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成長会計式とは?-公務員試験マクロ経済学

こんにちは、先輩。ちょっとマクロ経済学で聞きたいことがあるのですが、今聞いても大丈夫でしょうか?

こんにちは、カズ。大丈夫だけど、どうしたの?

ありがとうございます。実は、「成長会計」という用語が講義で出てきて、「マクロ経済学なのに会計?」とびっくりしてしまって…。計算式もぱっと見難しそうで理解できませんでした。

なるほどね。公務員試験のマクロ経済学では最後の方に勉強する分野だね。確かに難しそうに見えるよね。でも覚える量自体は多くないし一度理解してしまえば難しくない範囲でもあるから、今日はしっかりマスターできるようにしよう!

成長会計とは?

マクロ経済学で「成長会計」とは、「ハロッド=ドーマー・モデル」や「ソロー=スワン・モデル」などの経済成長理論の範囲で出てきます。これらの経済成長理論では、資本Kと労働Lという2つの生産要素を投入することによって、生産量Y(=国民所得Y)の成長率がどのように変化するのか、また最適な経済成長率はいくらなのかについて見てきました。

 

今、資本Kと労働Lという2つの生産要素の投入を見てきましたが、現実には、経済成長はこの2つの生産要素だけで決定するわけではありません。資本Kと労働Lのほかに何があるのかというと、生産技術の向上、言い換えると技術革新があります。「成長会計」の範囲では、一国の経済成長を資本と労働だけでなく、生産技術の向上という3つに分けて考えていこう、という考え方になります。

 

 

成長会計の生産関数は?

生産量をY(=国民所得)、資本投入量をK、労働投入量をLとしたとき、成長会計の生産関数は以下のようになります。

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成長会計の生産関数

右辺のAは生産技術の水準を表します。Aは全要素生産性、あるいはソロー残差とも言います。試験で出題される際、全要素生産性ソロー残差と問題文に書いてあった場合には、Aのことを表します。

 

また、LとKの指数αと(1-α)は、それぞれの分配率を表します。分配率とは、生産の際の資本と労働の割合になります。ここから、資本と労働は代替的であるということが分かると思います。実際、成長会計の生産関数はコブ=ダグラス型の生産関数になるため、「ソロー=スワン・モデル」のように、資本と労働を縦軸と横軸に置く図において、以下のように生産関数は右下がりの等量曲線になります。

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コブ=ダグラス型生産関数図

 

 

成長会計式とは

成長会計の生産関数について先ほど紹介しましたが、先ほどの生産関数を変化分の式に直すことによって成長会計式を作ることができます。

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成長会計式

成長会計の生産関数は、掛け算で成り立っているため、掛け算の式は変化分の式に直す際、足し算にすることができます。また、指数の部分は変化分の式に直す時、上記のように掛ければオッケーです。

 

このように、変化分の式に直したことによって、生産技術の向上、資本、労働の投入によって生産量(国民所得)がどれだけ変化するのか明確になります。つまり、生産技術が1%分向上すると、生産量も1%増加します。一方で、資本と労働がそれぞれ1%変化した場合、生産量は1%以下の変化になります。なぜかというと、αは資本と労働の分配率を表し、0以上1以下の値をとるためです。

 

 

どのように出題される?

公務員試験では、成長会計は計算問題で出題されることがほとんどです。出題のされ方として例えば、「実質国民所得の成長率が5.3%、資本ストックの伸び率10%、労働投入量の伸び率0.6%で、以下の生産関数の時、平均の技術進歩率は何%か?」という形です(*問題文はだいぶ端折っていますが)。

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生産関数例

この時、まず上記の生産関数を変化分の式に直して、その後、設問で設定されている数値を当てはめて計算すれば答えを導くことができます。

[解法]

①生産関数を変化分の式に直す。

△Y/Y=△A/A+0.3×△L/L+0.7×△K/K

②設問の数値をそれぞれ①の式に当てはめる。

5.3=△A/A+0.7×0.6+0.3×10

③△A/A=~の形に直す。

△A/A=1.88

 

したがって、平均の技術進歩率、つまり全要素生産性の上昇率は1.88%となります。平均の技術進歩率だけではありませんが、このように変化率の式の中のどれかを計算によって求めさせる問題が出題されることがあるので、成長会計式の意味や形を覚えておく必要があります。

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