労働協約って何のこと?公務員には労働協約締結権がない?-公務員・行政辞典
公務員試験対策として憲法の勉強していたのですが、公務員の労働基本権に関するページで、労働協約というのが出てきました。参考書でも特に説明がなかったのでよく理解できなかったのですが、労働協約って何のことなのでしょうか?
しっかりと勉強していて偉いね。そもそも労働協約というのは労働組合が会社側と交渉をした際の合意文書のことを言うよ。社会人として覚えておいて損はない用語だから、今日はしっかりと理解できるようにしよう~。
労働協約って一体何のこと?
憲法28条は勤労者の権利として、労働基本権を保障しています。労働基本権とは、団結権、団体交渉権、団体行動権という3つの権利のことを言い、労働三権と呼びます。
団結権は労働組合などの団体を結成、加入する権利です。実際に使用者に対して労働条件の改善を求めて働きかけを行うには、団体交渉と団体行動(ストライキなど)という2つの手段が考えられます。
特に団体交渉の際、実際に交渉を行ったとしても使用者側が交渉で決定したことを守ってくれない可能性があります。そこで労働組合法では、団体交渉の結果を文書でまとめたものを労働協約として、法的な拘束力を認めています。
団体交渉で作成された文書は、「協定」や「覚書」、「確認書」、「議事録」など様々な名称で呼ばれますが、後述するように、労使間で合意がなされていれば名称に関係なくすべて法律上は労働協約となります。
労働協約の効力が発生するには
労働協約は、団体交渉の結果をまとめられた文書であり、法的拘束力があることを説明しましたが、文書をまとめるとすぐに効力が発生するというわけではありません。結果をまとめた文書が労働協約として法的な効力を発生するためには、労使双方の署名または記名押印が必要となります。これは、後日内容をめぐって紛争が起こらないよう両者の意思を事前に明確にしておくためです。
労働協約は就業規則に優先する?
労働協約は、就業規則に優先されます。つまり、労働協約に反する就業規則がある場合には、その就業規則は無効となり、労働基準監督署は違反部分につき変更を命じることができます。
公務員は労働協約締結権がない?
公務員は全体の奉仕者として、職種によっては労働基本権が制限される場合があります。公務員の労働基本権について考えるとき、公務員の職種を大きく3つに分類することができます。
この時、各職種によって労働三権は以下のように制限されます。
ここで注意が必要なのが、非現業公務員の団体交渉権への制限になります。非現業公務員は、人事との団体交渉自体は可能です。しかしながら、労働協約を締結する権利、すなわち協約締結権が制限されてしまっています。そのため、団体交渉は可能だけど、交渉の結果には法的な拘束力はないという形となってしまいます。