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『スルツキー分解』とは?-公務員試験ミクロ経済学

あっ、先輩、こんにちは…。

こんにちは、カズ。どうしたの?疲れ切った顔をしているけど。

はい。この間先輩に教えて頂いた価格変化による予算制約線のシフトについてですが、今日の経済学の授業で、「代替効果」とか「所得効果」とか聞きなれない用語が出てきてよくわからなくなりました。

なるほど、その分野は公務員試験の参考書でも初めの方に出てくることが多いんだけど、理解しにくくて躓く受験生が多い分野で、「スルツキー分解」と呼ばれたりするよ。公務員試験では最重要ポイントの一つでもあるから、今日はしっかりと理解できるようにしよう。

スルツキー分解とは?

「スルツキー分解」とは、「財の価格の変化によって生じる最適消費の組合せの変化を、代替効果と所得効果に分ける」ことになります。財の価格が変化すると通常、以下のように予算制約線がシフトします。

図:価格変化

この時の、スライド1の最適消費点から、価格変化によるスライド3の最適消費点へのシフトを『全部効果』と言います。上記のように価格の変化によってスライド1の最適消費点からスライド3の最適消費点までの変化がワンセットになっているのですが、「上級財」「下級財」「ギッフェン財」など財の性質によって、最適消費点の変化の仕方が異なってきます。この財の性質による変化の違いをより詳しく分析するために、以下のように「全部効果」を「代替効果」と「所得効果」の2つに分解することを「スルツキー分解」と言います。

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「代替効果」と「所得効果」

このように、「代替効果」と「所得効果」に分けることによって、その財が「上級財」なのか「下級財」、「ギッフェン財」なのかなど分かるようになります。どのように財を見分けるかですが、以下でまず「代替効果」と「所得効果」について説明していきたいと思います。

 

 

代替効果とは?

「代替効果」とは、「効用水準を一定(実質所得を一定)としたときの、財の相対価格(価格比)の変化が最適消費の組合せに与える効果」のことを言います。定義を見ると難しく感じますが、要するにある財の価格が変化した時にどのように最適消費の組合せが変化するかです。

 

言葉だけだと理解するのが難しいと思うので、実際に図を見ながら説明していきたいと思います。「代替効果」とは、下記の図の点Aから点Bへの消費の組み合わせの変化を表しています。

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「代替効果」と「所得効果」

まず、一方の財の価格(上記の場合、マンガの価格)が下落した時、チョコレートとマンガという2財のみの関係では、マンガの価格が下落すると、チョコレートに比べて相対的に割安となり、逆にチョコレートはマンガに比べて相対的に割高になります。この時、財の種類(上級財・中立財・下級財)に関わらず、マンガの需要量は増加し、チョコレートの需要量は減少します。

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価格変化による財の関係

つまり上記のように、ある財の価格は上昇するとその財の需要量は減少し、他の財の需要量は増加します。ちなみに、「代替効果」は定義にも書いたように、純粋に価格変化による消費の組合せの変化を見たいため、効用水準を一定(実質所得を一定)としているので元の効用曲線をそのまま使っています。

 

 

所得効果とは?

「所得効果」とは、「財の相対価格(価格比)を一定としたときの、実質所得の変化が最適消費の組合せに与える効果」のことを言います。ここで実質所得という用語ですが、対比となる用語として「名目所得」があります。「名目所得」とは、額面上の所得、つまり1,000円札なら1,000円というように、額面そのままの金額のことを言います。しかし現実には、物価水準の変動のように、同じ額面1,000円でも、財の価格が異なると1,000円の価値が異なります(例えば、500円のマンガは1,000円で2冊しか買えないが、250円になれば4冊買えるように、1,000円の価値が異なる)。このように、額面金額は同じ1,000円でも、財の価格の変化によって所得の価値が変わることが「実質所得の変化」になります。

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「代替効果」と「所得効果」

また、「所得効果」は上記のように点Bから点Cへのシフトになります。この時、実質所得が増加したため、予算制約線が右に平行シフトしています。これは「所得変化」の時と同じシフトの仕方をしています。なぜなら名目所得自体は変化していませんが、実質所得は変化しているためです。

 

 

財の種類による所得効果の違いとは?

「代替効果」の時には財の種類(上級財・中立財・下級財)に関わらず、当該財の価格が上昇(/下落)すると、その財の需要量は減少(/増加)し、もう一方の財の需要量は増加(/減少)しました。しかし、「所得効果」の時には上級財・下級財によって財の需要量の変化も異なってきます。

 

まず、「上級財」とは「所得が増加したときに、消費が増加する財」のことを言います。人によって異なりますが、一般的に上級財はマンガやチョコレート、お米など給料が上がって金銭的余裕ができるとその分支出の大きくなる財になります。所得効果は、以下の図で言うと、点Bから点Cへのシフトでした。従って、財X(マンガ)が「上級財」としたとき、以下のように所得変化によって点Cは点Bより右側にシフトします(需要量増加)。

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上級財(マンガを例に)


次に「下級財」とは、「所得が増加した時に、消費が減少する財」のことを言います。これも人によって異なりますが、低品質の商品などは下級財に分類されることが多いかもしれません。例えば、所得が上がり金銭的余裕が出てくると、良いモノを買うようになるため、低品質のモノの需要量は下がります。例えば海外だと中国産の製品(バイクなど)が大量に販売されていますが、現地の人は日本製のバイクの方が安全で長持ちするということを理解しています。そのため、お金に余裕が出てくるようになると、日本製のバイクを購入するようになるため、中国製のバイクの需要量は落ちます(実際に分析はしていないので、例として考えて下さい!)。これが「下級財」の例です。

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下級財(マンガを例に)

「下級財」は、上記の図のように、点Bから点Cの所得変化の際に需要量は減少します。予算制約線が右に平行シフト(実質所得の増加)にもかかわらず、このマンガのように需要量が減少しているときは、下級財となります。

 

 

全部効果とは?

以上、「代替効果」と「所得効果」を合わせた点Aから点Cへの変化を「全部効果」と言います。点Aから点Cの変化を見たとき、「下級財」をさらに狭義の「下級財」と、「ギッフェン財」に分類することができます。

 

「下級財」について、所得効果(実質所得が増加/減少)により需要量が減少/増加する財が「下級財」と言いました。そして、以下のように点Bから点Cへシフトする際に需要量が減少する財(X財;マンガ)が「下級財」なのですが、当初の点Aの財Xの需要量より減少しない場合、価格変化によって実質的には財は増加しています(5冊から6冊へ)。この時、マンガは狭義の「下級財」であるといえます。

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下級財(マンガを例に)

しかし、下記のように点Aから点Cへのシフトの際、5冊から4冊へ実質的に財が減少することがあります。この時、財X(マンガ)は「ギッフェン財」であるといえます。

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ギッフェン財(マンガを例に)

ギッフェン財とは、あまり例は多くないですが、江戸時代以前の麦などの雑穀が当てはまるとされます。当時の庶民の主食はお米でしたが、価格が高かったため雑穀が食されていたとされています。そのため、雑穀の価格が下がると価格変化により実質所得が上がり、お米が食べられるようになり、雑穀の需要量が下がります。

 

「全部効果」の分析は公務員試験では頻出です。そこで以下に価格変化の際の、「上級財」(狭義の)「下級財」「ギッフェン財」の需要量の変化についてまとめてみました。

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価格が下落したときの財の性質による変化

このように「全部効果」を「代替効果」と「所得効果」に分解することを「スルツキー分解」と言います。本当によく出るので、参考にしてください!

 

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