マスグレイブの財政の3機能-公務員試験財政学
先輩!昨日からようやく財政学の授業が始まりました~。
こんにちは、カズ。財政学の勉強始めたんだね。大変だけど公務員の仕事にもかかわってくる部分があるから頑張って。
ありがとうございます。しょっぱなから覚えることが多くて心が折れそうです。特に「マスグレイブの財政の3機能」は暗記しないといけないので覚えるのが大変そうです…。
なるほど、確かに覚えることたくさんあるしはじめは大変かもね。それじゃあ今日は、復習もかねて、「マスグレイブの財政の3機能」についてマスターできるようにしよう。
マスグレイブの財政の3機能とは?
「マスグレイブの財政の3機能」とは、政府が果たしている機能・役割を3つにまとめたものとなります。そもそもマスグレイブとは、アメリカの有名な財政学者の名前であり、マスグレイブが3つに分類したため、「マスグレイブの財政の3機能」と呼ばれます。そして、3つの機能ですが、以下のように資源配分機能、所得再分配機能、経済安定化機能があります。
資源配分機能とは?
まず、マスグレイブは、政府には「資源配分機能」があるといいました。「資源配分機能」とは、簡単に言うと、「租税や補助金、公共財の供給によって社会的に最適な供給量にする機能」です。公共財とは、道路や公園のように、政府が提供する財やサービスのことを言います。
本来、市場では民間企業などが自由に競争することで、価格メカニズムによって最適生産量となるため、政府の介入は必要ありません。しかし、①外部性がある場合、➁公共財の場合は政府の介入が必要となります。まず、①の外部性がある場合ですが、例えば煤煙など生産によって公害を引き起こすような財の生産について、市場に任せておくと誰も公害を解決してくれません。そこで、税金を課して環境を回復させたりするための費用を企業などに負担させることによって、社会的に最適な供給量にすることができます。
次に、➁の公共財の場合、非排除性と非競合性という2つの性質のために、社会的に必要とされる量の供給がされないことがあります。そこで、政府が介入する必要があります。このように、政府が介入することによって、社会的に最適な供給量へと調整することが、資源配分機能となります。
所得再分配機能とは?
市場メカニズムによって、効率的な資源配分が達成されます。しかし、市場メカニズムは所得が各人に平等に分配されるかという「公平性」の部分は担保されてはいません。所得配分が平等になされるべきか否かについては議論が分かれるところですが、極端な格差のある社会は好ましくないという点は、一般に認められていると思います。
そこで、マスグレイブは「政府には所得格差を是正する所得再分配機能がある」と言いました。例えば、累進課税制度や生活保護制度などがあります。生活保護制度は、所得額一定水準以下の人に対して、生活保護費を支給する制度であり、高所得者から得た税金を低所得者へ移す所得の分配の効果があります。また、累進課税制度は高所得者になればなるほど税率が上がってくるため、これも実質的には所得の再分配が行われているのがわかると思います。
経済安定化機能とは?
最後に、マスグレイブは政府の機能として、「経済安定化機能」を挙げました。「経済安定化機能」とは、「不況やインフレなど経済が不安定な時に、政府が介入して安定させる」ことです。
この経済安定化機能としては、大きく2つの機能、①フィスカル・ポリシー、➁ビルトイン・スタビライザーがあります。①のフィスカル・ポリシーとは、不完全雇用を解消するために行うマクロ経済政策(財政政策のような)のことを言います。フィスカル・ポリシーによって総需要を増加させることで、不況を乗り越える機能のことです。
➁のビルトイン・スタビライザーとは、日本語では「自動安定化装置」と呼ばれ、不況やインフレが起きた際に、自動的に経済を安定化させるような仕組みになります。具体的には例えば、累進所得税制度や失業保険制度があります、累進所得税制度は、不況の際、人々の所得が減少してしまうので、税率が下がるため、可処分所得の減少幅が低くなります。一方で、好況の際には、人々の所得が増加しており税率が上がるため、可処分所得の増加幅を抑えることができます。
最後に
以上が「マスグレイブの財政の3機能」となります。公務員試験でも択一問題で出題されやすいトピックなので、各機能の名称と、具体的にどのような内容なのかを結び付けて理解しておくと点数が取れるようになります。