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古典派の国民所得決定理論-公務員試験マクロ経済学

おはようございます。先輩!ちょっと授業に行く前に聞きたいことがあるのですが、今大丈夫ですか?

おはよう、カズ。そういえばカズは、今日マクロ経済学の中間試験だったよね、対策はバッチリ?

そうですね…。勉強は一応しました…。ただ、まだ古典派とケインズ派の違いで分からない部分があって…。そこで聞きたいのですが、古典派の場合、国民所得ってどうやって決まるのですか?

なるほど、財市場と貨幣市場の分析という1つのことに対して、古典派とケインズ派という別々の考え方があるからなかなか分かりにくいよね。そうしたら今日は、特に古典派に絞って理解できるようにしようか。

ケインズ派と古典派の違いは?

そもそも、ケインズ派と古典派の違いですが、2つの大きな違いは、①需要と供給どちらが先にくるか、②賃金が硬直的か伸縮的か、になります。①の需要と供給の関係については、ケインズ派は、需要が供給を決定するという「有効需要の原理」に従っています。他方、古典派は、供給が需要を決定するという「セイの法則」に従っています。労働市場において、需要とは「企業が労働者を雇用すること」であり、供給とは「労働者が労働力を提供すること」になります。

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ケインズ派と古典派の違い

②の賃金の硬直性・伸縮性について、ケインズ派は、賃金は下方硬直的だとします。そもそも、マクロ経済学では、賃金の高さによって家計が供給する労働量が変化するとされており、賃金が低くなればなるほど働き手は働きたくなくなるため、最低賃金率の水準では、労働供給量は変化しません。このように最低賃金率の水準では労働供給量が変化しないことを下方硬直的と言います。

 

一方で、古典派は、賃金は伸縮的だとします。つまり、ケインズ派のように最低賃金率を考慮せず、賃金の変化によって労働供給量は変化するということを表しています。以上が両者の大きな違いとなりますが、「古典派の第二公準」を採用するかしないかが大きな違いにもなってくるので、詳しくは以下を参照してください。

bestkateikyoshi.hatenablog.com

 

 

古典派の国民所得はどう決まる?

それでは本題に移ります。古典派は上述したように、賃金が伸縮的であり、賃金の変化によって労働供給量が柔軟に変化するため、ケインズ派とは異なり常に完全雇用が達成できます。そのため、古典派では必ず、国民所得完全雇用国民所得水準を達成できます。そのため、実は古典派の考え方では、国民所得は既に所与のものとして決まっています。なぜかというと、常に完全雇用国民所得の状態というのは、労働市場にいる労働者が全て労働している状態であり、労働者人口が増えたり減ったりしない限り変化しないためです。

 

 

古典派において利子率はどう決まる?

国民所得がどのように決定されるかという問いは、前段落で解決しましたが、公務員試験では、古典派における利子率の決定の方法も詳しく出題されることがあるので、そちらも見ていきましょう。

 

古典派では、利子率の決定にISバランス式が用いられます。ISバランス式とは、S+T=I+Gのことを言い、Sは貯蓄、Tは租税、Iは投資、Gは政府支出を表します。

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ISバランス式

貯蓄Sは、ケインズ派の場合では国民所得Yの関数としましたが、古典派の場合には、貯蓄Sは利子率rの関数となります。どういうことかというと、利子率rが高くなると、銀行に預金(つまり貯蓄)した方が、将来のためになります。つまり、ISバランス式において貯蓄Sを含む右辺S+Tは、縦軸に利子率r、横軸にS+T、I+Gをとる次の図において、右上がりの曲線となります。一方で、投資Iは利子率rが低くなればなるほど、投資にお金を回そうとするので、投資Iは利子率rの減少関数となります。以下の図では、左辺I+Gは右下がりの曲線となります。

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ISバランスの均衡

企業や家計が投資を行う場合、その資金源は貯蓄Sになります。そのため、財市場においては、投資Iと貯蓄Sのバランスをとる必要があります。つまり、上の図において、利子率は、S+TとI+Gが均衡する点E*における利子率r*となります。これが古典派における利子率の決まり方となります。

 

 

財政政策の効果は?

最後に、古典派における財政政策の効果について見ていきましょう。財政政策とは、政府支出を上げたり下げたりすることで、ISバランス式における政府支出Gの増減になります。

 

ここでは、政府支出Gの増加を例にとって考えていきたいと思います。政府支出Gを増加させると、右下がりの曲線I+Gが右にシフトします。なぜかというと、政府支出Gの増加によって、利子率一定の下で市場に出回るお金の量が増えるからです。その結果、新たな均衡点は以下の図のように、F*となり、均衡利子率はr**となります。

図:財政政策の効果

古典派では、国民所得は常に完全雇用国民所得のため、ISバランス式S+T=I+Gが変化したとしても、利子率rが変化してしまうことによって国民所得は変化しません。つまり、古典派においては、財政政策は無駄であるという結果になります。これはなぜかというと、政府支出Gが増加しても、利子率が上昇してしまった結果、民間投資Iが減少してしまうからです。そのため、国民所得には何ら影響を及ぼさないばかりか、利子率の上昇による民間投資の減少を引き起こしてしまいます。

 

 

最後に

以上が、古典派における国民所得決定理論でした。ここでもう一度念頭に置いておくべきことは、この考え方は古典派における考え方であり、ケインズ派とは異なるということです。ケインズ派では、財政政策は効果があるという前提があるため、しっかりと区別できることが試験では大切になります。

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