労働争議って何?争議行為にはどんな手段がある?-公務員・行政辞典
少し前に栃木のサービスエリアでストライキが起こったってニュースありましたよね。先輩はそのニュース覚えてますか?
うん、ストライキに関する久々のニュースだったからよく報道されていたし覚えているよ。それがどうしたの?
はい。実は最近ストライキなどの労働争議について本を読んで勉強しているのですが、労働争議ってストライキ以外にも種類がいくつかあると見ました。そのほかにどのような手段があるのでしょうか?
勉強していて偉いね。労働争議の手段としてはいくつか種類があって、しかも労働組合側からのアプローチだけじゃなく使用者側からの行為も争議行為に含まれるよ。それじゃあ今日は、労働争議と争議行為の種類について見ていこうか。
労働争議って一体何?
労働関係調整法第6条では、労働争議は以下のように定義されています。
この法律において労働争議とは、労働関係の当事者間において、労働関係に関する主張が一致しないで、そのために争議行為が発生してゐる状態又は発生する虞がある状態をいふ。
そもそも労使間での対立が起こった場合、まずとられるべき行為は「団体交渉」になります。
しかしながら、交渉だけでは折り合いがつかない場合もあります。そこで次にとられる手段として団体行動(争議行為)があり、この争議行為がストライキなど実際の行動による働きかけとなります。
争議行為とは?
争議行為については、労働関係調整法第7条に以下のように定義されています。
この法律において争議行為とは、同盟罷業、怠業、作業所閉鎖その他労働関係の当事者が、その主張を貫徹することを目的として行ふ行為及びこれに対抗する行為であつて、業務の正常な運営を阻害するものをいふ。
第7条上の争議行為の内容は例示列挙であり、この他にも争議行為に当たる行為があります。また、条文上の同盟罷業はストライキを表しており、労働者側の行為ですが、作業所閉所は使用者側の行為になります。つまり、この条文からも分かるように、争議行為とは労働者側の行為だけを表しているのではなく、使用者側からの行為も争議行為に含まれます。
労働組合側の争議行為とは?
労働組合側の争議行為としてはいくつか種類がありますが、代表的なものとして以下の行為が挙げられます。
同盟罷業(ストライキ)
代表的な争議行為としては、ストライキが挙げられます。ストライキとは労働組合の統制の下に労働者が労働力の提供を拒否する行為のことを言います。つまり、労働者が個人で労働力の提供を拒否するのではなく(一人だとただのサボり・欠勤になってしまいます)、組織的に業務を拒否することを言います。
怠業(サボタージュ)
サボタージュの方が聞いたことがあるかもしれませんが、サボタージュは日本語で怠業と言います。サボタージュとは、労働者が団結して労働力を質的・量的に不完全な状態で提供する行為を言います。サボタージュの方法としては、消極的サボタージュと積極的サボタージュという2つの種類があります。
消極的サボタージュとは、労働の能率を低下させるスローダウンという方法のことを言います。例えば本来であれば1時間で100個製品を生産できる能力があるにも関わらず、ゆっくり作業して50個しか作らないという場合が消極的サボタージュとなります。一方で、積極的サボタージュとは、故意の廃品を作ったり、生産設備に損傷を与えたりすることを言います。サボタージュとストライキの違いは、業務は一応行っているという点になります。
生産管理
生産管理とは、労働組合の管理下の下で企業の運営管理を行う手段になります。本来は、労働者は使用者の指示に従って業務を行います。しかしながら生産管理とは、労働組合の指示に従って業務を行うことによって、使用者の思い通りにならないようにすることで使用者へ労働条件の改善などを訴えます。
ピケッティング
ピケッティングとは、スト破りを防ぐために組合員が職場を見張って他の労働者を入れさせないようにする行為のことです。ピケットとは、日本語でスト破りを阻止するための見張りを意味しており、ストライキの補助的な手段になります。
使用者側の争議行為とは?
使用者側が行う行為も争議行為として含まれており、代表的なものとして以下の行為が挙げられます。
作業所閉鎖(ロックアウト)
使用者側の代表的な争議行為の一つとしては、作業所閉鎖(ロックダウン)があります。作業所閉鎖とは、使用者が作業所を閉鎖して、労働者の提供する労務の受け入れを拒否する行為のことを言います。この行為が正当である場合には、使用者は賃金支払義務を免除されます。