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古典派とケインズ学派のAS曲線の違いは?-公務員試験マクロ経済学

あ、先輩、こんにちは!今って時間ありますか?

こんにちは、カズ。うん、大丈夫だよ。

ありがとうございます!国家一般職のマクロ経済学の過去問を解いているのですが、労働市場って出てくるのですが、「古典派」とか「ケインズ派」とか色々と違いがあって混乱しているので教えてほしいです。

なるほど、マクロ経済学の「労働市場」は理解するのが大変な部分の一つだよね。特に、「古典派」と「ケインズ派」の違いは難しいよね。それじゃあ今日は「古典派」と「ケインズ派」の違いについて理解できるようにしてみよう!

 

労働市場とは?

まず労働市場とは労働供給(労働者の労働)と労働需要(企業による雇用)を調整する市場のことです。アルバイトをしたりする際、働こうと思う要因の一つとして、給料があると思います。給料が高ければ高いほど、働きたいと思う人が増え(労働供給量の増加)、逆に給料が低ければ低いほど、ブラックバイト認定をされて働きたいと思う人は少なくなると思います(労働供給量の減少)。逆に、企業の側から見たとき、給料が高いということはコストが高いということになります。そのため、コストが高いと生産しても利潤が少なくなってしまう可能性が高くなるため、雇用量が減ってしまいます(労働需要量の減少)。逆に給料を低くすることができればコストを抑えることができ、消費者により安く提供できるため、たくさん生産したいと思うため、雇用量も増えます(労働需要量の増加)。

 

マクロ経済学でも同様に、労働者と企業がどちらともいいと考える給料(実質賃金率W/P)と労働量で均衡します。実質賃金率W/Pとは、名目賃金率Wを物価水準Pで割った値です。実質値というと難しく感じると思いますが、例えば時給が1,000円から1,500円に上がったとしても、他の財の価格、即ち物価水準が2倍に上昇してしまったら(例;チョコレート1個100円だったのが、インフレによって1個200円になること)、額面では給料は増えていても、生活していくうえでは苦しくなってしまいます。このような見かけ上の数値ではなく、現状に合わせた数値で分析するために、物価水準Pで割ることによって実質的な値を使います。

 

マクロ経済学では、以上の実質賃金率W/Pを基に、物価水準Pと国民所得Yという2つの変数を用いて労働市場の分析が行われます。

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AS曲線(総供給曲線)

上記の図は、縦軸に物価水準P、横軸に国民所得Yをとる図におけるAS曲線になります。原則的にAS曲線は上記のように右上がりの曲線になります。なぜ右上がりの曲線になるかというと、物価水準Pが上昇すると名目賃金率Wが一定の下で、実質賃金率W/Pは下落します。この時、企業はコストが安くなるため生産量を増やそうとします。その結果、一国全体の国民所得Yは増加するため、右上がりの曲線になります。

 

 

ケインズ派と古典派の労働市場の違いは?

マクロ経済学で使われる労働市場について概要は理解できたと思います。しかしさらに公務員試験のマクロ経済学では「ケインズ派」と「古典派」による労働市場の捉え方が異なります。

 

まず、古典派の想定する労働市場では、「古典派の第一公準」、「古典派の第二公準」という考え方を採用しています。「古典派の第一公準」とは「労働の需要(企業がどれだけ従業員を雇うか)に関する考え方で、「一国の労働投入量はMPL=w/Pという水準で決定される」という考え方です。MPLとは、労働の限界生産性のことで、「労働を一単位追加的に投入したときにどれだけ生産量が増加するか」を表しています。Marginal Product of Laborの略になります。

 

次に「古典派の第二公準」とは、「労働の供給(従業員がどれだけ働くか)に関する考え方で、「一国の労働供給量はMDU=w/Pという水準で決定される」という考え方です。MDUとは限界不効用のことで、「労働供給を一単位増加させたときにどれだけ不効用が増加するか」を表しています。Marginal Disutilityの略になります。

 

古典派の第一公準」「古典派の第二公準」について詳しくは別のページ で説明しているため、詳しく知りたい方はそちらを見てください!ひとまず、古典派の想定する労働市場では、「古典派の第一公準」、「古典派の第二公準」の両方を採用しています。その結果、労働の需要と供給が一致するためいつでも完全雇用の状態であると仮定しています。

 

また、古典派の想定する労働市場では、「賃金の伸縮性」がキーワードになります。「賃金の伸縮性」とは、物価水準Pが変化しても、同じように名目賃金率wも変化するため、実質賃金率w/Pは変化しないという考え方です。そのため、物価水準Pが変化しても実質賃金率は変化しないので国民所得も変化しないということになります。

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古典派の労働市場

図;ケインズ労働市場 

一方で、ケインズ派の想定する労働市場では、「古典派の第一公準」は採用していますが、「古典派の第二公準」は採用していません。「古典派の第二公準」は労働の供給側(労働者側)の考え方で、「古典派の第二公準」を採用しないということは、提示された賃金に対して働きたくないと思う人がいるということになります。そのため、ケインズの想定する労働市場では、不完全雇用が発生することがあります。

 

また、ケインズ派では「賃金の下方硬直性」というワードがキーワードになります。「賃金の下方硬直性」とは、物価水準が変化しても名目賃金率wが「古典派」の想定したようには変化しないという考え方です。そのため例えば、物価水準Pが上昇すると、実質賃金率w/Pは下落し、賃金が安くなったため企業が雇用したいと思い、労働需要が高まるため国民所得Yも増加します。

 

 

ケインズ派と古典派のAS曲線の違いは?

ここまで、それぞれの想定する労働市場の違いについて説明してきました。ここからは、それぞれの労働市場に対する違いを前提にするとAS曲線はどのように違ってくるのか見ていきたいと思います!

 

まず、AS曲線とは何か?ですが、それぞれの想定する労働市場によってAS曲線の定義も異なってきます。ケインズの想定するAS曲線は、「企業が利潤を最大化する際の物価水準Pと国民所得Yの組合せの集合」になります。なぜこのような定義になるかというと、ケインズ派は需要(企業の雇用)が変化すれば、供給(労働者)も変化するという「有効需要の原理」を採用しているため、企業主導でAS曲線は作られると想定しているからです。

 

そのため、ケインズ派のAS曲線は、下記のように右上がりの曲線になります。ケインズ派は不完全雇用を想定しているため、物価水準Pが上昇して企業が労働需要を増加させようとすると労働供給も上昇し、国民所得も増加するため右上がりの曲線になります。

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ケインズのAS曲線

但し、曲線の右上で直線になっているのは、労働者による労働供給にも限界があり、企業がいくら生産を増やそうとしても、人手不足の状況では増産することはできません。そのため、垂直な直線になっている部分は、「物価水準Pがいくら上昇しても生産は伸びないですよ」という部分になります。

 

次に、古典派のAS曲線の定義は、「労働市場が均衡する際の物価水準Pと国民所得Yの組合せの集合」となります。古典派は物価水準Pがいくら変動したとしても名目賃金率wの変化によって、実質賃金率w/Pが元の水準と同じになるため、国民所得Yは変動しないことを想定しています。そのため、古典派のAS曲線は以下のような垂直な直線になります。

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古典派のAS曲線

 

 

最後に

いかがでしたでしょうか?多くの受験生は、AD曲線とAS曲線という用語やグラフについてはなんとなく理解できていても、古典派とケインズ派労働市場やAS曲線の違いは理解できていないということが多いと思います。択一問題や論述問題で出題されやすい論点ではあると思うので、ぜひ中身をマスターしてみてください!

 

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