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集団的自衛権と集団安全保障の違いって何?-国際法を分かりやすく

よくニュースで集団的自衛権とか集団安全保障って用語が出てくることがありますが、教科書を読む前までは同じものだと思っていました。

国際関係の用語って日常では使わないし、どちらも「集団○○」ってつくから同じものだと感じてしまうよね。でもこの2つは全く別のものだよ。国際関係を理解する上で重要な用語だから、今日はしっかりと理解できるようにしよう。

集団的自衛権とは?

集団的自衛権について理解できるようにする前に、そもそも自衛権とは何でしょうか?自衛権とは元来、外国の攻撃から自国を守るための権利として、戦前から認められた国家の権利であり、攻撃を受けた国が行使できる個別的自衛権のことを言います。

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(個別的)自衛権とは?

自衛権とは、「他国からの攻撃に対して自国の法益(=法的な利益)を守るためにこれを排除する国家の権利」を言います。そして、後述する集団的自衛権と区別をするために、個別的自衛権と呼んだりします。

 

一方で、集団的自衛権とは、「一国に対する武力攻撃について、直接に攻撃を受けていない第三国も共同して反撃を行うことのできる権利」を言います。

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集団的自衛権とは?

個別的自衛権と違う点としては、集団的自衛権を行使する国は直接に攻撃を受けたわけではないという点が挙げられます。第一次世界大戦以降、兵器の進歩や紛争規模の大規模化に伴い、一国対一国での戦争の構図が成り立たなくなってきています。同盟国への武力攻撃が自国への被害を及ぼす可能性もあるため、直接には攻撃を受けていない状況でも、反撃できる権利として集団的自衛権があるのです。実際、ICJ(国際司法裁判所)がニカラグア本案判決において、集団的自衛権国際慣習法上の権利と認定しているため、国際社会では認められた国家の権利になります。

 

そうなると、「それじゃあ自分たちに関係ない国が攻撃を受けた場合に、いつでも戦争に介入していいの?」と思う方もいるかもしれませんが、何でもかんでも集団的自衛権を理由に介入できるわけではありません。先述したニカラグア本案判決では、以下2つの条件がそろった場合でないと、第三国が集団的自衛権を行使できないとしました。

集団的自衛権を行使できる要件

集団的自衛権を行使できる要件

(1)被害国による被攻撃事実の宣言

(2)明示の援助要請

紛争が起こると、集団的自衛権を理由に、大国は自分たちの都合の良いように介入しかねません。そこで国際司法裁判所はそのようなことがないように、明示の援助要請を要件の一つとしています。

 

実際に集団的自衛権に基づいて第三国が反撃した例としては、1990年に起きた湾岸戦争や、2001年のアフガン攻撃があります。これらの武力攻撃は、国連安保理(安全保障理事会)によって集団的自衛権の行使が認められた事例となります。

集団的自衛権が行使された例

・1991年湾岸戦争

・2001年アフガン攻撃

 

集団安全保障とは?

一方で、集団安全保障とは、どういったものなのでしょうか?また、集団的自衛権との違いはどのようなものなのでしょうか?集団的自衛権が攻撃を受けた後の反撃の手段であるのに対し、集団安全保障とは、「国同士で協力して武力攻撃が起こらないようにしよう」という武力紛争を未然に防ぐ考え方になります。

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集団安全保障とは?

集団安全保障は、対立する国も同じ体制内に組み込んでしまうことで、事前の交渉や議論を通じて武力攻撃が起こらないようにしようという考え方になります。そのような意味で、国連体制は、全ての国が参加する体制として、体制内で調整を行うことによって戦争を未然に防ごうとする役割を持っているため、集団安全保障体制と言えます。

 

 

両者の関係は?

集団的自衛権と集団安全保障の関係に関する学説は多くありますが、大別すると①両者を矛盾対立するものと捉える説と、➁集団的自衛権は集団安全保障を補完・代替するものと捉える説の2つがあります。

 

①両者を矛盾対立するものと捉える説

一つ目の説は、集団的自衛権と集団安全保障は、互いに相容れないものだと考えています。なぜなら、集団的自衛権が仲の良い国同士で同盟を組んで、外部の敵に対して対抗するものである一方で、集団安全保障は仲の良くない国も含め全ての国が体制に入り、その中で調整しようとするものだからです。

 

つまり、集団的自衛権は戦争を誘発させやすいのに対して、集団安全保障は戦争を防止する方向に機能します。そのため、両者は矛盾対立するものだと考えている学者もいます。

 

集団的自衛権は集団安全保障を補完・代替するものと捉える説

一方で、集団的自衛権は集団安全保障を補完・代替するものと考える説もあります。なぜなら、集団安全保障は未然に戦争を防ぐための方策ではありますが、実際に武力攻撃が起こってしまった場合の対抗手段として集団安全保障が十分に機能していない現状があるからです。

図:集団的自衛権と集団安全保障の構図

本来、集団安全保障体制と言える国連は、国連軍の創設を予定していました(国連憲章43条)。そして、安全保障体制内で武力攻撃が起こった場合、国連軍によって解決させようと考えていました。しかしながら、加盟国の反対などもあり、未だに国連軍は設置されていません。そのため、武力攻撃が発生した場合、集団安全保障体制の補完・代替手段として、集団的自衛権に基づく武力行使が認められています。

 

湾岸戦争におけるイラククウェート侵攻や2001年911同時多発テロ事件に際して、国連安保理集団的自衛権の権利に基づく第三国の反撃を認めており、集団安全保障体制と言える国連からも集団的自衛権が認められています。そのような点を踏まえて、現在は集団的自衛権は集団安全保障を補完・代替しているといえます。

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