえで国家に配慮を求める自由)を社会権と言います。社会権は、産業革命期に労働者や弱者の文化的生活を保障するべきという考え方から生まれた権利であり、生活保護制度や障碍者への給付などは社会権に基づく行政サービスになります。

 

参政権とは

参政権は受益権とも呼ばれ、国民主権の原理の下、国民が国政に参加する権利のことを言います。参政権には、裁判を受ける権利も含まれるのが通常です。参政権(受益権)は、国民が国家に対して、自分たちの利益となる一定の行為を要求する権利であり、裁判を受ける権利を国家に要求しているためです。

 

その他の権利

その他の権利は、主に憲法13条の幸福追求権から派生した現代社会に即した新しい権利のことなどを言います。例えば、プライバシー権や肖像権などは情報へのアクセスが容易になった現代において、人々が保障してほしいと考えるようになった権利になります。また、快適な環境の生活を保障してほしいと要求する環境権なども新たな権利として分類されます。

 

 

公共の福祉による基本的人権の制約

日本国憲法は、数多くの権利を一人ひとりの権利として規定しています。その中でも自由権は、国家に介入されない権利のことを言いますが、例えば誰かを中傷したり違法なモノを販売したりなど、何をしても自由権に基づいて権利を主張できるのでしょうか?

 

実は日本国憲法では、自由権を認めつつも他の人たちに迷惑がかかる場合には、権利を制限することもあるという「公共の福祉」を規定しています。

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公共の福祉とは

公共、すなわち他人に対して迷惑がかかっている場合には、基本的人権が制限するという考え方になります。公務員試験では、どのような状況、どのような範囲で公共の福祉による基本的人権の制約があるかなどを理解することが重要になってきます。

 

公共の福祉の制限の範囲に関する考え方としては、外在的制約説と内在的制約説という2つの考え方があります。外在的制約説とは、「基本的人権は、公共の福祉に反しない範囲においてのみ保障される」という考え方になります。一方で、内在的制約説は、「基本的人権は公共の福祉による制約が認められないのが原則であり、他社の基本的人権と衝突する場合のみ、制約が付される」という考え方になります。

 

 

二重の基準論とは

それでは、公共の福祉によって基本的人権がどの程度制約されるのでしょうか?制約の範囲については、各ケースによって個別具体的に裁判所によって判断されます。この時、公共の福祉による制約が憲法に違反しているかどうかを審査する基準を「違憲審査基準」と言い、判例・学説を通じ広く支持されている基準が「二重の基準」理論になります。

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二重の基準理論

精神的自由は表現の自由や思想・良心の自由など国政参加に不可欠な権利を規定しています。そのため、行政によって精神的自由が不当に制約されてしまうと、国会という国民の代表が正すこともできなくなってしまうため、政府による公共の福祉による制約に対して、より厳しい基準で違憲審査を裁判所が行います。

 

一方で、経済的自由については、もし不当に制約がなされたとしても表現の自由など精神的自由が制約されていなければ国会を通じて正すことが可能であり、さらには、より経済政策などより専門性の高い行政府の判断に対する裁判所の判断能力には限界があります。そのため、精神的自由の違憲審査基準に比べ、経済的自由に対する違憲審査基準は緩くなっています。

まとめ

基本的人権は、自由権社会権参政権、その他の権利の4つに大別される。

自由権は、精神的自由、人身の自由、経済的自由の3つに大別される。

・公共の福祉によって、基本的人権が制約されることがある。

・どのような状況で基本的人権が制約されるかという考え方の一つとして、二重の基準論がある。

憲法って一体何?憲法の内容はどうなっているの?-公務員試験憲法を分かりやすく

来年公務員試験を受験しようと思っているのですが、筆記試験の科目に憲法があるというのを見ました。ネットでは「憲法は簡単だから始めに対策をするべき」などと書かれているのですが、法律系の勉強をやったことがなかったので何がなんだか分かりませんでした…。

公務員を目指しているんだね!確かに、憲法は他の科目に比べて取り掛かりやすい科目とは言われているけど、実際法律科目の勉強をしたことない人にとってはよく分からないよね。

はい、そうなんですよ…。

私も最初憲法の勉強を始めた時は同じような境遇だったよ。法律科目は全体像をイメージできるようにすることが理解する上での第一歩になるから、今日はまず、憲法って何なのか、全体像について学んでいこう!

憲法って一体何?

全ての方が「憲法」という用語自体は聞いたことがあると思います。そして、憲法には「色々なルールが書かれたものである」ということもなんとなく理解はできると思います。しかしながら、憲法とは具体的にどういったものなのでしょうか?

 

憲法とは何か?」という問いに対していくつかの答えがありますが、主な答えとしては大きく3つあります。

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憲法とは何か?

まず一つ目は、「憲法という名前で呼ばれる成文の法典」が憲法であるという考え方です。この考え方によると、ある法典を憲法と名付けてしまえばそれは憲法ということになり、内容については問わないということになります。例えば、国が民法を「憲法」という名称にしてしまったとすると、内容は民法の内容ですが、それは憲法であるという考え方になります。

 

二つ目は、「国家の統治の基本を定めた法」が憲法であるという考え方になります。つまり、ある法典が憲法であるといえるためには、国家統治の基本が定められているものである必要があります。この考え方によると、国家統治の基本だけ定められていればよく、その他国家体制や権力構造などについて規定がなくても憲法と言えることになります。

 

三つ目は、「自由主義に基づいて定められた国家の基礎法」が憲法であるという考え方になります。これは、二つ目のように国家統治の基本を定めていればよいというものではなく、自由主義思想に基づいた内容が規定されている法典が憲法であるという考え方です。

 

以上3つの答えは、どれが正解で間違っているということはありません。しかしながら、現代において憲法として認められるためには、「自由主義に基づいて定められた国家の基礎法」であることが必要であるため、個人的にはでありますが、三つ目の答えが「憲法とは何か?」という答えに近いのかと思います。

 

 

日本国憲法はいつ誕生した?

日本国憲法は、自由主義に基づいて定められた国家の基礎法であるとされています。この日本国憲法は、第二次世界大戦敗戦後の1946年11月3日に公布され、翌年の5月3日に施行されました。

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日本国憲法施行までの歴史

ポツダム宣言受諾後、当初は日本政府独自で日本国憲法草案を作成していましたが、保守的な内容であったため、総司令部はマッカーサー案に基づいて作成するよう指示をしました。このマッカーサー案に基づいて草案作業がなされ、その後公布、施行という運びとなりました。

 

 

日本国憲法の構造

日本国憲法は、全103条から成る国の最高法規となります。日本国憲法は以下のように前文と11の章から構成されています。

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日本国憲法の構造

日本国憲法の構造としては、国民の権利や義務について言及した部分と、三権分立や財政、地方行政など統治機構に関する基本的なルールについて言及した部分、その他(天皇、戦争の放棄など)の3つに分けられます。人によっては別の分け方があると思いますが、なぜこのように分けたかと言うと、公務員試験ではその他(天皇や戦争の放棄など)の部分はあまり出題されないためです。

 

まず第3章の国民の権利及び義務の部分は、参考書のページ数から判断すると、公務員試験で学ぶ部分の半分以上を占めます。さらに、統治機構に関するルールの部分については、三権分立の基礎となる国会(立法)、裁判所(司法)、内閣(行政)に関して言及している第4章から第6章までの部分も比較的出題されやすいです。また、第7章の財政や第8章の地方自治に関する部分も時々出題されることがあるので、手が回るようであれば勉強しておくべき部分になります。

 

 

日本国憲法の3つの基本理念とは?

日本国憲法は、国民主権基本的人権の尊重、平和主義という3つの基本理念を基礎とします。

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3つの基本理念

これら3つの基本理念は、それぞれ「個人の尊厳」を守るための理念になります。言うまでもなく、「個人の尊厳」を守るためには、一人ひとりの持つ権利、すなわち基本的人権の尊重が不可欠となります。また、基本的人権を尊重してもらうためには、しっかりとした政治体制が求められてきます。そのため、国民一人ひとりが国の政治体制を決定する権利、つまり国民主権が求められてきます。さらに、「個人の尊厳」が守られるためには、戦争のない状態、つまり平和主義も求められます。このように、日本国憲法は「個人の尊厳」を守るために、3つの基本理念を規定しています。

 

 

基本的人権の尊重とは?

公務員試験憲法の勉強で一番ウェイトが大きい範囲が、「基本的人権の尊重」に関する規定になります。基本的人権の尊重の範囲をマスターしてしまえば、試験の憲法部分の半分以上は解けるようになると思います。

 

基本的人権とは、「人間の存在にとって不可欠であると考えられている権利」です。つまり、基本的人権とは、人として生きていくためには当たり前に享受できる権利のことを言います。例えば、日本国憲法では、自分の言いたいことを言える表現の自由や、自分のやりたい仕事を選ぶことができる職業選択の自由など様々な権利が規定されています。

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基本的人権の種類

基本的人権は、上記のように大きく4つに分類されます。自由権とは、国家に縛られない自由を言い、自分の好きな宗教を信じたり、学問の自由など様々な自由を享受できる権利のことを言います。

 

社会権は、自由権とは逆に国家によって保証してもらう権利のことを言い、文化的な生活を送ることを国家に保障してもらう生存権や、教育を受ける権利などがあります。

 

参政権は、請願権とも言い、国民が国政に参加する権利のことを言います。最後に、その他に分類されている権利は、憲法13条の幸福追求権などに根拠に形成されているプライバシー権や肖像権などの新しい権利になります。

まとめ

憲法とは、「自由主義に基づいて定められた国家の基礎法」のこと。

憲法には、国民主権基本的人権の尊重、平和主義という3つの基本理念がある。

基本的人権は、自由権社会権参政権、その他の権利に大別される。

労働基準監督署の役割は?労働基準監督官は何をしている?-公務員・行政辞典

今労働行政に興味があって転職を考えているのですが、どういったところを受験すればいいのでしょうか?

労働行政に興味があるんだ!それだったら、労働基準監督署で労働基準監督官として働くのがいいかも。

労働基準監督官ですか…?それってどういう業務を行うのでしょうか?

そうか、まだ基本の部分から分かってなさそうだね。それじゃあ今日は、労働行政について一から理解できるようにしようか。

なぜ国が労働者を保護する必要がある?

労働者と使用者の労働契約は通常、私人間契約のため、国は介入しません。しかし、労働者に対して不利な労働条件を突き付けられても、一般的に立場の弱い労働者は従うしかない場合があります。しかし、国には憲法25条の生存権の規定など、労働者の生活を保障する義務があります。そこで、国は労働者の権利を保障するために、「この基準は最低限守った労働条件に基づく労働契約をして下さい」と規定した労働基準法を定めています。

 

 

労働基準監督署とは?

労働基準法を作ったとしても、実際にルール違反に対して取り締まったり、監督する機関がないと、労働基準法で定めたルールが効果を持ちません。そこで労働基準法は、労働契約や実際の労働環境をチェック、違反を取り締まるための行政機関として、労働基準主管局、都道府県労働局、労働基準監督署を置くと規定しています。

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労働基準法に基づく監督機関

労働基準法に基づいて置かれた各機関には、それぞれの権限と職責があります。例えば、厚生労働省労働基準主管局に置かれた労働基準主管局長は、労働基準に関する法令の制定改廃、労働基準監督官の任免教養、監督方法についての規程の制定及び調整などの業務を行うとされます(労働基準法99条1項)。

 

次に、都道府県労働局に置かれた都道府県労働局長は、管内の労働基準監督署長を指揮監督して、監督方法の調整に関する事項等をつかさどります(99条2項)。さらに、その下の労働基準監督署長は、労働基準法に基づく臨検、尋問、許可、認定、審査、仲裁等を実行するとされています。

 

 

労働基準監督官の役割は?

労働基準法に基づいて都道府県労働局や労働基準監督署が設置されていますが、実際に企業の検査や認定などを行う公務員を労働基準監督官と言います。労働基準監督官は、事務所や工場などが、労働基準法に定められた労働条件を満たしているか否かをチェックする業務を行います。具体的に、労働基準法に定められている労働基準監督官の権限として以下5つが挙げられます。

労働基準監督官の権限

(1)事業所・寄宿舎等を臨検する

(2)帳簿・書類の提出を求める

(3)使用者もしくは労働者の尋問

(4)労働基準法違反があれば、司法警察員の職務を行う

(5)附属寄宿舎が安全衛生の基準に反し、急迫した危険がある場合には行政官庁の権限を即時に行える

 

都道府県労働局と労働基準監督署の役割の違いは?

労働基準監督官の5つの権限について先述しましたが、実際の業務はこの5つの権限に沿って行われます。つまり、事業所の労働環境が労働基準法に違反していないかのチェックや、労使間でトラブルがあって通報を受けた際の調査や勧告を行ったりします。

 

労働基準監督官は主に都道府県労働局と労働基準監督署に配置されますが、それぞれ役割も異なるため、労働基準監督官の業務内容も異なってきます。

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都道府県労働局と労働基準監督署の役割の違い

都道府県労働局は、「働く」に関する様々な業務を一元的に取りまとめる機関になります。そのため、都道府県内の労働基準監督署だけでなく、ハローワークのとりまとめも行っており、労働基準や雇用、人材開発など様々な分野での業務を行っています。労働基準だけに限定した場合、労働基準監督署との大きな違いは。労使紛争の解決のために必要な助言や提案、斡旋を行っている点になります。つまり、雇い止めやハラスメントなどの労使間トラブルについて、労働者からの相談を受け付けており、解決のための仲裁を行うのが都道府県労働局の役割となります。

 

一方で、労働基準監督署は最前線の現場として、事業場の立ち入りや調査、建築工事における安全確保のための計画の認定などを行っています。さらに、労働災害(いわゆる労災)が起きた際の事実確認や給付なども行っています。

 

労働基準監督官になるには?

労働基準監督官になるためには、労働基準監督官採用試験という国家公務員になるための試験をパスする必要があります。採用試験ですが、一次試験は筆記試験、二次試験は面接試験(身体検査もアリ)となっており、二次試験まで合格すると名目上は最終合格となっています。採用プロセスが2回だけなので簡単そうに見えますが、筆記試験は択一式の教養試験と専門試験、記述式の専門試験があり難易度は高めです。

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2020年度試験内容

特に、記述式の専門試験は自分で文章を一から作る必要があるので、公務員試験対策講座などを受講するのがオススメです。

 

また、二次試験で最終合格となりますが、実際に内定となるためには、自身が勤務を希望する都道府県労働局で採用面接を受ける必要があります。人気の都道府県だと採用面接をパスできない可能性もあるため、最終合格したといっても気は抜けません。

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採用内定までのプロセス
まとめ

都道府県労働局や労働基準監督署労働基準法に基づき設置される機関。

都道府県労働局と労働基準監督署は役割が異なる。

・労働基準監督官には大きく5つの役割がある。

・労働基準監督官になるためには、労働基準監督官採用試験という公務員試験をパスする必要がある。

労働者派遣法ってどんな法律?派遣と出向、請負の違いは?-公務員・行政辞典

最近ニュースでよく「派遣労働者」という言葉を聞くのですが、派遣労働者って一体どんな種類の労働者のことを言うのでしょうか?僕の友人の中には別の会社に出向している人もいるのですが、出向や請負とかとは違うのですか?

出向や請負は似ているけど、派遣とは雇用契約の部分で違う部分があるよ。派遣労働者は「労働者派遣法」という国の法律で認められた雇用形態で、派遣労働者を派遣したり受け入れる際に「労働者派遣法」は重要な法律になるから、今日は労働者派遣法についても理解できるようにしよう。

派遣労働者とは?

どういった雇用形態の労働者が派遣労働者なのかは、労働者派遣法第2条に示されています。労働者派遣法では、派遣事業者(派遣元)に雇用されている労働者が、派遣元と雇用関係を維持したままで、他人(派遣先)の指揮命令を受けて労働するように指示されて働く人を派遣労働者と言います。

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派遣労働者とは?

派遣と似た雇用契約としては、「出向」や「請負」があります。これらは別の会社で働くという点は派遣と同じですが、「出向」は他人(派遣先)と雇用関係を結んでその指揮命令を受けて働くという点が、「請負」は他人(派遣先)の指揮命令は一切受けずに人を出した事業者の指揮監督だけを受けるという点で、派遣とは大きく異なります。

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「出向」とは?

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「請負」とは?

 

労働者派遣法ってどんな法律?

元々日本においては、労働者派遣は原則禁止されていました。しかしながら、市場の国際化や度重なる不況によってこれまでの日本式の終身雇用制度が崩壊しつつあり、労働者派遣の解禁を迫られることとなりました。ただ、そうはいっても労働者が劣悪な労働条件にならないようルールが必要になります。そこで政府は労働者派遣法を制定して、労働者派遣におけるルールを策定しました。

労働者派遣法の全体像

第1章:総則(第1~3条)

第2章:労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置(第4~25条)

第3章:派遣労働者の保護等に関する措置(第26~47条の2)

第4章:雑則(第47条の3~57条)

第5章:罰則(第58条~62条)

労働者派遣法は、附則部分を除くと全5章62条からなります。第2章では、業務内容や派遣事業の許可についてなど派遣事業者の運営について記載されています。第3章では、運営の許可を得た後でも、不正がないか派遣先や派遣元が適切に派遣労働者を扱っているかなどの措置について記載しています。

 

また、第5章では、労働者派遣法に記載されたルールに違反していた場合の処罰について記載されており、懲役刑や罰金刑と言った厳しい制裁が課されています。

まとめ

・派遣は、派遣元との雇用契約は維持したまま、派遣先の指揮命令を受けて仕事を行う業務形態。

・派遣は、雇用契約を結ぶ相手や指揮命令元の違いによって出向や請負と区別される。

・労働者派遣は、労働者派遣法に基づいて行われ、違反すると懲役や罰金刑に課せられることも。

集団的自衛権と集団安全保障の違いって何?-国際法を分かりやすく

よくニュースで集団的自衛権とか集団安全保障って用語が出てくることがありますが、教科書を読む前までは同じものだと思っていました。

国際関係の用語って日常では使わないし、どちらも「集団○○」ってつくから同じものだと感じてしまうよね。でもこの2つは全く別のものだよ。国際関係を理解する上で重要な用語だから、今日はしっかりと理解できるようにしよう。

集団的自衛権とは?

集団的自衛権について理解できるようにする前に、そもそも自衛権とは何でしょうか?自衛権とは元来、外国の攻撃から自国を守るための権利として、戦前から認められた国家の権利であり、攻撃を受けた国が行使できる個別的自衛権のことを言います。

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(個別的)自衛権とは?

自衛権とは、「他国からの攻撃に対して自国の法益(=法的な利益)を守るためにこれを排除する国家の権利」を言います。そして、後述する集団的自衛権と区別をするために、個別的自衛権と呼んだりします。

 

一方で、集団的自衛権とは、「一国に対する武力攻撃について、直接に攻撃を受けていない第三国も共同して反撃を行うことのできる権利」を言います。

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集団的自衛権とは?

個別的自衛権と違う点としては、集団的自衛権を行使する国は直接に攻撃を受けたわけではないという点が挙げられます。第一次世界大戦以降、兵器の進歩や紛争規模の大規模化に伴い、一国対一国での戦争の構図が成り立たなくなってきています。同盟国への武力攻撃が自国への被害を及ぼす可能性もあるため、直接には攻撃を受けていない状況でも、反撃できる権利として集団的自衛権があるのです。実際、ICJ(国際司法裁判所)がニカラグア本案判決において、集団的自衛権国際慣習法上の権利と認定しているため、国際社会では認められた国家の権利になります。

 

そうなると、「それじゃあ自分たちに関係ない国が攻撃を受けた場合に、いつでも戦争に介入していいの?」と思う方もいるかもしれませんが、何でもかんでも集団的自衛権を理由に介入できるわけではありません。先述したニカラグア本案判決では、以下2つの条件がそろった場合でないと、第三国が集団的自衛権を行使できないとしました。

集団的自衛権を行使できる要件

集団的自衛権を行使できる要件

(1)被害国による被攻撃事実の宣言

(2)明示の援助要請

紛争が起こると、集団的自衛権を理由に、大国は自分たちの都合の良いように介入しかねません。そこで国際司法裁判所はそのようなことがないように、明示の援助要請を要件の一つとしています。

 

実際に集団的自衛権に基づいて第三国が反撃した例としては、1990年に起きた湾岸戦争や、2001年のアフガン攻撃があります。これらの武力攻撃は、国連安保理(安全保障理事会)によって集団的自衛権の行使が認められた事例となります。

集団的自衛権が行使された例

・1991年湾岸戦争

・2001年アフガン攻撃

 

集団安全保障とは?

一方で、集団安全保障とは、どういったものなのでしょうか?また、集団的自衛権との違いはどのようなものなのでしょうか?集団的自衛権が攻撃を受けた後の反撃の手段であるのに対し、集団安全保障とは、「国同士で協力して武力攻撃が起こらないようにしよう」という武力紛争を未然に防ぐ考え方になります。

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集団安全保障とは?

集団安全保障は、対立する国も同じ体制内に組み込んでしまうことで、事前の交渉や議論を通じて武力攻撃が起こらないようにしようという考え方になります。そのような意味で、国連体制は、全ての国が参加する体制として、体制内で調整を行うことによって戦争を未然に防ごうとする役割を持っているため、集団安全保障体制と言えます。

 

 

両者の関係は?

集団的自衛権と集団安全保障の関係に関する学説は多くありますが、大別すると①両者を矛盾対立するものと捉える説と、➁集団的自衛権は集団安全保障を補完・代替するものと捉える説の2つがあります。

 

①両者を矛盾対立するものと捉える説

一つ目の説は、集団的自衛権と集団安全保障は、互いに相容れないものだと考えています。なぜなら、集団的自衛権が仲の良い国同士で同盟を組んで、外部の敵に対して対抗するものである一方で、集団安全保障は仲の良くない国も含め全ての国が体制に入り、その中で調整しようとするものだからです。

 

つまり、集団的自衛権は戦争を誘発させやすいのに対して、集団安全保障は戦争を防止する方向に機能します。そのため、両者は矛盾対立するものだと考えている学者もいます。

 

集団的自衛権は集団安全保障を補完・代替するものと捉える説

一方で、集団的自衛権は集団安全保障を補完・代替するものと考える説もあります。なぜなら、集団安全保障は未然に戦争を防ぐための方策ではありますが、実際に武力攻撃が起こってしまった場合の対抗手段として集団安全保障が十分に機能していない現状があるからです。

図:集団的自衛権と集団安全保障の構図

本来、集団安全保障体制と言える国連は、国連軍の創設を予定していました(国連憲章43条)。そして、安全保障体制内で武力攻撃が起こった場合、国連軍によって解決させようと考えていました。しかしながら、加盟国の反対などもあり、未だに国連軍は設置されていません。そのため、武力攻撃が発生した場合、集団安全保障体制の補完・代替手段として、集団的自衛権に基づく武力行使が認められています。

 

湾岸戦争におけるイラククウェート侵攻や2001年911同時多発テロ事件に際して、国連安保理集団的自衛権の権利に基づく第三国の反撃を認めており、集団安全保障体制と言える国連からも集団的自衛権が認められています。そのような点を踏まえて、現在は集団的自衛権は集団安全保障を補完・代替しているといえます。

ミクロ経済学における余剰分析とは?-公務員試験ミクロ経済学

あっ、先輩、こんにちは!何の勉強しているんですか?

こんにちは、カズ。今日は家庭教師の仕事があるから、事前の準備しているよ。

家庭教師の仕事って大変そうですね。

そうだね。でも生徒の成長を手助けできる仕事だから楽しいよ!

そうなんですね。それじゃあ、生徒だけじゃなくて、僕にもミクロ経済学の「余剰分析」を教えてください!さっき講義で習ったのですが、いまいち分からなかったので…!

いいよ。「余剰分析」については、家庭教師の話を使って理解することができるから、今日は「余剰分析」について勉強してみようか。

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男女雇用機会均等法って一体何?何を規定しているの?-公務員・行政辞典

以前、公務員試験は女性の受験生の方が面接で合格しやすくて男性差別じゃないかという記事を見ました。あれって実際のところどうなのでしょうか?

どういった基準で得点がついているのかは分からないけど、二次試験以降の面接試験は確かに女性の方が明らかに合格しやすいね。自治体担当者とかは、点数の順に採用しているとは言ってはいるけど、男女の能力差ってそんなにないとは思うから、能力云々より愛想とかの印象が重視されやすい印象はあるかなーと思う。

そうですよね。それって男性差別じゃないのでしょうか?

まぁ、面接に得点をつけたうえで合格させているから、男性差別とは言えないかとは思うけど、そうであったとしても現状組織内では男性職員の方が多い中で、男女雇用機会均等法に基づいて女性に対する一定程度の優遇は認められているよ。

そうなんですか?男女雇用機会均等法ってよく聞きますけど、実際どんなことが書いてあるのでしょうか?ぜひ教えて下さい!

男女雇用機会均等法って一体何?

男女雇用機会均等法とは、正式には「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」と言います。これは、国際的な男女平等の潮流の中で、日本国内にも存在する労働環境における男女不平等を是正しようとするためのルールなどを規定した法律になります。名称から分かるように、男女両方の雇用が平等に確保される趣旨の法律であり、女性のみを優遇するための法律ではありませんが、女性が冷遇されている現状において、女性の待遇改善が求められているため、男女雇用機会均等法は実質的に女性の雇用機会の確保するための法律と考えることができます。

 

男女雇用機会均等法の施行は昭和61年であり、施行から既に30年以上経過しています。しかしながら、施行当初は機会均等の要求だけにとどまっていたため、実効性のない法律でした。そのため、平成11年に大幅な改正が行われ、制裁措置や女性労働者への援助の義務付けなどより実効性のあるものとなり、現在に至っています。

 

 

男女雇用機会均等法の概要

男女雇用機会均等法は全5章、33条から成る法律になります。

男女雇用機会均等法の全体像

第1章:総則(1-4条)

第2章:雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等(5-14条)

第3章:紛争の解決(15-27条)

第4章:雑則(28-32条)

第5章:罰則(33条)

理念、基本的な方針を盛り込んでおり、第2章では男女雇用機会の確保のための方策や、差別の禁止について記載されています。また、第3章では紛争、つまり男女差別にかかるトラブルが起きた場合の解決方法について記載されています。

 

 

第2章「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等」

第2章では、男女の雇用機会均等や待遇改善のため、どのような差別を禁止しているか、事業主が取るべき措置についてなどが記載されています。第2章は、第5条から第14条までの部分を言いますが、大きく3つの節に分類できます。

第2章

第1節:性別を理由とする差別の禁止等(第5条~第10条)

第2節:事業主の講ずべき措置(第11条~第14条)

第3節:事業主に対する国の援助(第15条)

第1節では、性別を理由にする差別の禁止や、婚姻・妊娠・出産などライフスタイルの変化における不利益な取り扱いを禁止する旨が記載されています。また、第8条は「女性労働者に係る措置に関する特例」の条項であり、不平等な状況を改善するために女性を優遇することを認めています。そのため、一定の条件の下で、企業や公務員試験でのある程度の優遇措置も認められているといえます(ただし、名古屋市の採用担当者は、女性優遇の特別な取り組みをしているわけではないと言っているので、第8条の措置には当たりませんが)。

 

また、第2節では、差別をなくすための事業主の取り組みが記載されています。例えば、セクハラ被害に対する相談体制の整備や、産前産後の健康管理に関する措置があります。そして、第3節では第2節の事業主の取り組みを国がサポートするようにと記載されています。

 

 

第3章「紛争の解決」

差別的取扱いをなくすようにする取り組みを促したとしても、未だにセクハラやマタハラ(マタニティ・ハラスメント)など、女性に対する被害が完全にはなくなっていないというのが現状です。そこで第3章では、事業主が差別的取扱いについての相談を受けた際、どのように争いを解決していくか、さらには国による援助を記載しています。

 

 

第4章「雑則」第5章「罰則」

第4章の雑則では、主に厚生労働大臣の職責や役割について記載しています。厚労大臣に対しては、事業主への報告を求めることや、助言、指導、勧告を行う権限が付与されています。さらに、勧告に従わない事業主については、「公表」という制裁措置が認められています。最後の第5章「罰則」では、厚労大臣の求める報告をしなかったり、虚偽の報告をした事業主に対する制裁を課しています。

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男女雇用機会均等法「雑則」と「罰則」について
まとめ

男女雇用機会均等法とは、労働環境における男女不平等を是正しようとするためのルールなどを規定した法律。

男女雇用機会均等法は、全5章33章から成る。

・不平等な取扱いを解消するために、女性に対する優遇措置が認められる。

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