労働市場とAS曲線-公務員試験マクロ経済学
先輩、こんにちは!あれ、今は何をしているんですか?
こんにちは、カズ。明日企業の最終面接があるから、自分の言いたいことを少し整理してたよ。
就活生は大変ですね...。お疲れ様です。
ありがとう。最近は景気が悪くなっているから企業も採用しないって噂があるから大変だよ。
民間就職は大変ですね。僕も公務員試験の勉強サボってないでしっかりと勉強します!
公務員も一つの選択肢かもね。公務員試験といえば、AS曲線についてはもう授業で習った?
一応習いました。でも物価水準Pが上昇して国民所得Yも増加する関係がどうしても理解できなくて諦めました(笑)。
せっかく日常でも就活とか労働市場について考えることが多いのに、諦めて勉強しないのは勿体ない!AS曲線は労働市場に関連してよく出題されるから今日覚えてしまおう!
労働市場とは?
まず労働市場とは、労働力のやり取りを行う場所のことで、労働供給(労働者の労働)と労働需要(企業による雇用)を調整する市場のことです。アルバイトをしたりする際、働こうと思う要因の一つとして、給料があると思います。給料が高ければ高いほど、働きたいと思う人が増え(労働供給量の増加)、逆に給料が低ければ低いほど、ブラックバイト認定をされて働きたいと思う人は少なくなると思います(労働供給量の減少)。逆に、企業の側から見たとき、給料が高いということはコストが高いということになります。そのため、コストが高いと生産しても利潤が少なくなってしまう可能性が高くなるため、雇用量が減ってしまいます(労働需要量の減少)。逆に給料を低くすることができればコストを抑えることができ、消費者により安く提供できるため、たくさん生産したいと思うため、雇用量も増えます(労働需要量の増加)。
このように、賃金(企業にとってはコスト)を通じて労働力のやり取りを行う場所を、マクロ経済学では労働市場としています。
AS曲線とは?
公務員試験でよく出題される分野の一つとして、AS曲線があります。マクロ経済学ではAS曲線の形状について、「古典派」と「ケインズ派」というそれぞれの学派の考え方を前提にして2種類ありますが、「ケインズ派」の考え方を基にしたAS曲線のほうが出題頻度は高く、また物価上昇Pと国民所得Yの関係が分かりづらいため、「ケインズ派」の想定するAS曲線についてのみ見ていきたいと思います。
通常、「ケインズ派」の想定するAS曲線は下記のように右上がりの曲線になります。「ケインズ派」の想定するAS曲線は、「企業が利潤を最大にする際の物価水準Pと国民所得Yが均衡する組合せの集合」になります。
AS曲線における物価水準と国民所得の関係
上記の図を見るとわかるように、物価水準Pが大きくなればなるほど、労働市場において国民所得Yも増加することがわかると思います。しかし、なんとなくのイメージで物価水準Pと国民所得Yの関係を考えてしまうと、物価水準Pが上昇したら、インフレ(物価水準の継続的な上昇)で国民所得は減少してしまうのでは?と思う受験生もいるかもしれません。
労働市場における物価水準Pと国民所得Yの関係を理解するためには、物価水準Pの変化によって国民所得Yがどのように変化するかというプロセスを理解することが重要になります。この時に、ポイントになるのが、実質賃金率w/Pです。賃金は労働市場で労働力をやり取りするうえで重要な指標になるからです。
実質賃金率w/Pを念頭に置いたうえで、プロセスを見ていきましょう!まず、物価水準Pが上昇したとします。すると、名目賃金率wは一定の下で、実質賃金率w/Pは下落します(分母のPのみが上昇したため)。実質賃金率w/Pの下落によって企業が労働者を雇うコストが小さくなります。そのため、企業は財の生産を多くしようとします。生産量が増えたことによって、一国全体の国民所得Yが増加します。つまり、物価水準Pの上昇によって、国民所得Yが増加するという右上がりのAS曲線が完成します。
1,物価水準Pの上昇 ↓ 2,実質賃金率w/Pの下落 ↓ 3,企業の雇用コスト下落 ↓ 4,企業が財の生産を増加 ↓ 5,一国全体の国民所得Yの増加 |
以上のようなプロセスを労働市場で辿るため、AS曲線は右下がりの曲線になります。「古典派」の想定するAS曲線は右下がりの曲線にならないため、このプロセスとは異なりますが、「ケインズ派」の想定するAS曲線のほうが、公務員試験ではよく出題されるため、このプロセスはしっかりと理解しておくことが重要になってきます!
最後に
いかがでしたでしょうか?AS曲線については、「古典派」と「ケインズ派」の労働市場における前提の違いなど覚えるべきことが結構ありますが、一つひとつ理解してマスターできるようにしてみてください!