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「古典派の第一公準」「古典派の第二公準」とは?-公務員試験マクロ経済学

あ、先輩、こんにちは...。

こんにちは、カズ。あれ、どうしたの?なにか悩んでいるような雰囲気だけど。

はい。バイトを始めようと面接行ったのですが、不採用になってしまって...。

そうなんだ。人気があるバイトは他の人も応募するからしょうがないよね。

そうですね。そういえば、公務員試験の勉強中に「労働市場」という用語が出てきたのですが、マクロ経済学の「労働市場」も働きたい人と企業をつなぐ市場の意味であっていますか?

そうだね。「労働市場」は、企業が雇用したいという労働需要と、労働者が労働力を提供したいという労働供給のやり取りを行う市場のことだよ。でも、マクロ経済学では「労働市場」のとらえ方が、「古典派」と「ケインズ派」によって異なってくるから両方覚えなくちゃいけないんだけど、その前提となるのが「古典派の第一公準」と「古典派の第二公準」になるよ。

うわぁ、なんか難しそうな用語が出てきましたね...。

そうだね。経済学を専攻してこなかった受験生にとってはとっつきにくいかもしれないね。でも、「古典派の第一公準」と「古典派の第二公準」はしっかりと理解しないとAS曲線と呼ばれるこの後よく出題される範囲で理解できなくなるから今日しっかりと覚えてしまおう!

「古典派」「ケインズ派」とは?

古典派の第一公準」と「古典派の第二公準」について紹介していく前に、そもそも古典派とケインズ派とは何か?について簡単に説明していきたいと思います。経済学のキーワードとして、「需要と供給」があります。「需要と供給」とは、財の生産者の供給する財の供給量と、消費者の消費する需要量は一致するという考え方です。

 

労働市場における労働者の労働力提供と企業による雇用も、経済学の需要と供給の原理に当てはめることができ、需要曲線と供給曲線を用いてグラフで表すことができます。現実には失業してしまって働けない人がいるにせよ、現在働いている労働者の数と雇用している数は合致しています。これが経済学では前提として考えられている原理です。

 

「需要と供給」は一致するというのは理解できると思います。それでは、どのように需要量と供給量が一致するのか?どのように一致するのかについて「古典派」と「ケインズ派」で意見が分かれています。

 

まず「古典派」についてですが、古典派の考え方は「セイの法則」と呼ばれる「供給がそれ自体の需要を生み出す」という供給重視の考え方を取っているという点がポイントになります。供給量(労働量)を変化させることで需要量(企業の雇用量)も供給量に追随するということはいつでも完全雇用が達成させるということになります。働きたいと思う労働者の数に合わせて企業の雇用量も決まるため、古典派では失業が発生しないと想定しています。

 

逆に「ケインズ派」の考え方は「有効需要の原理」といって需要量(企業の雇用量)によって供給量(労働量)が決まるという考えがポイントになります。需要量がもし少ないと企業は生産量を減らすため、雇用量も減るから失業が発生する可能性があります。古典派とケインズ学派の考え方では、供給主導か需要主導か、さらに失業が発生するかしないかが大きな違いとなっています。

 

元々は、アダム・スミスリカードなど古典派の理論が主流でしたが、時代の流れとともに様々な学派に分化していき、ケインズの考え方も生まれるようになりました。

 

また、公務員試験では「労働市場」を考える際に、「古典派」と「ケインズ派」別々に考えますが、さらなる違いとして古典派は「古典派の第1公準」、「古典派の第2公準」を採用している一方で、ケインズ学派は「古典派の第1公準」は採用していますが、「古典派の第2公準」を採用していない点で大きく異なります。それでは以下で、「古典派の第一公準」「古典派の第二公準」について紹介していきたいと思います。

 

 

古典派の第1公準とは?

まず「古典派の第1公準」というのは、労働の需要(企業がどれだけ従業員を雇うか)に関する考え方で、「一国の労働投入量はMPL=w/Pという水準で決定される」という考え方です。MPL(Marginal Product of Labor)とは、労働の限界生産性を表しており、「労働を一単位追加的に投入したときにどれだけ生産量が増加するか」ということを表しています。

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労働の限界生産性(MPL)とは

上記の図のように横軸に労働量、縦軸にMPLをとったグラフにMPLを図示した時、原則的には、労働量を増やせば増やすほど、生産性は落ちていくため右下がりの曲線になります。これは例えば、レストランで1日に働く従業員が5人から10人になると多くのお客さんに対応できるようになりますが、10人から15人になると従業員が多すぎてやることがなくなってしまって生産性が下がってしまうからです。

 

次にw/P(実質賃金率)ですが、wは「名目賃金率」(一定期間に労働者を雇った時に労働一単位あたりどれだけの賃金を支払うか)で、Pは物価水準Pを表しています。w/Pは賃金率に物価水準Pを割ったものになります。

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労働の限界生産性と実質賃金率の関係(MPL=w/P)

例えば上記のように、労働者を雇うときの時給が750円だとした場合、従業員を9人から10人に増やしても1時間1000円分の売上を得られて、時給の750円分コストが増えたとしても250円分企業は得をしているため、もっと雇用を増やそうと思うようになります。

 

そこでどんどん従業員を増やしていくと15人になった時に、従業員1人あたりの生産性は1時間750円になるため、これ以上従業員を増やすと赤字になってしまいます。そのため、従業員15人、労働の限界生産性750円のところで均衡します。これを「古典派の第1公準」と呼んでいます。

 

 

古典派の第2公準とは?

次に「古典派の第2公準」というのは、労働の供給(従業員がどれだけ働くか)に関する考え方で、「一国の労働供給量はMDU=w/Pという水準で決定される」という考え方になります。MDU(Marginal Disutility)とは限界不効用のことで、「労働供給を一単位増加させたときにどれだけ不効用が増加するか」という考え方になります。

 

一般的には人々は働かなくていいのなら働きたくないと思うのが普通だと思います。たくさん働けば働くほど余暇の時間も減るためその分疲れもどっとたまると思います。このように、働けば働くほど蓄積されていく疲れやモチベーションの低下を経済学では労働の限界不効用と呼びます。

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労働の限界不効用(MDU)とは

普通の人であれば、初めの1時間より9時間、10時間と長時間働いた後の1時間のほうが、疲れはたまると思います。長時間働くのであれば「もっと時給を高くしてほしい!」と思うと思います。これが労働の限界不効用になります。古典派の第2公準は、従業員がどれだけ労働するかというのはMDU(限界不効用)とw/P(実質賃金率)が一致する部分で決定されるという考え方をとっています。

 

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労働の限界不効用と実質賃金率の関係(MDU=w/P)

上記の図のように、労働者は実質賃金率と労働の不効用が一致する部分まで労働者は労働量を供給します。

 

 

最後に

労働市場について考えるとき、「古典派」は「古典派の第1公準」、「古典派の第2公準」の考え方を採用しています。しかし、「ケインズ派」は「古典派の第1公準」は採用しますが、「古典派の第2公準」は採用していません。これは、「ケインズ派」が需要サイド(企業)を重視しており、需要が供給を決定するという考えに立っているためです。

 

「古典派」と「ケインズ派」の違いについては混同しやすい部分ではありますが、択一問題などでよく出てきます。ぜひマスターしてみてください! 

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