国会に提出される予算の内容は?-公務員試験財政学
こんにちは、先輩。今財政学の講義で「予算」について勉強しているのですが、「予算」って奥が深いですね。勉強しないといけないこともたくさんあって大変です。
こんにちは、カズ。そうだね。一国の予算ってみんなからの税金で成り立っているし、大切なものだからこそしっかりと法律で定められているし、細かくなってしまうんだね。
そうですね。僕も最近は、講義だけではなく、自分でも日本の予算について新聞を読んだり調べたりするようにしています。
偉いね。
はい。でも、ニュースなどではよく「国会に予算を提出する」って言いますが、予算って具体的に何を提出しているんでしょうか?全ての見積もりが書かれた書類が提出されるってことでしょうか?
まぁ、カズが言ったように予算って結局お金の見積もりだから言っていることはあっているけど、財政法では「予算の内容」として記載されているものがあるよ。公務員試験でも出題されるから、今日は「予算の内容」について理解できるようにしようか。
財政法16条における予算の内容
そもそも、国会に予算が提出される際、具体的に提出される予算の中身はどのようなものなのでしょうか?実は、予算の中身については財政法16条に記載されています。
「予算は、予算総則、歳入歳出予算、継続費、繰越明許費及び国庫債務負担行為とする。
財政法16条によると、予算は①予算総則、➁歳入歳出予算、③継続費、④繰越明許費、⑤国庫債務負担行為の5つからなります。以下、それぞれについて具体的に見ていきましょう。
予算総則とは?
まず1つ目が、「予算総則」と呼ばれるものです。予算総則とは、歳入歳出予算に関する総括的な事項、公債発行限度額など、予算の執行に必要な事項について定められたものになります。簡単に言うと、財政運営を行う際のルールのことです。
※『令和2年度一般会計予算』
参考として、上記に国会に提出された令和2年度の一般会計予算の資料を添付しました。資料の初めの方にありますが、この中には予算総則が含まれています。予算総則は、財政運営を行う際のルールであるため、法律のように条文形式で記載されています。
歳入歳出予算とは?
2つ目が、「歳入歳出予算」になります。歳入歳出予算とは、予算本体のことを言います。予算はあくまでも見積もりとなるため、歳入は実際に見積もり額ちょうど徴収できるかは分からないため、予算通りにならないといけないということはありません。しかし、歳出については、その見積もり額ちょうどにならないといけないわけではありませんが、定められた見積もり額を超過してはいけないというルールがあります。
継続費とは?
3つ目が、「継続費」になります。継続費とは、工事・製造の事業で完成までに数年を要するもので、経費の総額及び毎年度の支出見込み額を定め、あらかじめ国会の議決を経て数年度にわたって支出するものになります。但し、年限は5か年以内と定められています。
工事製造の分野に限定され、令和2年度予算では、自衛隊の艦船が継続費として計上されています。本来、予算の原則として単年度主義がありますが、継続費はその例外となります。継続費として別枠で計上されている理由としては、数年にわたる支出を毎年議会で審議していると、否決された年は工事がストップしてしまうということになりかねないためです。
[出典]「令和2年度一般会計予算」
繰越明許費とは?
4つ目が、「繰越明許費」になります。読み方は「くりこしめいきょひ」と言います。繰越明許費とは、歳出予算のうち、その性質上または予算成立後の事由により年度内にその支出がみこめないものについて国会の議決を経たうえで、翌年度に繰り越して使用できる経費のことを言います。
施設費などが繰越明許費として計上されていることが多く、公共工事によく用いられています。例えば当初は令和元年度の予算として、令和元年度内に契約・完成する施設があったとします。しかし、何らかの理由により次年度、つまり令和2年度に延期となった場合、令和元年度の予算を2年度に付け替える明許承認がなされることによって、次年度に移行となります。
国庫債務負担行為とは?
最後は、「国庫債務負担行為」となります。国庫債務負担行為とは、継続費と同様に、国が様々な発注、請負といった契約を結ぶことによって債務を負担する場合で、契約はその年に行われるが、支出は翌年度に一部又は全額がなされる場合の予算を言います。継続費と似ていますが、大きな違いとしては、継続費と異なり工事や製造に限定されないことと、年割り額がないことです。
そのため、国庫債務負担行為は、継続費とは異なり支出の年度に改めて歳出予算に計上して国会で審議を経なければいけません。
最後に
公務員試験レベルでは、5つの具体的な項目について全て覚える必要はありません。しかし、見方が分かれば予算に関する資料も面白くなってくると思います。自分の希望する省庁の予算項目くらいは見ておくと勉強になると思うので、実際に見てみることをオススメします!
参考:『令和2年度一般会計予算』