憲法における租税法律主義と財政民主主義について-公務員試験憲法を分かりやすく
今憲法の講義で財政について勉強しているのですが、「租税法律主義」や「財政民主主義」など○○主義という用語が出てきて、頭が混乱しています…。
今財政の部分勉強しているんだね~!公務員試験憲法の範囲では財政について頻出度はあまり高くないけど、しっかりと理解できれば他の受験生より一歩リードできるよね。
そうですね~。なので、「租税法律主義」や「財政民主主義」などを教えてください!
憲法における財政の規定は?
憲法は前文と11章全103条から成る日本における最高法規です。今回紹介する財政については、第7章83条から91条に規定されています。
公務員試験憲法の分野で出題されることはまずないですが、憲法の規定は短く抽象的な部分も多いため、憲法の下に財政法や会計法などの法律があり、それらが財政のことについて具体的に規定しています。いずれにしても、憲法は国の財政制度について大枠を規定しており、公務員試験憲法の範囲では、それらを学ぶ理解する必要があります。
各規定の詳細については割愛しますが、国家運営にはお金が必要になるため、安定的な国家運営を行うことができるよう会計処理の方法やチェック体制の整備など様々な事柄を規定しています。
財政民主主義とは?
国家運営のためにはお金が必要になりますが、そのお金は国民の税金によって賄われます。そのため、行政による恣意的な財政の処理が行われないよう、国民によるコントロールが保たれるようにする必要があります。そこで憲法83条では、以下のように財政処理の権限について国会の議決を必要とするとしています。
国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。
国会の議決とは、国会が租税に関する法案を審議した上で採決するということです。国会は国民の代表によって構成される議会なので、行政が税金や予算を決定したり変更したりしたいとしたとき、国民の代表である国会がチェックすることを憲法は求めており、これを「財政民主主義の原則」と言います。
租税法律主義とは?
財政民主主義の他の○○主義としては、租税法律主義という原則もあります。
あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。
租税が賦課される対象は国民になるため、国会によって審議がなされる法律の形式によって租税も決定される必要があります。そのため、下記のように法案成立の流れと同様に、租税関連以外の法案も国会で審議され、これを「租税法律主義の原則」と呼びます。
租税に関する法律として、新設される法律と租税内容が変更される法律と大きく2つに分類することができます。両者とも国会の議決を経る必要がありますが、租税を変更する際、元々法律上課税できるのにも関わらず実務上非課税扱いしていたものを通達により課税扱いする際は、元々課税すること自体は国会で承認を得ているため新たに改正案を提出する必要はなくなります。
また、国会の議決を経る法案についても、租税の種類や根拠だけでなく、租税条件(①納税物件、②課税物件、③税率、④賦課手続、⑤徴収方法)が厳格に定められていることが「租税法律主義の原則」になります。