法の一般原則・国際法の一般原則とは?-国際法を分かりやすく
国際社会では紛争処理の時、条約や国際慣習法に基づいて裁判をするけど、色々な出来事が起こる国際社会では、条約と国際慣習法だけでは対応できないケースも出てきてしまいますよね?そういった場合は、もう判決が下せなくなってしまうのですか?
確かに国際社会では条約や国際慣習法だけでは対応できないケースも出てきてしまうけど、条約と国際慣習法以外にも法源として「法の一般原則」「国際法の一般原則」があるよ。これらも重要な法源の一つだから、今回は詳しく見ていこう!
法の一般原則とは?
法の一般原則とは、国際司法裁判所(JCI)規程38条1項cにおいて、「文明国が認めた法の一般原則」とされています。法の一般原則の考え方について諸説ありますが、有力な説で考えてみると、ここでいう「文明国」とは、大陸法や英米法など世界の主要法系諸国を言います。また、また、「法の一般原則」とは何かというと、「世界の主要法系諸国の国内法で共通に認められている原則のうち、国際関係にも適用可能なもの」とされます。「法の一般原則」には例えば、以下のように「信義誠実原則」や「禁反言」などがあります。
・信義誠実原則
ある事情の下で、お互いに相手方の信頼を裏切らないよう行動すべきであるという法原則
・禁反言
当事者の行動・言動によって相手方が信用し、その事実を前提として行動した相手方に対し、それと矛盾した事実を主張することを禁止されるという原則
信義誠実原則は「信義則」という言葉を民法で聞いたことがあるかもしれません。このような原則は、条約などでは規定されていませんが、裁判の前提として不可欠な原則になります。そのため、「法の一般原則」は条約、国際慣習法と並び、「形式的法源」として、永続的な拘束力、適用の一般性・反復性を持ちます。
どうして「法の一般原則」は法源とされているの?
なぜ「法の一般原則」は法源として認められるかというと、法の欠缺による裁判不能に陥ることを避けるためです。複雑な文化・経済的背景の異なる国同士の裁判では法源として条約、国際慣習法のみだと判断しきれないことがあります。そこで、裁判所の完全な裁量ではなく、各国の国内法の原則を適用することで客観的な基準として、裁判不能に陥るリスクを減らすことができます。
国際法の一般原則とは?
最後に、「法の一般原則」に似た用語として「国際法の一般原則」を紹介します。「法の一般原則」は、各国の国内法に共通の原則の中で、国際法に適用可能な原則のことを言いました。一方で、「国際法の一般原則」とは、「実定国際法の妥当性を支える国際関係に特有の基盤となっている規範」のことであり、国際社会で広く承認され国際慣習法と考えられているものもあります。
「国際法の一般原則」の例としては、主権平等原則、合意拘束命題、相互主義原則など様々なものがあります。
・主権平等原則
全ての国家は主権を有し、各々対等であること
・合意拘束命題
自由な意思に基づいて合意した以上、国家はその合意に拘束されること
・相互主義原則
相手国の自国に対する待遇と同等の待遇を与えようとすること
これら以外にも、「国籍の原則」「衡平原則」など様々な国際法の一般原則があります。
[参考]